秋田港北防波堤開放日の様子。良型クロダイ(チヌ)多数。アジは入れ食い、カサゴ等も多数。エサ釣り、ルアーフィッシングなど様々な釣りを満喫
最後に(一社)秋田港有効利活用協会、佐々木副会長に開放までの経緯を聞く
40年以上前は誰でも釣りが出来た場所。転落事故が相次ぎ閉鎖。
そもそもこの秋田港北防波堤ですが、40年以上前は普通に誰でも釣りが出来る場所でした。それが閉鎖されたのは転落事故があったからです。
当時、管理者が注意喚起の看板を設置するなどしましたが、それでも釣り人が侵入し事故が起きました。そして、今度は柵が出来たのですが、それを乗り越えて侵入する釣り人がおり、さらに事故が起こるなどで、時代はハッキリとは分かりませんが、厳重な柵が作られ、完全に立ち入り禁止となり、現在に至っていました。
市長の挨拶にもありましたが、市長が県議時代に私が「秋田港で釣りが出来るようにならないか」と話した事はあったのですが、具体的な動きにはなりませんでした。
ただ平成29年に秋田県が秋田港を活用して地域振興を行うという話が出てきました。
実はその前にも、私と当時の日本釣振興会の専務理事だった清宮さんらで「開放して欲しい」と打診しに行った事もあります。その時も話は聞いてくれたのですが、大きな動きはなかったです。
しかし、県が秋田港を活用するため、いろいろな将来ビジョンを考えた時に、物流や観光などの分科会が設置され、それぞれ検討が行われたのですが、釣りの振興を含めて港全体をどう観光的な施設として活用するのか、こういった分科会の中に私が委員として入りました。
この当時、秋田港湾事務所で所長をされていたのが、我々(一社)秋田港有効利活用協会の事務局長をしてもらっている松渕さんです。私が開放して欲しいと頭を下げに行くと、非常に釣りの好きな方で、定年も近かったということで、この開放事業に参加してもらったのです。松渕さんがいなければ、このスピード感で開放はできなかったと思います。
そうしているうちに、国交省の本省でも「釣り文化振興モデル港」が始まり全国的な動きが出てきました。日釣振の水際線委員会でも動きながら6回の検討会を重ねて開放が決まりました。
施設の管理は、(一社)秋田港有効利活用協会が行います。この団体は北防波堤を管理するために立ち上げた一般社団法人です。当然、経営していくので収支も気にしながら運営していく必要があります。ただ、まずは釣り人の安全が第一です。
定員も最初は100名としています。防波堤のキャパシティから言えば、数倍の人数でも入場する事は出来るのですが、検討会の中でも「安全に管理できる人数」という事が決められていますので、最初は100人でスタートしています。
今回の開放は、県の秋田港を使った地域創生の流れがあった事や、国土交通省の「釣り文化振興モデル港」の取り組みが始まり、日本釣振興会の動きや、地元で本当にボランティアの感覚で、熱意があって、さらに色々な分野で非常に能力の高い人が集まって頂けたからこそ、こうやって開放の日を迎えられたのだと思っています。
一般社団法人秋田港有効利活用協会公式ホームぺージ 開放の状況や釣果などが掲載。訪れる前にはぜひチェック!
今、釣りが出来る場所を大切に!安全は最重課題
今回、開放された秋田港北防波堤は、地域の釣り人はもちろん遠方の釣り人にも喜ばれる良い釣り場だ。
釣りをする際に一番大事な事は、安全を確保して釣りを楽しむ事だ。そもそも、転落事故によって長年閉鎖が続いていた場所であり、万一事故が起こっては元も子もない。多くの人の努力で安全を確保できる状態になったからこそ、再び釣りが出来る場所になったという事は釣り人も忘れてはならない。
また、この秋田港北防波堤は釣り人だけでなく、地域経済の発展にも貢献が期待されている。(了)
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