アメリカから広まった「キャッチ&リリース」という考え方
さて、こういう行為を久しぶりに見たので衝撃でしたが、90年台のバブルの頃にもよくありました。野池でバスを振り上げ、土手に放り上げるのがかっこよく紹介されたこともありました。今ではナマズで同じようなことが行われています。
これを粗暴な釣り人と揶揄する前に考えたいものです。
キャッチ&リリースは何のために行われるのか?魚が要らないから?持って帰らないから?
1960年代後半にアメリカの有名なフライフィッシャーマン、リー・ウルフさんが、アトランティックサーモンは一度釣って殺してしまうにはあまりにも惜しい魚だとリリースを呼びかけましたが、当時はそれほど広がらなかったそうです。
ところがその後、70年代に入ってBASSトーナメントで競技をするたびに大量に魚が減ることを懸念したレイ・スコット会長が、バスは生かして検量、その後リリースというルールを定めたため、全米に一気にキャッチ&リリースという考え方が浸透したそうです。
「命あるものに遊んでもらっている」ことを忘れないで!
我が国でもヘラブナ釣りなどはリリース前提で行いますが、可哀想な方法もあります。それは、近年使用されている柄の長いハリ外しです。玉網にも入れないで手前まで寄せて来て外すので非常に魚に優しいものと思われがちですが、そうでもなかったようです。
これは実際にヘラ釣り堀の経営者から聞いた話ですが、ハリ外しは先端の金具をハリにかけた後、口の中に押し込んで外すのでヘラの口の中がその金属で引っ掻かれボロボロになるそうです。だから玉網ですくい、ハリを外すようにしてもらっているそうです。
マスの管釣りのリリーサーも然りです。魚がルアーを飲み込んでいても強引に外す人がいるために、エラが切れてその魚は死んでしまいます。
両者とも、遊び相手が命あるものだと感謝して行っていればそういうことは起きません。数釣りの効率を求めるとこういうことになるのです。
釣りを指導する時、道具の説明や技術の解説よりもまず、「命あるものに遊んでもらっている」という意識を身につけさせることが大切かと思います。
食べる魚はきちんとシメてクーラーに入れること、命を粗末にしないこと。キャッチ&リリースはいつまでも釣りが続けられるように。その場所に魚がいて欲しいという願いからなので、殺さないように釣り上げ、死なないようにリリースすること。そして目的の魚以外にも生態系の一員として敬意を払うことです。
魚類の保護なんて言ってしまうと「だったら釣らなきゃいい」とカルトな自然保護推奨者から言われてしまいます。