磯の嫌われ者「イスズミ」は意外と美味?その生態に迫る!【長岡寛・お魚さんッ私のエサに食いついて!】

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磯釣りのイメージ
磯釣り師からも煙たがられる外道「イスズミ」。今回は、釣りエサのスペシャリスト・長岡寛さんに、その生態や魅力を解説して頂きました

ようやく寒さから解放され、磯釣りにとっても心地よい季節となり、弾む気持ちを抑えて、早速撒き餌を投入…。

すると、おっ!磯際には多数の魚影が見えて来たではないか…。しかも黒っぽい魚体。これは本命のメジナでは…?と期待が高まったのも束の間。良く見ると尾の先端が黒く、何となくではあるが、メジナとは少し違う…。

こんな経験をお持ちの磯上物釣り師は私を含めて、沢山いるのではないでしょうか。

針掛かりすると強烈な引きがあるものの、海面に出てきた姿を見るや否やがっかり。しかもどうやら尻のあたりから黄土色の糞が噴き出している。

イスズミはある意味、メジナ狙いの釣り人をがっかりさせてしまう典型的な外道といっても良いかもしれません。イスズミが釣り人の間(地方によって)でババタレと呼ばれる所以はここにあります。

イスズミのイメージ
イスズミのイメージ

私事ながら63㎝の大型を仕留めたことがあり、そのパワーはメジナ以上で繊細なタックルに掛かってくると、本命なのか外道なのかは別にして、釣り人にスリルを楽しませてくれます。

分布域の多くはメジナと重複してはいるものの、メジナよりもやや暖かい海域を好み、メジナの本格シーズンの終盤、海水温が上昇し始める頃から活発に餌を追うようになります。

ではイスズミの体の構造を観察してみましょう。

イスズミの歯はメジナの歯とどう違う?

メジナの歯が柔らかいブラシのような形状となっているのに対して、イスズミの歯は硬くて小さく、糸鋸のような感じです。そのため、釣り針を飲み込まれるとハリス切れを起こします。

ここで興味深いのは、釣り人がオナガと呼んでいるクロメジナも歯が小さくて硬いのですが、同じように釣り針を飲み込まれた時、(状況により違いはありますが)クロメジナは瞬時にしてハリス切れを起こしやすいのに対して、イスズミは歯の鋭さが鈍いためか、暫くやり取りをした後に切られるケースが多く見られます。

その時、切られたハリスの先端を観察すると、細かい傷が多数見ることが出来るため、クロメジナでは無いということが分かります。

イスズミの歯
イスズミの歯

イスズミはメジナと同じ物を食べている?

イスズミの鰓耙(さいは)ですが、私の2つある標本のうち一つは28本。そしてもう一つは21本です。

イスズミの鰓耙
イスズミの鰓耙。左が駿河湾で右が相模湾の個体(いずれも左側が前方で裏から見た画像)

同種であるにもかかわらず、こんなにも差が大きいのかという印象を受けましたが、両者共に文献に記載されている範囲内であり、こんなにも違いがあるものかと感心しています。

いずれにしてもメジナの鰓耙数である28と数値が近いため、歯の構造も考え合わせるなら、メジナよりも硬い海藻類を好んでいる傾向があると推測されるものの、ほぼ同じものを食べていることになります。

これが、メジナと生息域が同じであることから、厄介な餌取としてメジナ釣り師を悩ませる要因の一つになっています。

匂いに対する感度は?

では、匂いに対する感度についてはどうでしょう。

イスズミの嗅板を観察すると、相対的な大きさや構造はメジナと似ていて、ここだけ見ても定量的な違いを判別することは不可能です。個人的にはほぼ同等ではないかと考えています。

イスズミの嗅板
イスズミの嗅板(右側が前方)

イスズミの聴覚は?

耳石を観察してみましょう。

これも相対的な大きさや形状はメジナに大変似ていて、単体で見せられても判別するのが難しいというのが私の感想です。

イスズミの耳石
イスズミの耳石

〇〇を噴出するから外道?刺身とから揚げで食べてみると…?

以上のことから、メジナを釣ろうといざ釣り場に到着して撒き餌を投入した時、イスズミばかりが群れをなしている状況に遭遇してしまうと、これをかわしてメジナを釣り上げることはなかなか困難な技であるとしか言えません。

イスズミが外道扱いされるもう一つの大きな理由は、冒頭の通り、仕掛けに掛かって海面近くまで浮上させると、あの黄土色の〇〇を噴出する仕草も影響しているかと思います。

勿論、海中にバラまかれた〇〇が海面上の私たちに匂うことは無いのですが、目に焼き付いたあの光景が、魚体の食味に印象を与えてしまうのでしょう。これが、釣り上げてから家に持ち帰って食べようという気持ちを萎えさせてしまいます。

調理方法のお話については専門の諸兄に委ねるとして、実際に釣り上げた直後、鮮度を保つためにすぐに〆て内臓を除去し、持ち帰って食べてみましたが、思ったような磯臭さを感じることは無く、刺身でも唐揚げでも美味しく頂きました。

イスズミはメジナやブダイ、アイゴなどと共に植食魚として藻場の減少に影響を及ぼしているため、有効な利用方法が模索されています。そのため、食用としての価値も更に検討していく必要があるお魚さんの一つです。

不幸にして終日イスズミの嵐に遭遇してしまうこともありますが、その一部は鮮度を保つように処理を施して、持ち帰って食べるというのも楽しみ方の一つかもしれません。

関連ページ → 長岡寛 | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト

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