【第9回】室生ダム(奈良県)に見る漁場管理のアウトソーシング

スペシャル ニュース
室生ダムの風景
奈良県宇陀市にある「室生ダム」。釣り場としても長い歴史がある。漁協の活性化事業が今注目されている

弱小漁協が釣り人参加型漁場管理で集客力UP!

海のない奈良県。奈良県の漁業協同組合連合会に所属するのは当然ながら内水面漁協のみである。現在同県で活動している漁協数は25。そのうち連合会に所属しているのは17漁協。約3分の1の8漁協は連合会から脱会している。

奈良県の漁協は熊野川(十津川と北山川)と吉野川の2つ水系を中心にアユとアマゴの漁場管理に注力してきた。ただ、ダムで河川が分断され、放流に頼るアユ釣り場の環境は全国的に芳しくなく、奈良県も例外ではない。自治体からの補助金を頼みの綱にしている自立していない漁協がほとんどだ。その漁業支援の予算を減額する自治体が増え、さらに漁協経営を圧迫している。

また、海なし県ながら他府県にある内水面試験場等の公的な水産研究機関がなく、そのことも漁協の新たな取り組みを難しくしている。

「釣り人参加型」&「アウトソーシング型」漁場管理を紹介

今回は弱小漁協の運営モデルとして、「釣り人参加型」&「アウトソーシング型」の漁場管理で集客力を高めている室生ダム(奈良県宇陀市)にスポットを当ててみた。

このダム湖は上流側の宇陀川漁協と、下流側の室生ダムの2つの漁協の管轄内にある。両漁協ともに漁業協同組合連合会から脱会し、宇陀川漁協は今年からアユの増殖事業を休止。

室生漁協はかなり以前にアユの漁業権を放棄して、解禁当初だけ楽しめる成魚放流のアマゴ釣り場だけを運営している。そして、ダムの漁場管理は漁協組合員ではない一般人に委託している。積極的な活動をしていない漁協であっても漁業権を手放さないことが多く、室生ダムのように漁場管理を完全に外部へ委託するケースも希である。

室生ダムの漁協委託管理者である平崎大介氏は、熱いヘラ師として釣り人の間ではその名を知られている。室生ダムの漁場管理はほぼヘラブナ一魚種だが、高齢化が著しいヘラブナ釣り界を見ていると将来的に厳しく、平崎氏は十余年のレイクキーパー業も介護の仕事と兼業で成り立たせてきた。

雇われ管理者としてその立場は弱いが、長年のヘラブナ釣り場運営で信頼を得て、2020年から公益財団法人日本釣振興会奈良県支部やJOFI奈良(ともに代表は窪悟氏)、釣り人の協力を得て「室生ダム活性化プロジェクト」を立ち上げた。今回は記者自身もこのプロジェクトに携わってきたので、その経過を魚種別に報告したい。

次ページ → 釣り人の有志が立ち上がり漁協へ提案!

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