【第13回】日本一釣れるワカサギレイク「河口湖」。不漁続きから7年連続の豊漁。その取り組みを取材

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ワカサギ漁で活気づく河口湖漁協

河口湖のドーム船
活気づく河口湖のドーム船。河口湖ではポイントにドーム船を係留し、船で釣り人を送迎する。手ぶらでも楽しめるドーム船の釣りは、冬期の観光資源づくりに力を入れる地元の観光業界にとって格好のアクティビティだ。※写真は新型コロナウイルス感染拡大前に撮影
河口湖漁協
今では平日でも予約が取りにくいほど人気となっている

河口湖のワカサギ釣りは昨シーズンから10月1日~5月15日までの7カ月半楽しめるようになった。昨シーズンから漁期が延長され、冬だけでなく秋や春も楽しめるようになった。

長年続いた不漁のため復活当初は設備投資にも慎重だったが、1基でスタートしたドーム船も今年は7基(漁協運営2基、民間5基)がフル稼働。平日でも予約が取りづらい日も多かった。

ワカサギの採卵作業
ワカサギの採卵作業。定置網で採捕したワカサギを活かしたまま水槽に入れると、ワカサギは水槽内で産卵する。人の手をかけることなく、受精卵が底に溜まる
ワカサギ
定置網で採捕したワカサギ
ワカサギの人工孵化器
芦ノ湖で開発されたアクリル製の人工孵化器。孵化率は高く、孵化した仔魚は浮き上がって湖へ自然と流れていくシステムになっている

さらにワカサギの採卵にも取り組み、昨年から本格的に発眼卵の出荷を開始。

まだその量は年間で1億粒程度だが、採卵後の親魚も食品会社へ販売する流通を確保し、採捕したワカサギは無駄なく活用されている。遊漁料収入以外に漁獲による収入が加わったことで、河口湖漁協に活気が戻ってきた。

河口湖漁協の渡辺さん
河口湖漁協の渡辺和成さん。山梨県水産技術センターと一緒になってワカサギ釣り復活に尽力した熱いスタッフ

調査研究があればこその河口湖のワカサギ釣り復活。内水面の漁場を管理する漁協には、各都道府県から漁業権毎に義務放流量が設定さている。また、釣り業界団体も全国各地で放流事業に取り組んでいる。

だが、多くの漁協が赤字運営を強いられている現在、より効率よく魚を増やすためには、もっと調査研究に力を注ぐべきではないだろうか。

岡崎巧氏のプロフィール

岡崎さん
岡崎巧さん。河口湖のワカサギを豊漁に導いた立役者だ

山梨県水産技術センターに所属し、2021年3月末まで同センター忍野支所の支所長を務め、4月からは研究管理幹として本所勤務となる。

河口湖のワカサギ漁復活のための論文(プレゼン資料)を2013年にまとめ、2014年から現在に至るまでの豊漁を導く。忍野支所では2010年に西湖で再発見されたクニマスの養殖技術開発に取り組む。

またキングサーモンとニジマスの交配による「富士の介」と呼ばれる新たなご当地サーモンの普及とブランド化に取り組んでいる。

釣りは山梨県内でのワカサギ釣り、渓流釣り(ルアー・フライ)の他、アオリイカ釣り(エギング)を楽しむ。昭和42年生まれ、53歳。山梨県在住。

「河口湖におけるワカサギ不漁と動物プランクトン相の関係」
岡崎氏が中心となってまとめた論文が山梨県のホームページからpdfファイルでダウンロードできる。ワカサギの成育とプランクトンとの関係に興味がある方はぜひご一読を。

https://www.pref.yamanashi.jp/suisan-gjt/documents/jiho44_p30-44.pdf

(了)

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