魚類研究家でお魚ジャーナリストの奥山文弥さんによる連載「理想的な釣り環境」が始まります。
釣り界の将来をより良くするため、釣りを取り巻く環境等について、様々な切り口から考えていくコーナーです。第1回目は、それぞれの釣り人のスタイルを理解する重要性についての話です。
釣りのスタイルを理解し、増えたアングラーを良い方向へ導いていく事が釣り界の未来を作る
釣りのスタイルは様々で、釣り方や場所、対象魚は様々ですが、釣り人の心情として昔から言われていることは、初心者から経験者へと体験を積んでいくことによって変わってくると言われています。
最初は釣れればいい。
たくさん釣りたい。
大きい魚を釣りたい。
美味しい魚を釣りたい。
珍しい魚を釣りたい。
難しい釣り方に挑戦したい。
なかなか釣れなくても楽しいと思った方法で釣りたい。
最近ではより多くの種類の魚を釣りたいとか深海魚を釣りたいという図鑑志向、マニアックな思考を持つ人もいるようです。また釣りに対する考え方を大きく変えたのは養殖と釣り堀(管理釣り場)です。
どのスタイルの釣り人も、魚がいなければ成り立たない
これら人それぞれのスタイルを満足させるためには、魚がいなくてはならないことを誰もが知っている必要があります。
たくさんいる魚でも1尾釣って殺せば、確実に世の中から1尾減っていくわけです。
またその1尾を釣るために、釣り人の労力と資金を費やすだけならいいのですが、釣りをすることにより川や海に少なからずインパクトを与えます。
魚の命とは別にゴミや、根がかりした釣り具の行方など気になることばかりです。
ですからそれを承知した上で釣りをし、できるだけローインパクトであるべきだと思います。
ところが人間は皆同じ考えを持たないので、路上でゴミを平気で捨てる人のように、釣り場でゴミを捨てたり、目的以外の魚が釣れたら殺して放り投げる人もいます。
また根掛かりしないと仕掛けが売れないと言う言語道断な考え方を持つ業者も実際にいました。
釣りの素晴らしさを語り、多くの人々に広めたいと思った時、その美しい部分だけを強調したくなりますが、全てが性善説とは行きません。
自分たちは環境に優しくしているつもりでも釣り場に行けばそうでない人もいます。自分たちが絶対に悪い見本にはならないように心がけるべきです。
釣り業界に身を置くと、上記の全ての釣りに対応しなくてなりません。
いや、対応しないでどれか一つ尖ったものだけ追求しても十分商売になる業者がいるので、同じ業界なのに違った考え方を持つようになってしまいます。
しかし共通点は「魚がいなければ釣れない」と言うことです。いくら道具を作っても釣る魚がいなくなっては本末転倒です。
コロナ禍の中でにわかアングラーが増えている今日、釣りのスタイルを理解し、いい方向へと導いてあげることが釣り業界の未来を築く礎になるのではないでしょうか?
私の個人的な願いとしては釣りの名誉と釣り人の社会的地位が上がることです。
(了)
【奧山の好き好きフィッシング】
これまで奧山がハマった釣りを紹介
多摩川のコイ釣り(フライ)
師匠の西山徹さん(個人)からお正月に誘われて行った多摩川で、コイが水面でパクパク。
これをドライフライで釣りました。
バッキングラインまでビューンに感動。結婚後は家族でも楽しみました。
妻は8.4 ㎏を釣りIGFA公認の女子フライ世界記録に認定されました。
奧山文弥(Okuyama Fumiya)プロフィール
お魚ジャーナリスト。美しい多摩川フォーラムアドバイザー。魚類研究家。1960年愛知県岡崎市生まれ。
北里大学海洋生命学部(旧水産学部)卒業。(有)奧山文弥プランニング代表。釣りや魚に関わる著書は30冊以上。
奧山文弥氏の公式ホームページ http://f-okuyama.com/
公式YouTube Fumiya Okuyama – YouTube
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