
安心・安全に釣りを楽しんで欲しい
釣り人の安全対策に昔から積極的に取り組んできたのがDAIWA(グローブライド)だ。高品質で信頼できる救命胴衣などを開発してきただけでなく、釣りの常識も変えながら、釣り人の安全に取り組んできたDAIWAの取り組みや製品作りのこだわりについて、それぞれDAIWAの担当者に話を伺った。

自分たちから率先してライフジャケットを着用
近年では海釣り公園、防波堤、川、池、あるいは管理釣り場などでもライフジャケットを着用する人が増えているように感じる。これは、以前からDAIWAの有力テスターがメディア等へ露出する際には率先してライフジャケットを着用してきた。
また、イベント等でDAIWAのスタッフは、ライフジャケットを着用し、自分たちが実践することで周知を図ってきたことなどが、大きく影響していると思われる。

ダイワのテスターやスタッフはライフジャケットを
率先して着用してきた
特に、釣り公園など比較的安全な場所でのイベントの際にも、早い段階からDAIWAのスタッフはライフジャケットの着用を行ってきた。ライフジャケット着用の判断に迷う場合は必ず着用する。
業界人自ら率先してライフジャケットを着用する。こういったことに早くから取り組んできたDAIWAの安全に対する姿勢が、釣り人や釣りに関わる企業にも大きな影響を与えてきたと釣具新聞では考えている。
DAIWA SAFETYで安全を発信
DAIWAでは2026年から「DAIWA SAFETY」として、改めてDAIWAが取り組む水辺の安全・安心に繋がる活動や製品を紹介しており、専用のホームページも公開している。この「DAIWA SAFETY」について担当者に話を伺った。
「釣りは水辺で楽しむものですが、水辺は思わぬ危険もありますから、安全に安心して楽しんでいただく必要があります。水辺で楽しむ釣りは、命の尊さや自然を学べる貴重な体験が出来ますが、その楽しさを伝えるにあたり、いつ牙をむくかも解らない自然を相手にする場合は、自らの命は自分自身で守ることが必要だと考え、改めて『DAIWA SAFETY』という名称を付けて、当社の『水辺の安全・安心に繋がる啓蒙活動』を発信させてもらいました。
釣りの安全性を高める様々な取り組みや、第三者機関から安全性の機能が担保されたDAIWAのライフジャケットの紹介なども行っています」。
アユの友釣りの常識を変える

そのDAIWAだが、来年から釣り人の安全に対する取り組みの一環として、新たな動きがある。それは毎年残念ながら死亡事故が発生しているアユ釣りに関することだ。同社が開催しているDAIWA鮎マスターズにおいて「来年からライフジャケットの着用が義務になる」と発表された。もちろん、釣り人の安全を高めるためだ。

DAIWAでは2017年からアユ釣り用にネックタイプの手動膨脹式救命具を発売している。さらに2024年にアユ・渓流釣り用の固型式フィッシングベストを発売。現在では多くのアユ釣り師にも受け入れられ、ヒット商品となっている。

アユ釣りは昭和の時代からライフジャケットを着用しない釣りだった。ライフジャケットは浮力があるため、強い流れの中に立ち込んだ際に、逆に流されやすくなるなど、アユ釣り特有の事情もあり、ライフジャケットは着用しないというのが常識だった。

性能がある。川で流されても体が浮く。
着用していれば、万一の際、
重大な事故のリスクを減らすことが出来る
しかし、現実的には毎年アユ釣り中に、釣り人が流されて死亡する事故が起きている。こういった事故は全国的なニュースになっており、報道される際にはライフジャケットの着用の有無も含めて報じられる。こういった状況を何とかしたいと、DAIWAのライフジャケット開発担当者は、遡ること10年以上も前からアユ釣り用のライフジャケット開発に乗り出していた。その開発の経緯を伺った。
ライフジャケットを着用していれば、助かる命もある
「アユ釣りでは毎年多くの死亡事故が全国ニュースで報道されています。それ以外に、ローカルの事故など報道されていないケースもあると思います。私は救命胴衣の担当になった後、警察を含めて事故状況のヒアリングを行いました。その結果、ライフジャケットを着用していれば助かる命があることが分かりました。また、様々な機会を通し、アユ釣り用ライフジャケットについては潜在的な需要もあると確信しました。

釣り文化を守ることにも繋がるはずだ
ただ当時は、試作を作る際は一部の方からも『暑い』『アユ釣りでそんなものは着れない』など反発もありました。しかし、ベテランのプロが『良いことだから着用しよう』と周囲や仲間に呼びかけていただいたことで、開発にも全面的に協力してくれるようになりました。

発売してみると、想定以上に好評でした。アユ釣りの方も高齢化し、体力の衰えや家族が心配されていることも多いです。そういった中で『本当はこういったライフジャケットがあれば着用したかった』とおっしゃる釣り人の方もいらっしゃいました。首巻式のライフジャケットと合わせて、販売数量も実際に伸びています。お客様の意識も変わってきていると思いますが、まだまだ死亡事故を減らすために、啓蒙をしていかなければならないと考えています」。

流れの中で踏ん張りが効かないといった理由で着用しない
ことが多い釣りだった
釣り文化を守るためにもライフジャケット着用の普及を
実際に、DAIWAの固型式ライフジャケットを着用していたおかげで命が助かったという釣り人からのお礼の声も、担当者に届いているという。
「若い方はアユ釣りの固型式ライフジャケットも受け入れていただきやすいのですが、60歳以上の方へのアンケート結果では、今までの常識があるためか、なかなかハードルの高さを感じさせられます。万一仲間の方が川でお亡くなりになると、友人など周りの方はアユ釣りを辞められてしまうケースが多いと聞きます。やはり、事故が思い出されるのでしょう。
こういった死亡事故が増えれば、アユ釣りを楽しむ人口が減少してしまいます。ライフジャケットを着用していれば、助かる命はあるはずです。万一、熱中症で意識が遠のいて川に流された場合でも、ライフジャケットを着用していれば浮いていますから、岸などに流れ着く可能性も高いです。普通に流された場合でも、足が着く場所まで流されて、復帰することも出来ると思います。死亡事故ゼロを目指していくことが、釣りの文化を守っていくことにも繋がると考えています」。
D.Y.F.Cで安全啓発を行う意味

正しい着用の仕方も教える。
これには大きな意味がある
DAIWAでは小学生から中学生までの子どもたちが入会可能なダイワヤングフィッシングクラブ(以下、D.Y.F.C:19歳まで在籍可能)を展開し、今年で50周年を迎えている。このD.Y.F.Cでは当初からライフジャケットの着用はもちろん子どもの安全対策を徹底して行ってきた。
10年前の40周年を機に、安全のレベルを更に高めるため、D.Y.F.Cオリジナルの固型式ライフジャケットのスペックを船釣り対応の桜マークの承認を取得し、さらに膨脹式ライフジャケットも開発。また、帽子や偏光サングラスの着用など、安全に対する取り組みを徹底している。子どもたちにライフジャケットを着用してもらうのには、イベント時の安全以外にも意味がある。このことについて、DAIWAの担当者に話を伺った。

着用してイベントが行われる
「D.Y.F.Cでも我々スタッフはもちろんライフジャケットを着用しますし、子どもたちにも、ライフジャケットの必要性と正しいライフジャケットの着用方法を伝え、自分自身でしっかりと覚えてもらえるようにコーチングしています。
こういった活動・啓蒙を行うことで、子どもだけでなく、そのご両親も安全・安心についての意識が高まります。またD.Y.F.Cのイベント以外に家族で水辺に行かれる際には、安全のためにライフジャケットを着用していただくキッカケにもなって欲しいと思っています」。

川、沖堤防、防波堤、漁港、湖沼など釣り場が立ち入り禁止になる大きな理由の1つが釣り人の重大事故だ。何より、釣り人が不幸にも亡くなってしまうことが、一番の悲劇だ。釣り人への安全・安心の啓発や安全対策のレベルアップは釣り界の将来にとっても非常に重要な取り組みだ。
DAIWAは率先して釣り人の安全対策のレベルを高めてきた。一部の岸釣りなど、以前はライフジャケットを着用しないことが一般的だった場所でも、明確な意思を持った取り組みを続けることで、これまでの常識や慣習も変えることが出来るはずだ。DAIWAは自主的に厳しいルールで釣り人の安全対策に取り組んでいるが、「釣り人の死亡事故をゼロにする」という目標は、釣り界全体で目指すべき取り組みではないだろうか。
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