和歌山県有田川で標識放流したアマゴ親魚の産卵行動を確認!
2021年10月4日、(公財)日本釣振興会和歌山県支部はつり環境ビジョンの助成事業として、有田川と紀伊丹生川の2河川にアマゴ親魚放流を実施した。
放流量はアマゴ親魚(2年魚)20㎏。有田川と紀伊丹生川ともに約100尾ずつ放流を行った。
天然アマゴが一部水源域に残る可能性があるため、京都大学生態学研究センター准教授・佐藤拓哉先生に放流場所等の助言をもらいながら実施した。
今回の放流は佐藤先生をはじめ、漁業関係者、県職員(内水面試験場)、釣り人が参加。放流魚の追跡調査を行うためにリボンタグをアマゴの背中に打って放流した。
放流魚の追跡調査
①放流日:2021年10月4日
麻酔にはクローブ油を使用し、背中にピンクのリボンタグを打って放流した。
少し大きな石を並べ、流れを堰き止めてその上流側に小石を敷きつめるように産卵場を造成。
②放流2日後:2021年10月6日
すべての魚が残っているのではと思えるほどリボンの付いた魚を確認できた。小さな群れになっているものや、上流の堰堤下プールまで遡上している個体もいた。
③放流17日後:2021年10月21日
2日前(10月19日)に確認した人の情報ではまだ静かとのことだったが、この日はオスによる闘いが始まり、広範囲で騒がしくなった。
④放流25日後:2021年10月29日
2~3日前(10月26日、27日)に確認した人の情報では産卵のピークとのことだったが、この日は確認できる魚が減少。産卵をした場所なのか川底が白っぽくなった場所が複数確認できた。
産卵行動に入ったタイミングで採卵し受精させる。11月下旬にはこの卵で発眼卵放流を行った。
(了)
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