【第13回】日本一釣れるワカサギレイク「河口湖」。不漁続きから7年連続の豊漁。その取り組みを取材

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富士山を眺めながら釣りが出来る河口湖
富士山を眺めながら釣りが出来る河口湖。釣り人にも永年親しまれているフィールドだ

ワカサギファンを魅了する釣り場「河口湖」

内水面漁業においてワカサギはとても貴重な魚種だ。ドーム船や屋形船などの設備が充実し、今や主流となった小型電動リールや魚探を駆使した釣りが普及したことで、2000年代に入って再びこの釣りのファンが増加した。

河口湖のドーム船
シーズン中、平日でも予約が取りにくいほどの人気だ。※撮影はコロナ禍以前のものです

もともと水産資源として北日本を中心に広く移植されてきたが、釣り対象魚としてベテランから初心者、ファミリーでも楽しめることから、冬期の観光資源にもなっている。

今回取材した河口湖は、ここ数年で最もワカサギ釣りファンを魅了している釣り場の一つだ。7年連続で豊漁が続き、手慣れた人が10束(1000尾)を釣っても誰も驚かない。20束、30束を狙え、日本で一番釣れる釣り場とまで言われるようになった。

河口湖で釣れたワカサギ
今ではワカサギ日本一とも言えるようになった河口湖。毎年多くのワカサギファンで賑わっている

しかし、絶好調の河口湖からは想像もできないくらい不漁が続き、漁場管理に喘いでいた時期があった。

最新の人工孵化器を導入し、全国に先駆けて稚魚放流を試みたこともあったが、釣り人を楽しませるまで増殖させることができなかった。

では、河口湖のワカサギ釣りはどのようにして復活したのか。

今回はワカサギ不漁の原因を解明すべく河口湖のワカサギと動物プランクトンの関係を調査研究してきた山梨県水産技術センターの岡崎巧氏にワカサギを取り巻く環境変化について話を伺った。

放流時期を早める事で不漁を脱出

富士五湖のワカサギ釣りといえば山中湖というイメージが強いが、河口湖へは上の表にある通り、100年以前(大正6年)にワカサギが移植された記録が残っている。

富士五湖は噴火による堰止湖のため、いわば自然に誕生したダム湖。ブラックバスだけではなく現在生息しているほとんどの魚が移植されたものだ。

その中でもワカサギは数十年もの長きにわたりこの湖の内水面漁業を支え、厳寒期の氷上穴釣りは冬の風物詩といわれるまでになった。

しかし、1985年から極端な不漁に転じ、その後は放流を繰り返しても釣果は回復しなくなった。その原因はどこにあるのか。下の(図1)に示されたダフニア(ミジンコ)とワムシ(小型の動物プランクトン)の生物間相互作用にあると、調査研究に当たった岡崎氏は仮説を立てた。

(図1)ワカサギの不漁が続く悪循環の原因 (出典:河口湖におけるワカサギ不漁と動物プランクトン相の関係より)

不漁の年には初期減耗といって孵化後早期に死滅していることが1988年からの調査で判明し、孵化に成功してもすぐに食べることができる大きさのエサ(ワムシ)が少ないことから餓死したと考えられた。

他の研究者が大型のダフニアが存在するとワムシが増えないという調査結果を発表し、河口湖にもそれが当てはまった。プランクトン調査でも通年ダフニアの密度が高い状態が続き、ワムシの繁殖を押さえ込んでいた。

プランクトンの増減サイクルはまず春先に植物プランクトンが増え、その後にワムシなどの小型のプランクトン、最後にダフニアの順に個体数を増やすことが多い。ワムシが増えたタイミングで孵化させることが理想となる。

岡崎氏が2013年に漁協へ提案したのは、放流時期を早めること。ダフニアの密度が高いといっても増減を繰り返し、少しでもダフニアが減少する時期(ワムシが増える時期)に孵化させたところ、2014年には初期減耗という大きな難題を解決できた。

ダフニアとワムシはエサ(植物プランクトン)をめぐる競争関係にあり、ワムシがダフニアの濾過器に吸い込まれて死滅することもあるという。ただ、成長したワカサギにとってダフニアは格好のエサとなる。

2012年12月、釣るのは難しいが刺し網で捕れた大型個体の胃の内容物を調べたところ、ダフニアが92.71%、ケンミジンコが7.16%を占め、密度が高いダフニアを飽食してシシャモのようなサイズまで育っていた。そのような状態だから釣りエサに見向きもしなくなったと考えられた。

2014 年は個体数が増えたことで成長したワカサギが今度はダフニアの繁殖を押さえ込み、不漁の原因となった仔魚期にワムシが増えないという負のスパイラルをここで断ち切ることができ、それ以降は豊漁が続いている。

岡崎氏は不漁が続く釣り場では、その湖での本来の産卵期に放流時期を合わせることも大切だという。

河口湖の場合、2月下旬から3月上旬が産卵のピークになるが、不漁期には北海道産の卵を購入し、放流が4月中旬以降にずれ込んでいた。

2014年は放流時期を早めるために3月から採卵する芦ノ湖から卵を調達した。

産卵場の環境が自然繁殖を左右する

産卵期に遡上するワカサギ
産卵期に流入河川を遡上して産卵する。黒く見えるのがワカサギ、黄色く見えるのは産み付けられた卵

1985年から続いた河口湖のワカサギ不漁は、自然産卵や産卵場適地の減少もその要因と考えられると岡崎氏はいう。

河口湖の興味深い事例として、大石地区に流れ込む奥川の水量が上流のトンネル掘削工事で増え、産卵期になるとこの河川に大量のワカサギが遡上するようになった。川底が卵で黄色く染まるほど河床に卵が産み付けられた。

また、漁協の側を流れる寺川においては、河口部にある消波ブロックを撤去したことにより遡上しやすくなって産卵が確認されるようになった。

河口湖はもともと産卵適地が少ないことから条件が揃った場所にワカサギが集中したとも考えられるが、自然再生産を促すうえで産卵環境を整えてやることはワカサギを増殖させるには大切な作業の一つだという。

これまで幾度と増殖に失敗して断念している釣り場も少なくないが、最適な時期に放流を実施し、産卵場を造成することによって河口湖のように不漁から豊漁へ転換する可能性は十分にあるだろう。

次ページ → 河口湖漁協の取り組みを紹介

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