コロナ禍で釣りが世間から大きく注目を集めた事もあり、釣具店の万引き被害は近年では再び増加傾向となっている印象がある。
店舗で万引きや大量窃盗の被害を減少させるには、店舗全体の防犯意識を高める事や防犯設備の導入等が考えられるが、いずれも専門家による指導やある程度の導入費用が掛かる。
今回はどの企業でも手軽に導入出来、小売店の万引きや大量窃盗対策に効果的な「EMLINX(エムリンクス)」を紹介する。
釣具店は昔から万引き被害が多い
釣具店は、他業界の店舗と比べてもともと万引き被害が多いと言われている。
釣具店の店内には一般的に数千円する高価な商品が誰でも簡単に手に取れるよう、大量に陳列されている。しかもポケットやカバンに入れやすい小さなサイズの商品が多い。特に小型で高額なルアー関係商品が増えている近年、万引き被害が多い傾向は今後も続くと思われる。
また、フリマアプリやネットオークションの普及も進んできた事で、盗んだ商品を現金化できる方法も多くなっている。さらに、今後復活が予想されるインバウンドも、万引きや大量窃盗被害を増やす要因となる可能性もある。
釣具店では、今、防犯対策の更なる意識向上が求められているはずだ。
地域犯罪撲滅を目指す新しいネットワーク
今回は既に多くの釣具店が加盟し、万引き被害防止に役立っている高千穂交易株式会社(東京都新宿区本社・井出尊信代表)の「EMLINX」(以下、エムリンクス)を紹介する。
関連リンク → 店舗向け情報配信サービス 『EMLINX(エムリンクス)』 店舗向け情報配信サービス | 高千穂交易株式会社 (takachiho-kk.co.jp)
エムリンクスとは、小売店向けの盗難被害情報の緊急通報システムで、通報された被害情報が企業間を超えて、加盟各社に共有される事が一番大きな特徴だ。
小売店がエムリンクスを導入するのに必要なものは、ネットワークに繋がるパソコンやタブレット等の端末1台と、使用可能なメールアドレスが1つだけだ。それ以外に特別に必要となる設備等はない。費用は1店舗あたり月額1100円(税込み)。工事等も不要だ。
導入費用も安価で、各企業ではなく地域の釣具店が協力して犯罪情報を共有し、各店舗の万引き被害の防止や地域の犯罪撲滅に貢献できるエムリンクスは、釣具店という業態に非常に適したシステムだと思われる。
エムリンクスの運用は簡単。入力も2-3分、業務効率もアップ
それでは、実際にエムリンクスを導入した場合、どういった手順を行えばよいのかを説明する。
まずエムリンクスを導入すると、エムリンクスのクラウド上の自社ページにアクセスできるようになる。
もし、自社の店舗で万引き被害が起こってしまった場合は、その発生日時、人物の特徴、被害品情報、車のナンバーなどを事件発生後速やかに入力する。入力自体は通常、2~3分もあれば十分に出来る。
ここで登録された犯罪のデータは、自社内での情報共有はもちろんだが、エムリンクスを使用している他社に速報メールが送られ、即座に情報が共有される。
当然、他社がエムリンクスに登録した犯罪情報を、こちら側も見る事が出来る。
つまり、エムリンクスの利用企業全体で犯罪の情報共有を行う事で、各店舗で犯罪を未然に防ぐ事や犯人逮捕に役立ち、地域犯罪の撲滅に貢献出来る仕組みとなっている。
通常であれば、自社の近隣にある同業他社の店舗で万引きが発生した場合、こういった被害情報は共有されないため、同一犯が次は自社の店舗で犯行を行ってくる可能性もある。
しかし、エムリンクスに登録していれば、自社店舗の周辺加盟店が犯罪情報を登録すると、すぐに速報メールが届く。
このメールには犯人(グループ)の特徴、車のナンバー、犯行の手口なども書かれており、その情報を元に自社の警備強化を行う事が出来る。
速報メールで見た怪しい人物が入店してきた場合、店員側から積極的に声掛けをするなど「積極防犯」の姿勢を取ることで、万引き被害を回避できる可能性が高くなり、犯罪防止や後の逮捕に役立った事例もある。
店舗の防犯意識向上に役立つ
エムリンクスを実際に活用している釣具店では、万引き等の犯罪について新しい発見もあり、防犯意識の向上にも役立っているという。
例えばある釣具の大型量販店では「伊東市(静岡県)で万引きを行った犯人が御殿場店でも盗みを行い、そのまま西へ移動し滋賀県の彦根でも犯行を行っていました。さらに犯人は大阪に移動して同業者の店舗でも犯行を行っていた事がエムリンクスを導入したことによって分かりました。結果的にエムリンクスのおかげでこの犯人は逮捕されましたが、常習犯の行動範囲の広さの認識を改めるキッカケにもなりました」と話している。
またエムリンクスを活用している他の会社からは導入のメリットとして
「他社で起こった事例がメール配信され、同じ地域での事例を情報共有できる」
「重大な事例に関してはリアルタイムで自社店舗に情報共有して防犯意識を高められる」
「遠方地域の事例でもどのような商品が被害に遭っているのか分かり、現状の防犯セキュリティに加えて、更に防犯強化に務められる」
「窃盗未遂であっても事例報告として配信されるので、情報共有は有難い」と話す。
エムリンクスでは、どのエリアや業種から情報を受け取るかは加盟各社が選択できる。例えば、東京都に店舗のある釣具店なら、「東京都」+「神奈川県」+「特定の業種」といった選択も可能だ。使い勝手も良く、直感的に使えるように作られているので、店舗でも多くのスタッフがすぐに利用出来ると思われる。