釣具業界の企業や団体が行っている、釣り人を増やす商品や取り組みを紹介する「釣り、はじめませんか?」のコーナー。
今回は(株)ジャッカルが2019年より展開している新ブランド、「RGM」(ROOSTER GEAR MARKET・ルースターギアマーケット)を紹介する。
RGMでは釣り竿、仕掛け、ボックス、バッグ等を展開しているが、従来のジャッカル製品はもちろん、一般的な釣り具とは全く異なった世界観を作り上げている。なぜ、ジャッカルがこのブランドを始めたのか、どういった思いでブランドを作り、展開していくのか。ジャッカルのRGMチームに話を伺った。
釣りをした事がない人や、既に釣りを楽しんでいる人にも新しい形で釣りを提案
ROOSTER GEAR MARKET(以下、RGM)では、まだ釣りの楽しさを体験していない人や既に釣りを楽しんでいる人にも、今までの釣具業界ではあまり行われて来なかった新しい形で釣りの提案が行われている。
ちなみに、RGM (ROOSTER GEAR MARKET)の意味は、釣りは早起きがつきものなので、「いつも早起きをするROOさん(ROOSTERはおんどりの意味)の釣り道具やさん」という意味だ。以下、RGMメンバーに話を伺った。
多様な価値観を持つチームで運営。異なった価値観を積極的に取り入れる
―最初にRGMチームのメンバー紹介をお願いします。
苅谷氏「RGM事業部長の苅谷です。前職はアウトドアメーカーで10数年勤務していました」
北氏「北です。RGMの映像制作を担当しています。以前は主にジャッカルのバス関連の動画制作を担当していました」
堀氏「堀です。RGMのデザインを担当しています」
久保氏「久保です。RGMのイベント企画、広報、デザインなど幅広く担当しています」
ROOさん「RGMの事業を統括させて頂いているROO(ルー)です。まず、今回チームで取材を引き受けさせて頂いたのは、RGMは多様な価値観との接点を持つ事を大事にしているブランドです。ですから、ブランドを作っていく側も多様な価値観を持つメンバーが集まったチームで運営しています。
メンバーのキャリアや経歴も様々ですし、男性、女性、熱心な釣り人から釣りはほとんどしないメンバーまで、趣味嗜好やバッグボーンも異なった人が集まっています。RGMはそういったメンバー同士で議論して、異なった価値観を積極的に取り入れながら運営しているブランドです。その事を皆様にも分かって頂きやすいと思い、チームで対応させて頂きました」
キッカケは「今までとは違う切り口で、何か面白い釣りの提案ができないか…?」
―まず、RGMを立ち上げられた経緯を教えて下さい。
ROOさん「RGMを具体的に立ち上げる以前の話ですが、そもそものスタートは『何か面白い事をやりたいね』という軽い提案からです。ジャッカルではよくこういった話が行われているのですが、『今までとは違う切り口で、何か面白い釣りの提案が出来ないか』という事を以前から考えていました。
何故、こういった事を考えていたかと言うと、釣り具の市場もこの20年間で大きく変わってきたと思うのです。釣り自体も変わりましたし、世の中の環境も大きく変わりました。
しかし、釣具業界では依然として、昔のフォーマットのまま、今のお客さんに対して、釣りのスタイルや商品の提案をしている事が多いと感じていました。ですから、今のお客さんの価値観やライフスタイルに沿わなくなって来る部分も出てくるのではないか、そう感じる事が多くなっていました。
昨年(2019年)ジャッカルは創業20周年を迎えました。RGMは昨年のフィッシングショーでお披露目させて頂いたのですが、ジャッカルもお陰様で、今ではそれなりに多くの釣り人に知って頂いているメーカーになりました。
20周年という節目を機に、今まで釣具業界が行ってきた事とは違った切り口の面白い提案を行う事で、釣りの新しいスタイルが提案できたり、釣りをされない人にも新しいユーザーさんになってもらえる事が出来るのではないか。それが、釣り人や業界に育てて頂いたジャッカルに求められている事でもあり、業界に貢献できる事でもあると思ったのです。こういった事を考えているウチに『面白い事』の方向性が決まっていきました」
「プラス釣り」を提案して、更に楽しい趣味にして欲しい
―「面白い事」の方向性が決まった後、それがどのようにして「RGM」というブランドになったのでしょうか?
ROOさん「近年はご承知の通り、アウトドア市場が活発化しています。釣りもアウトドアレジャーの1つですから、まずはアウトドアを楽しまれている方に、釣りも含めた新しいアウトドアの楽しみ方をご提案できないか、という事を考えました。
例えばキャンプをされる方が増えていますが、『キャンプはするけど釣りはしない』という方も多いのです。あるいは、水辺のレジャーでSUP(スタンドアップパドルボート)も人気ですが、『サップは乗るけど釣りはしない』という方も多いのです。
こういった方々に『プラス釣り』を提案する事で、今楽しんでおられる趣味が、更に楽しくなる提案が出来るのではないかと考えました。単にアウトドアブームに乗っかるという事では全くなくて、ジャッカルは釣具のメーカーですから、アウトドアで既に水辺で遊んでおられる方々に『プラス釣り』の楽しさを提案したい。そうする事で、新しいユーザーさんに釣りの楽しさを知って頂けますし、結果として釣り人を増やす事にもなるのではないか。こういった事を考えていく内に、RGMのコンセプトが固まっていきました」。
子供の頃にした釣りが懐かしい…、そう思ってきたベテランアングラーに今の価値観でリメイクした「釣り」を提案
―RGMの商品は釣具店でも売られていますが、今釣りをしている人に対してはどう考えていますか。
ROOさん「RGMは今まで釣りをされてきた方にも新しい釣りとの関わり方を提案したいという事も最初からコンセプトにあります。
ジャッカルはもともと、お客さんに尖った提案をしてきた会社です。会長の加藤や社長の小野もバスフィッシングのトップトーナメンターですし、ルアーフィッシングの様々な場面で尖った釣りをされているお客さんに育てて頂きながら、一緒に成長してきた会社だと思っています。
しかし、そういう尖った釣りを突き詰めながら、ある年齢に達してくると、子供の頃に楽しんでいた釣りが懐かしくなる時があると思うのです。「釣りはフナに始まりフナに終わる」ではないですが、ある程度の年齢を重ねた釣り人は、子供の頃は近所の水路や池等で延べ竿を使って小ブナやタナゴ等を釣って、釣りの楽しさや自然の豊かさを感じてきた人が多いと思うのです。
そういった釣り人に対して、いわば『釣り人の帰ってくる場所』のようなアイテムや釣りの提案が出来ないだろうかと考えました。もちろん、そのまま数十年前の釣りのスタイルに戻るのではなく、今の価値観で昔楽しんだ釣りを見直していくとこういったスタイルになるのではないですか、という提案です。
釣り人の帰ってくる場所として、またアウトドアを楽しまれる方や、アウトドア以外でも一定の価値観をお持ちの方に幅広く『プラス釣り』をご提案して、より楽しい生活や非日常の体験をして頂きたい。こうやってRGMのコンセプトが決まっていきました。ですから、RGMは同じ趣味嗜好の方だけを対象とするのではなく、価値観の合う色々なジャンルの方と接点を持つ事を大切に考えています」