【第21回】「川魚の食文化継承と創造」食べる事で高める淡水魚の価値

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京の川の恵みを活かす会主催、川の恵みを美味しく学ぶ「食味会」

活かす会代表の竹門康弘先生(京都大学防災研究所水資源環境研究センター准教授)

京の川の恵みを活かす会では、毎年秋に事業の総括として「川の恵みを活かすフォーラム(報告会)」を2部制で開催している。

第1部は淀川水系におけるアユの生息調査結果を中心に、流域各地で行われているさまざまな取り組みの報告が行われる。

そして、同フォーラム第2部がこの食味会だ(2021年10月31日に京都市日野野外活動施設で開催)。

食の面から川魚料理の価値を高め、魅力を発信する場になっている。活かす会のメンバーが時間をかけて食材を準備し、楽しみにしている秋の恒例イベントだ。

また、活かす会が掲げた「川魚の魅力創造及び発信拠点創出事業」は令和元年からスタートした水産庁の補助事業「やるぞ内水面活性化事業」に2年連続で採択された。

食を切り口にした内水面漁業活性化に向けた活動は他の採択事業に含まれておらず、全国的に注目を集めている。

今回のテーマは「川と河口の味くらべ!」

ビワマス、ナマズ、スズキなどを次々と捌く竹門先生

活かす会の活動は京都府下を流れる淀川水系4漁協が幹事団体となって活動してきたが、2年前から大阪市漁協とも連携して様々な調査を実施している。

食味会においても淀川河口周辺の海の幸も加えられるようになり、今年は「川と河口の味くらべ」というサブテーマでさまざまな食材が会場に持ち込まれた。

令和3年度の「食味会食材」は以下の通り。

ビワマス(琵琶湖産)、サツキマス(鴨川産)、アユ(各地の河川)、アマゴ(有田川産)、ニジマス(鴨川産)、コイ(鴨川産)、ナマズ(木津川産他)、アメリカナマズ(木津川水系・布目ダム)、ブラックバス(宇治川・鴨川産)、タモロコ(木津川水系・室生ダム)、ワカサギ(木津川水系・室生ダム)、ウナギ(淀川産)、スズキ(淀川産)、ヤマトシジミ(淀川産)。

その他、さまざま食材の他、加工品なども展示販売されていた。

おかわりする人も多かった鯉こく
明治25 年創業の「食育キッチン石黒」の四代目を継ぐ石黒美江さん。焼いているのはマナマズの蒲焼き
アユ釣りの名手である賀茂川漁協の若き組合長、澤健次さんが全国から集めてきたアユ
好評だったビワマスの造り
JOFI 奈良はアメリカナマズの料理を披露。食味会のために木津川水系で釣り上げた大型のアメリカナマズ。フライ、塩麴焼き、蒲焼き、燻製などで食した

若者に食べてもらってこそ、川魚の食文化は伝承される

バスフィッシングや渓流のルアー&フライフィッシング、ヘラブナ釣りなど、キャッチ&リリースが当たり前の風潮となった淡水のゲームフィッシング。

そこには限られた資源量をキープしたい釣り人の思惑がある。

ただ、内水面漁業は釣り人を満足させるためにあるのではなく、持続可能な産業として残していくためには淡水魚の食文化継承は欠かせない取り組みといえそうだ。

川魚の食文化は今後どのように継承されるのだろうか。京都の取り組みは今後の大きなカギになりそうだ。

(了)

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