【埼玉県】ワカサギ増殖事業で成果。「LOVE BLUE」活用し、安定した孵化を実現。新規釣り場の開拓にも

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埼玉県漁業協同組合連合会(加須市北小浜、県水産研究所内)の、2022年度「LOVE BLUE事業」で採択されたワカサギ増殖の取り組みが成果を上げている。

同支援事業で導入した円筒型孵化器を用いて生産した発眼卵を県内6漁協に配分し、各漁協が安定した孵化を実現させた。

組合員減や高齢化を理由に、喫緊の課題となっていた漁協の増殖事業省力化を目的にした今事業。新規漁場の開拓にも繋がる今後の事業展開に関係者は期待を寄せる。

ワカサギ増殖を省力化し、魅力あふれる釣り場へ…

LOVE BLUEの2022年度釣り場拡大(ワカサギ)事業として採択されたのは、埼玉県漁業協同組合連合会のほか、長野県下伊那漁業協同組合、北海道阿寒湖漁業協同組合の計3団体。

埼玉県漁業協同組合連合会(以下、県漁連)については、同事業で円筒型孵化器(水槽付き)及び孵化槽を導入。円筒型孵化器を同県水産研究所内に設置するとともに、孵化槽を秩父・入間・武蔵・児玉郡市・埼玉県北部・埼玉東部のワカサギ漁場を持つ6漁協に1基ずつ分配した。

水産研究所内に設置された県漁連導入の円筒型孵化器と関連設備

メイン設備となる円筒型孵化器は6連式で、1本の筒に最大500万粒のワカサギ卵が収容可能。県水産研究所敷地にある屋根付き建物内に水温冷却器とともに設置した。

敷地の地中から汲み上げる地下水をワカサギ増殖事業で利用するが、この地下水については冬季でも約18度と高く、15度に下げるため冷却器を配備した。

ワカサギ卵は、円筒型孵化器内で眼が形成され発眼卵となる

孵化槽は長さ約90‌㎝、幅約70‌㎝、深さ約40‌㎝の箱型木枠に目の細かい網を張った形状をしており、底に円筒型孵化器で生産された発眼卵を収容する。

底面が微細、側面がそれよりもやや粗目の網が張られているため、底部の発眼卵はすり抜けることなくその場で孵化を待つ。孵化した稚魚は、網目の粗い側面から外部へと泳ぎ出す仕組みだ。

漁場の湖に浮かべた孵化槽に発眼卵を入れる県西部の漁協関係者

木枠に網を張ったままでは重量の関係で水面に浮き、太陽光線の照射を受けてしまう。このため、ある程度の重さが確保できる厚い天板で上部開口部をそっくり覆った。

天板には外部からも同設備がワカサギ卵孵化のためのものであること。さらに、LOVE BLUE事業で設置されたことの説明文が貼付された。

釣り場作りにも繋がる活動。埼玉を多くの釣り人が集まる県へ!

県漁連が入手したワカサギ卵は、北海道西網走産の受精卵1200万粒。

同漁連は、LOVE BLUE事業用として6漁協に各65万粒と、研究用として県水産研究所分合わせて約600万粒を配分。さらに残り半分については、今回の孵化槽を用いずに植物のシュロを木枠に挟んだ従来孵化器(縦約20㎝、横約30㎝)を使って孵化作業を実施する前記6漁協に割り当てた。

県漁連の鈴木邦雄参事によると、LOVE BLUEで導入した設備での孵化は良好。発眼卵生産過程で若干の課題が生じたが、孵化槽による孵化率はほぼ100%と満足のいく結果となった。

県内6漁協に分配された孵化槽と鈴木漁連参事

「孵化槽には65万粒を収納したが、今後は100万粒とか、どの程度まで対応できるか研究を進める。漁連で発眼卵を作って各漁協へ配布し、それを今回の孵化槽で稚魚を誕生させれば、各漁協における増殖事業の省力化が図れ、釣り場づくりにつながる」と鈴木参事は手応えを話す。

今回のプロジェクトに参画した6漁協のうちの山間地域に位置する漁協は、1000万粒単位でワカサギ卵を管内の湖に放流しているが、シュロを木枠に挟んだ従来の孵化器を使うと約1000枚必要になるという。従来孵化器を使用しての放流作業は、組合員の人海戦術で成り立っており、作業への負担は大きい。

県漁連事務所

LOVE BLUE事業で円筒型孵化器と一度に大量の発眼卵を孵化させることができる孵化槽を導入し、課題を抱える漁協に代わって、孵化が安定する発眼卵まで県水産研究所内で管理し、漁協に配布するというスキームを構築すべく取り組んだ県漁連と、それを後押しする県水産研究所。

関係者は「増殖事業の効率化により県内漁場が良く釣れる釣り場へと発展」、「併せて新規漁場の開拓やPRを行い、多くの釣り人が訪れる県へ」とつながるものと期待している。

【提供:小島満也】

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