釣り具メーカーも巻き込んだ「マリンスイーパー」の活動
マリンスイーパーには現在、静岡のルアーメーカーのジャクソン、釣り糸などで有名な釣り具メーカーのバリバス、釣り竿で有名なブランド「テイルウォーク」、「アルファタックル」を展開しているエイテックがスポンサーに付き、活動を支援している。
具体的な支援内容としては、ジャクソンは土井さんが回収したジャクソン製のルアーを買い取り、そのお金はマリンスイーパーの活動費に充てられている。バリバスは、ダイビングにかかるボンベ代のコストを負担することで、水中清掃時にルアーだけでなく釣り糸の回収強化につなげてもらっている。エイテックについては、水中清掃で拾ってきた釣り具以外の大型海洋ゴミの廃棄費用を負担し、支援している。
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また、昨年の7月からは釣り具の大型量販店を展開しているかめや釣具もマリンスイーパーの活動を応援しており、店舗で土井さんが手掛けたリメイクルアーを販売している。
もちろん、かめや釣具での売上も海中清掃と資源保護に使われている。
複数の企業を巻き込んで活動を展開しているマリンスイーパーだが、そのことについては、「同じ志を持つ人・企業であれば、どんどん協力していきたいと思っています。業界をあげて協力していかなければ釣り場環境は守れないと思っています。昔は人付き合いが苦手でしたが、マリンスイーパーの活動を通して、誰かと一緒に何かをすることは楽しいなと」と土井さん自身の変化についても語っていた。
そして今年、新たな協力企業として、静岡でルアーの生産を行っているKATO SEIKOが加わった。土井さんが回収している釣り具の中には、破損品・廉価品のルアーやオモリなどが含まれているが、それらはリメイク・リユースが出来ない。土井さんはそれらを一度溶かし、そこで出来た「リサイクル鉛」を原料として新たなルアーが作れないかと考え、KATO SEIKOに協力をお願いした。その後話し合いを重ね、今春、ルアーの生産を開始している。
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地元高校生とも協力、業界外にも広がる活動の輪
そして、マリンスイーパーの活動は釣具業界外にも良い影響を与えている。それが、静岡の焼津中央高校の生徒と共同で行っているビーチクリーン&水中清掃のイベントだ。
生徒がビーチクリーンを行っている間に土井さんが海に潜って水中清掃を実施し、回収物の利活用を一緒に行うというもので、高校生達のSDGs学習の一環ともなっている。生徒がSDGsを学ぶだけでなく、課題解決に向けて自分達に何が出来るのかを考え、実践する良い機会にもなっている。
また、地元の特別支援学校の生徒には、作業学習として回収した根掛かりの分解をお願いしている。マリンスイ―パーには障害者の雇用を作ることも構想としてあるためだ。生徒達は活動を通して、海の豊かさなどについて考える。