【アジを釣りたい人必読】マアジの釣果アップのヒント。図鑑からは知り得ない!? 魚の生態を基に解説

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釣りエサのスペシャリスト・長岡寛さんの連載「お魚さんッ、私のエサに食いついて!」です。釣りエサに関する事以外にも魚の生態や環境など様々な内容を紹介します。

今回は、マアジの釣果アップのヒントについて解説して頂きました。

「お魚さんッ、私のエサに食いついて!」のカット
      

この章では、高度なテクニックはベテラン諸兄に、また美味しい調理方法については多くの愛好家の皆様に委ねつつ、図鑑からでは知り得ない、お魚さんの生態を基に私見を交えた釣果アップのヒントをお話しします。

今回は食用として多くの国民に愛され、釣り物としても大人気のマアジについてです(図1)。

マアジのイメージ
(図1)マアジのイメージ。図鑑では無いので、細かい部分についての表記は正確ではありません。悪しからず(笑)

マアジは、5月から11月にかけてがシーズンで、サイズを選ばなければ足場の良い岸壁から手軽に狙えるお魚さんです。

釣り人としては大きいサイズのお魚さんを釣りたいという願望を誰もが抱いているかと思いますが、マアジは小型であれば、骨が柔らかいため丸ごと唐揚げに出来るなど調理も簡単であるため、例え小型でも価値の高いお魚さんの1つでしょう。

まず最初に釣果アップを図ろうとするなら、そのお魚さんはどういう場所に居るのかを知ることです。どんなベテランであっても、装備が完璧であっても、そこに狙ったお魚さんが居なければ決して釣果に巡り合えないことは言うまでもありません。

そして次に大切なことは、そのお魚さんは何を好んで食べているのかということを知る必要があります。またこれらに付随して、その種特有の習性も知っておくことが大切です。

眼が大きく発達しているマアジ。よく釣れるのは昼?夜?

では、本題に移りましょう。

マアジは眼が大きく視力が発達しているお魚さんです。先ほど足場の良い岸壁からも手軽に狙えるというお話をしましたが、明るい場所を好まない性質があるため、天気の良い日の日中はタナが深くなります。

また、周囲が明るい時間帯は活発に餌を追うことはありませんから、釣果の期待は小さくなります。小型狙いはサビキ釣りでも良く釣れます。日中は全然釣れなくても例えばコサバやイワシが釣れているようであれば、夕方になると突然マアジに入れ替わることがあります。しかしながら曇天の日、潮が濁っているような時は日中でも良く食って来ます。

一方、口を使わないのは日中だけでなく真っ暗な夜間もあまり口を使うことはありません。夜間は照明の届くような場所であれば十分に狙うことが出来ます。そして、サイズが大きくなるにつれて外洋に面した深場が好ポイントとなります。

マアジは何を好んで食べるの?

では、マアジは何を好んで食べているのでしょうか?

(図2)はマアジの鰓耙(さいは)の写真です。鰓耙は以前にお話ししたように、海水と一緒に吸い込んだときその中にある餌を濾し取って消化管に取り込むための器官です。

マアジの鰓耙
(図2)マアジの鰓耙(左側が前方)

御覧の通り大変繊細な構造をしていて、普段は海中のプランクトンや小型動物を食べていることが伺えます。これとは別に口吻の写真を掲載していますが(本記事の図5)、ヒラメやタイのような大きく鋭い歯は持っていません。この両方から、マアジは硬い餌、大きい餌を食べるのは苦手であることが分かります。

私が見た限りでは、釣りエサとして最も好んで食べているのはアミエビ(赤アミ)で、小型のマアジは条件が揃うと投入した赤アミ目がけて海面に体を浮かせるほどの勢いで群がってきます。

ところが興味深いことに、加工したアミエビに対しては決してそこまでの反応は見られません。この理由についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

マアジの嗅覚、聴力は?キャスト時の着水音にも反応する?

アミエビにはアラニン、グリシンといったアミノ酸が大変多く含まれているので、マアジはそれを嗅覚で察知して集まってくるとも思いますが、嗅覚器官がある鼻腔の内側にある嗅板の構造を見ると、それほど複雑な構造ではないことから、やはり視覚を頼りに餌を食べるお魚さんであることが分かります(図3)。

マアジの嗅板
(図3)マアジの嗅板。あまり複雑な構造でないことから嗅覚への依存度は高くないと考えている

では聴覚はどうでしょう。マアジは魚体の大きさの割に立派な耳石を持っています。この耳石により群れの中の他の個体が餌を発見して食べだすことを察知してスイッチが入ります(図4)。

マアジ(体長約20㎝)の耳石
(図4)マアジ(体長約20㎝)の耳石

最近人気のアジングで使う、小型のワームでも大変良く釣れますが、キャストした時の着水音を敏感に捉えているようにも思います。

フッキングの場所も重要。どんなワームがバラシにくい?

さて、マアジ釣りの注意点として、(図5)の口吻(こうふん)の写真をご覧いただきたいのですが、吻(ふん)を伸ばしたとき口蓋の膜はとても薄く、すぐに破けてしまいます。

マアジの口吻
(図5)マアジの口吻。大変壊れやすい構造をしている

口の奥にしっかりとフッキングしていれば問題は無いのでしょうが、この薄い部分にフッキングしてしまうとファイトの途中でバラシの原因になってしまいます。

持ち帰って食べる場合は、相手が小型だからと言って油断しているとバラシが連発してしまい食いが悪くなってしまうかもしれません。

そしてもう1つ、ワームを使用する場合は、口に入る時、柔らかく容易に折れ曲がる形状、あるいはマテリアルのものをセレクトすることが釣果アップの秘訣になります。

◆長岡寛さんの連載「お魚さんッ、私のエサに食いついて!」の連載記事一覧はコチラ

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