つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業では、清掃事業・放流事業・釣り場拡大事業を優先三事業として推進している。
そんな中、日本釣用品工業会では近年人気が高まりつつある、手軽な「ワカサギ釣り」を釣り場拡大事業として推進。
孵化装置や親魚捕獲用定置網、自然産卵水槽等のワカサギ増殖を目的とした資機材を、地域の要望に合わせて、漁協や自治体、水産試験場等へ物納で支援している。
2017年度にモデル事業を長野県と群馬県で行い、 2018年度からは全国を対象として支援を開始。この7年間で16道県・合計24団体へ支援している。
ワカサギ釣りのリピーターが約3割アップ。新潟のワカサギ釣りの穴場に
今回は、2020年度から同事業の支援で「ソーラーワカサギふ化装置」を導入した、奥只見湖を管轄する魚沼漁業協同組合(新潟県魚沼市)の取り組みを紹介する。
「LOVE BLUEで支援いただいてワカサギを増やしてから、 ワカサギ釣りのリピーターが増えました!」。そう強く語ったのは、魚沼漁協の組合員であり、湖畔で貸ボート&宿泊施設「奥只見山荘」を営む星隼人さん。
「ソーラーワカサギふ化装置を導入後、効果的な放流が上手く進んでいるようで、ワカサギ釣りは釣果がとても安定しています。 9 月からワカサギ釣りの本格シーズンに入るんですが、他店からの情報では、新潟県の釣り人にとってワカサギは他県に出掛けて釣りに行くターゲットだったものが、この奥只見湖でもとても良く釣れるようになったことで、ワカサギ釣りの穴場として評判なんです。貸ボート店によってはワカサギ釣りのリピーターが約3割増えたというお声もいただいています」 という報告が上がっている。
「ソーラーワカサギふ化装置」がワカサギ増殖に大活躍
奥只見湖へ支援したワカサギ増殖資機材は、同事業によって長野県水産試験場が開発した「ソーラーワカサギふ化装置」。 山間の湖等、電源の無い場所でも設置・稼働が可能で、可搬型で移動も出来ることから、使用後に倉庫等へ保管も出来る。 設置場所に制限のある奥只見湖のようなダム湖でも大活躍する装置だ。
さらに魚沼漁協では、新潟県内水面水産試験場及び長野県水産試験場と連携しながら、ソーラーワカサギふ化装置の稼働や受精卵の確保等、ワカサギ釣りとワカサギ資源の向上に向けた取組みを続けている。その効果によって、秋から本格化するワカサギ釣りでの好調につながっている。
ワカサギ資源の底上げにより「聖地復活」へ
奥只見湖におけるワカサギ増殖の安定化は、同湖にとても大きな副産物的効果を生んでいる。それが、かつては「ゲームフィッシングの聖地」と呼ばれた、奥只見湖の幻のターゲットである大イワナやサクラマスの釣果だ。星さんは次のように語る。
「これまで奥只見湖では、 釣り人の皆さんで構成される『奥只見の魚を守る会』が中心となってイワナやサクラマスの発眼卵放流や湖のクリーン作戦等、資源回復を目指した活動を長年継続していただいております。そして、これらの魚を支えるワカサギの存在はとても重要である事も実感としてありました。
LOVE BLUEの支援後、それまでは見かけなかったワカサギの群れが湖岸沿いや流れ込みに真っ黒な帯になって見られるようになったんです!そして、これまではイワナやサクラマスの釣果は1桁が普通だったのが、頻繁に2桁釣果に恵まれる人が増え、しかも50㎝を超えるサイズが本当に良く釣られています。2022年4月にはなんと、28年ぶりに70㎝の大イワナが釣れました。
ワカサギ増殖の充実が、ワカサギだけじゃない豊かな奥只見湖の復活にとても大きく貢献していることは、7軒ある貸ボート店の共通認識です。奥只見湖の未来へ向け、豊かな釣り場を残していく一助として、 LOVE BLUE事業にはとても感謝しています」。
【提供:日本釣用品工業会・編集:釣具新聞】
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