釣り人が始めた放流事業 「ラブメイタ」。メイタやチヌを愛し、守り、育てる【九州リポート福岡発!】

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全九州釣ライター協会の会長・小野山康彦氏の連載です。公益財団法人日本釣振興会九州地区支部の活動ほか、九州の様々な情報を紹介します。

約30年続く「ラブメイタ」。博多湾の釣り場の環境保全と自然保護にも貢献!

第4回の今回は、当協会幹事長である上田敬氏(福岡県筑紫野市)が会長を務めている「博多湾のメイタを守る会(通称・ラブメイタ)」の活動をお伝えします(小型のチヌのことを、九州地方では「メイタ」と呼んでいます)。

「博多湾のメイタを守る会」は1993年6月1日、松下新五初代会長のもと発足しました。

目的は、博多湾のメイタやチヌを愛し守り育てるとともに、博多湾の釣り場の環境保全と自然保護に寄与することです。

活動内容は、①定期的な博多湾へのメイタの稚魚放流、②定期的な釣り場の清掃、③会員の交流事業(大会等)の実施、④目的を達成するために必要と思われる事業を行うこと。

同年7月11日、博多湾の沖の防波堤(通称・博多沖防)で第1回放流事業として約3000尾のチヌの稚魚を放流しました。

同年9月には、福岡市のシーサイドももち海浜公園で九州磯釣連盟福岡支部が開催した「福岡少年少女釣り大会」において、2回目の稚魚放流を実施。以後、子供たちに自然保護の体験の場を提供する恒例行事となっています。

「博多湾のメイタを守る会」による、コロナ禍前の2019年6月に行われた稚魚放流の様子
「博多湾のメイタを守る会」による、コロナ禍前の2019年6月に行われた稚魚放流の様子。約30年前から放流を続け、今年6月には60回目の放流となった

同会の趣旨に賛同する九州磯釣連盟や福岡県釣団体協議会などの釣り団体とともに、当協会も長年にわたりこの放流事業に協賛しています。

2002年からは公益財団法人日本釣振興会福岡県支部が協賛金の寄贈を開始し、さらに強力なバックアップ体制が確立されました。

釣り大会「ラブメイタ杯」も実施。放流の成果か、大型のチヌも見られるように…

2002年、2代目の上田会長へとバトンタッチして名誉会長になった松下氏は、「博多湾のメイタを守り育て放流する釣り人仲間が300名を超えました。自分たちで釣るチヌは勿論、楽しみを子孫の時代へ継いでいくという強い願いも拡がっています(中略)。

釣技を競い稚魚を放流し、その快挙を心に刻み、釣りへの未来を語り、心の昂ぶりを残して散会する。釣りの世界にも、夢を拓くひらめきや感性、そこから生まれる英知、それをたしかに実現する一握りの釣り人たち。そこにも、亦、不易の哲理がある」と挨拶されています(博多湾のメイタを守る会HPより)。

毎年開催される釣り大会「ラブメイタ杯・博多湾チヌ釣り大会」は、ウキ釣り、落とし込み釣り、ルアー釣りとジャンルを問わない大会として注目を集め、東北や関東、関西、中国など全国各地から多くのチヌ釣りファンが参加しています。

同大会でのメインイベントが稚魚放流です。長年の放流の成果もあり、第17回大会(2011年)以降は50㎝超のチヌも多く見られるようになりました。

第17回大会の優勝魚
第17回大会の優勝魚は52.3㎝だった。この大会が行われた2011年以降、50㎝以上のチヌが多く見られるようになった

2011年からはチヌの稚魚が入手困難になり、約20㎝に育ったマダイの2年魚を放流。また、2017年は育成中のマダイの2年魚が全滅したため、20㎝前後に育ったクエ(アラ)を放流。2018年からはアラカブ(カサゴ)の稚魚を放流するなど、多彩な魚種が博多湾へと放たれています。

放流されたアラカブの稚
放流されたアラカブの稚魚。チヌ以外にも、多彩な魚種の放流を行っている

年に1、2回の放流事業はコロナ禍の中でも感染防止を徹底しながら少人数で実施され、今年6月12日に第60回の稚魚放流を数えるまでになりました。

釣り人が集まってスポンサーもなく始めた同会の稚魚放流事業は現在、各種釣りメーカー、釣り団体、釣具店、釣りクラブ、グループや個人など多くの方々の善意と情熱が推し進め、魚族の保護のみならず、健全な釣りの文化の継承と発展へと繋がっています。

上田会長は、「来年もこの大会を開催します。そして稚魚の放流を続けていきます。博多湾を夢と希望と優しさで溢れさせるために、どうか皆さまのご協力をよろしくお願いいたします」と述べています。

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