【フィッシングマックス】釣り場清掃からSDGsへ。地域社会にも貢献

スペシャル ニュース
兵庫県芦屋市にあるフィッシングマックス本社
SDGs
一般のニュースでもよく取り上げられている「SDGs」。釣り関係企業にも当然関わりのある事から、取り組みを始める企業も増えている

 関西で釣り具の量販店を展開するフィッシングマックス(兵庫県芦屋市本社・𠮷田学社長)では、2020年の秋口から本格的に「SDGs」(エスディージーズ)に取り組んでいる。

 近年、ゴミ問題等による釣り場の閉鎖が釣り界の大きな課題となっているが、フィッシングマックスでは数十年前から釣り場の清掃を継続して行ってきた。また、地域社会に貢献する活動にも積極的に取り組んでいる。フィッシングマックスのSDGsの取り組みを取材した。

30年以上前から行ってきた釣り場清掃がSDGsに繋がる

水辺の清掃を行なうフィッシングマックスのスタッフ
自主的に行ってきた釣り場の清掃から「SDGs」に繋がった

 関西ではおなじみだが、フィッシングマックスは兵庫、大阪、和歌山の大阪湾沿いにリアル店舗を11店舗とウエブショップを展開する釣り具の大手量販店だ。

 店舗はいずれも釣り場に近く、特に大阪湾で釣り楽しむ人にとっては欠かせない存在の釣具店だ。

 SDGs(エスディージーズ)とは周知の通り、持続可能な世界を実現するための17のゴール(目標)・169のターゲット(具体的な達成基準)を設定し、幅広い課題に取り組んでいくものだ。

 ゴール(目標)としては、貧困を終わらせる事や、ジェンダー平等、近代的エネルギーへのアクセス確保など様々なものがある。釣り界としては、ゴールの14番「海洋資源の保全」が直接的に関係がある項目だ。

 フィッシングマックスが、このSDGsに取り組むキッカケは、釣り場の清掃活動だったという。

以前から清掃作業を行っていたフィッシングマックスのスタッフ
フィッシングマックスでは、以前から釣り場の清掃作業を行っている

釣り場の減少やSNSの普及など、釣りを取り巻く環境が大きく変化

 フィッシングマックスは2019年に創立50周年を迎えた。大阪府の泉大津市から始まり、当初から現場に近い釣具店として釣りエサ等を中心に販売してきた。

 釣り場のゴミ問題は昔からあり、フィッシングマックスでは30年以上前から独自に釣り場の清掃活動を続けてきた。

 しかし、以前はこういった社会貢献活動は表に出さず、粛々と行う事が日本の美徳とされており、フィッシングマックスでも広く周知する事は数年前までしてこなかった。

 しかし、近年、釣り場の減少問題が以前に比べて深刻になってきた事や、SNSの普及により、釣り人や釣りに関わる団体が釣り場の清掃活動等を行っている事を、知ってもらおうという動きも出てきた。

 そういった中で、フィッシングマックスでも自社が行っている清掃活動を広く知ってもらった方が良いのではないかという話になり、自社サイトやSNSで情報を発信し始めた。この事が、SDGsへの取り組みに繋がっていく。

 特にコロナ禍が始まった2020年は新規の釣り人や釣りを再開した人が多いと言われる。釣り場は多くの釣り人で賑わっている。

 その一方では、近隣住民からフィッシングマックスへ「ゴミが多くて困っている」といった苦情の電話が掛かる事も多いそうだ。周辺の住民も苦情を伝える相手が不明なので、フィッシングマックスに連絡してくるケースが多いと思われる。

 釣り場のゴミは様々な物があるが、フィッシングマックスとしてもこういった苦情を放置する事は出来ないとして、会社を挙げて釣り場の清掃に取り組んでいる。

最低週1回は釣り場を清掃。5.7トンのゴミを回収

 実際に2020年3月から9月まで、和歌山市から兵庫県の垂水区までの釣り場で、最低週1回は清掃を行い、集めたゴミは合計で5.7トンにのぼるという。

 フィッシングマックスでは、こういった釣り場にゴミが多い現状を知ってもらう事と、釣具メーカーにも出来るだけゴミ自体が減るよう、過剰な包装について考えて欲しいとしている。

 実際にフィッシングマックスのアミエビを包装しているパッケージには、植物由来成分を積極的に使用した「ボタニカルインク」を使用している。

 パッケージの変更や素材の変更は、メーカー1社のみの取り組みではコスト的にも難しい。業界を挙げて取り組む必要もありそうだ。

次ページ → NPOに協力など具体的な活動を紹介!

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