2.この検討会が開催された趣旨及び検討会の議論の中で、現在でもオオクチバス等が釣人の密放流等によって増え続けていると言われています。しかし、全国でオオクチバスやブルーギルは10年近く前から大幅に減少しています。
一昨年、昨年の2年間、当振興会主催で全国300カ所近い河川・湖沼において、水質及び魚類生息調査を行いましたが、その結果でもオオクチバスを含む淡水魚が激減しています。年間を通して現場を見て、釣りをしている大半の釣人も、その事を熟知しています。
ちなみに、バス釣り用品の売上も20数年前に比較して約60%減少し、特定外来生物法が施行され、バス釣りが安定していた10年前に比べても30―40%減少しています。全国で開催されていたバス釣り大会も現在では70%近くが中止となっています。その最大の原因は、オオクチバスが釣れなくなり、バサー(バス釣りをする釣り人)が大幅に減少したからです。
また、平成15年2月、「皇居のお堀(牛ヶ淵)の在来種がブラックバスによって食べ尽くされ危機的な状況に陥っている」ということで、環境省主催で皇居の牛ヶ淵かい掘り調査(2月24日~3月7日)が実施されました。そのような前宣伝もあって、調査当日は海外も含め100社近いマスコミ関係者が集まりました。ところが、調査が進むにつれ、マスコミ関係者も徐々に減り、最終日にはほとんどいなくなりました。
恐らく、「我が国のシンボル的存在である皇居のお堀が、外来魚ブラックバスによって危機的な状況になっている」ということを世界中に報道したかったのでしょうが、実態は全く期待外れになったと思われます。
また当初、環境省は調査終了後(3月7日)直ぐに結果を公表するとしておりましたが、なぜか発表をしませんでした。当振興会等からの強い要請もあって公表したのが左記の表です。
魚類調査結果は、モツゴやヌマチチブ等の在来種が87.4%、マスコミの最も関心があったブラックバス(オオクチバス)は、0.59%でした。
その他、バスによって食い尽くされたとされていたテナガエビなどのエビ類が数千匹捕獲されているので、在来種に加算されれば在来種の比率は90%を遥かに超えます。皇居のお堀の事例は、実態の伴わない風評による結果でしたが、全国にも同様の事例が数多くあります。
特に現在では前述のように、全国各地でバス、ブルーギルが大幅に減少している事実を理解していただきたいと存じます。
3.今回の検討会の中で数名の委員からバス釣り、ルアー釣り、キャッチアンドリリースを禁止すべきではないかという意見が出ています。
しかし、平成17年に松野頼久衆議院議員から「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」における特定外来生物(オオクチバス)指定に関する質問主意書が出されました。
その中で、「今回の外来生物法の基本方針では、釣りそのものを規制するものではないとされており、又、キャッチアンドリリースも内閣法制局の見解では、法律で規制することは馴染まないと仄聞するが、以上二点につき、その様な理解で間違いないか明らかにされたい。」と述べられました。
それに対して、平成17年4月15日内閣総理大臣小泉純一郎氏から衆議院議長河野洋平氏に、以下のような答弁書が送付され、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律及び同法に基づく特定外来生物被害防止基本方針は、お尋ねの釣りそのもの及びいわゆるキャッチアンドリリースの行為を規制するものではない。」と明言されております。
内閣法制局の見解は、自然界での魚は無主物であって、所有権が誰にも無い魚は、漁獲した漁業者や釣った釣人が初めて所有者となり、漁獲者や釣人がその魚を持ち帰ったり、食べたり、リリースをしても、それは所有権者の自由という事になります。
つまり、バス釣りやルアー釣り、キャッチアンドリリースを禁止する事は、日本国憲法の中にある釣人を含む国民の財産権や自由を侵害する事になり、憲法に反する事とされています。この事は、環境省や当時の小委員会に出席していた委員全員が熟知されているはずです。
4.平成17年、特定外来生物が制定されて以来、当振興会は当会のHPや釣人宣言の中に特定外来種の移殖禁止やルールの遵守を強く訴えています。ただ、今回の検討会でオオクチバス等の密放流(移殖放流)が横行していると報告されています。しかし当会では、法律施行後19年が経過をしておりますが、自然界で他の場所へ移殖放流した違反者は1人もいないと認識しております。
従って、①検討会メンバーが、全国の現状を認識できる公平公正な委員選定になっていない事。②全国でバス・ブルーギルが大幅に減少している事。③特定外来生物法では、バス釣り・ルアー釣り、キャッチアンドリリースを規制するものではない事。④法律施行後、移植放流等の違反者がほとんど存在しない事。
以上、4つの観点からも、現法律を更に強化する必要がある状況ではないと確信し、この度、公益財団日本釣振興会より貴省へ意見書を提出させていただいた次第です。何卒、宜しくお願い申し上げます。
日本釣振興会公式ホームページ → 公益財団法人 日本釣振興会 – japan Sportfishing Foundation