【第6回】滋賀県安曇川廣瀬漁協に見る漁場管理者のプロ意識~これからの時代の漁場管理と釣り人へのサービス考察~

スペシャル ニュース

アユ釣りファンから支持される理由・3
「アユルアーは友釣りと考えるべき」

 廣瀬漁協はアユルアーの使用を認めている数少ない人気釣り場の一つだ。佐野組合長はルアーの釣りもアユのナワバリ意識を利用した釣りなので友釣りだと考えている。

安曇川で行われたイベントの様子
釣り人を増やすための講習会も開かれている

 今年(2020年)はコロナ禍で実施されなかったが、ここ数年はアユルアーの講習会を毎シーズン行ってきた。広い意味でアユ釣りファンを増やす活動の一環であり、ジワジワとアユルアーを楽しむ人が増えてきたという。

 ルアーよりも活きたオトリの方がよく釣れるので、ルアーから友釣りに入ってくる人も期待できるため禁止にする必要はなく、遊漁券の売り上げに貢献している。

漁区内の最上流エリアにはエサ釣りエリアも設けられている

どうなる?滋賀県河川漁業の今後

 文頭で「滋賀県は内水面の釣り王国」と書いたが、こと「内水面漁場管理」に関しては苦境に立たされている漁協も少なくはない。

 佐野組合長は滋賀県河川漁業協同組合連合会の代表理事を務め、滋賀県全体の河川漁業振興に取り組む立場である。廣瀬漁協ではリーダーシップを発揮し、業務全般を西森氏がとりまとめてうまく漁協運営ができている。

 しかし、滋賀県全体で見れば石田川や野洲川のように漁協組織を解散して管理者不在の河川もあれば、漁協が経営不振を理由に河川漁連を退会するなど、県下の漁協が一枚岩になって河川漁業を盛り上げる状況ではないという。

 さらにコロナ禍で今年は河川漁連傘下の大戸川漁協、土山漁協、高時川漁協、杉野川漁協、丹生川漁協の5漁協が休業中である。

 管理者不在の河川でアユをエサ釣りで狙う人が増え、釣りの活性化に繋がっている一面はある。だが、漁業調整規則に定められた採捕禁止期間でなければ投網も打て、いつ河川環境が荒廃するか分からない。規則を破る者がいても監視員がいなければさらに深刻な問題だ。

 これは滋賀県に限ったことではないが、漁協によって漁場管理に打ち込む姿勢にかなりの温度差がある。そのことが内水面漁業協同組合連合会のまとまりを阻害しているのだという。

 純粋な漁業収入だけでは採算が取れずに喘いでいる漁協が増える一方で、廣瀬漁協のように組合長が先頭に立って釣り人から見て魅力的な河川管理に取り組む漁協も存在する。もうすでに内水面漁協運営の二極化は進んでいる。

 今回の取材で感じたことは、廣瀬漁協のように漁協と釣り人の距離が近く、プロ意識を持ってしっかりとした漁場管理に取り組めば釣り人も付いてくるということ。釣り場が荒廃する前に、各漁協は釣り人の出番を増やしてほしいものだ。

名人級のアユ釣り師が漁場管理・安曇川廣瀬漁協

 安曇川廣瀬漁業協同組合の佐野昇組合長(左)と、同理事の西森政秋氏(右)。安曇川廣瀬漁協の漁場管理はこの2人を中心に行われている。

安曇川廣瀬漁協のスタッフ
(写真左)佐野組合長、(写真右)西森理事

 ともにアユ釣りは名人級の腕前で、これほどまで釣り人との距離が近い漁協は珍しい。佐野組合長は昭和30年生まれの65歳。幼少のころから安曇川を見て育ち、その経験値の高さから漁業関係者や釣り人からだけでなく、アユや河川環境の研究者からも慕われている。

 西森氏は昭和32年生まれの63歳。漁場管理だけでなく、釣り人へのアドバイスとして安曇川の情報を配信している。

名称安曇川 廣瀬漁業協同組合
所在地滋賀県高島市安曇川町長尾671
TEL0740-33-1288
ホームページHRC廣瀬鮎塾
https://ameblo.jp/ayutarou-916/

(第7回・了)

 関連記事 → 【第1回】未来に繋がる釣り場環境整備~漁業者と釣り関係者が協力して釣り場作りを~

 関連記事 → 【第2回】やるぞ内水面漁業活性化事業、第二期へ。未来の漁協運営モデルを創出

 関連記事 → 【第3回】アユルアーで新たな友釣りファン作り。釣り場次第で新たなゲームフィッシングも誕生か!?

 関連記事 → 【第4回】遊漁券もネット販売の時代!? 内水面の釣り場はどう変わるのか

 関連記事 → 【第5回】増加するブラックバスの有効利用。各地でバス釣りの受け入れ態勢が拡がる

 関連記事 → 【第7回】スーパートラウトの聖地・長野県犀川(さいがわ)に見るニジマスの活用

 関連記事 → 【第8回】貴重な資源量を誇る山梨県甲州市・日川渓谷の「野生魚育成ゾーン」

 関連記事 → 【第9回】室生ダム(奈良県)に見る漁場管理のアウトソーシング

 関連記事 → 【第10回】これからのアマゴ釣り場考察~紀伊半島・有田川の取り組み~

関連記事 → 【第12回】「天然もん」が内水面漁協を救う!~淀川水系・都会の川の自然再生(2)~ | 釣具新聞 (tsurigu-np.jp)

取材協力・情報提供のお願い  
この連載企画の取材を通して画期的な釣り場作りに取り組んでいる方々や、調査研究で成果を上げている方々とお会いできることをとても楽しみにしています。読者の方々と一緒に未来の漁場管理の在り方を考えるコーナーを作るべく、現場を回って取材する所存です。読者の地元で「この釣り場の活動は素晴らしい」といった情報があれば、本紙編集部 mail@tsurigu-np.jp までご一報いただければ幸いです。
 よろしくお願い致します(岸裕之)。

2 / 2
前へ

関連記事

【ルミカ】「アジホタル」サビキ仕掛けに簡単セットできる集魚ライト

【キャスティング千葉稲毛海岸店】オープン!商品も豊富な大型総合釣具店

【天龍】「ホライゾンMJ」ハイピッチ&スローに対応するジギングロッド

北九州市・紫川の遡上を手助け。石組み魚道を補修整備。「LOVE BLUE」の資金活用

【ルミカ】「神経絞めMEDIUM」漁師の技術を手軽に再現できるアイテム

【速報】フィッシングマックス武庫川店オープン!ワンフロアで見やすい店内。シーバス、タコ釣りは圧巻の品揃え!

【ゴールデンミーン】「GM FT(フリーズテック)」シリーズ、汗と風で驚異の冷感が持続する

【上州屋】上州屋公式アプリが誕生!ウェルカムクーポンも配信中!