徹底した「安全管理体制」。女性客も多く大人気の釣り場に
開放後の施設の状況について、明村代表理事と森田理事に話を伺った。
「2022年4月にオープンして10月末までの営業でしたが、リピーターのお客さんも多く好評でした。女性のお客さんが多かった事は意外でした。水洗の男女別トイレもありますし、監視員がいるので安心だそうです。また、関西など遠方からお客さんが来られる事も驚きました。
春はサクラマスも釣れましたし、フクラギ(ブリの幼魚)、カンパチ、サバ、アジ、チカ、アブラコ(アイナメ)、クロガシラ、シマゾイ、カジカなど色々な魚が釣れました。午前中にブリが釣れたとネットで情報が出ると、午後から大勢釣り人がやってきた事もあります。釣り堀のように釣れた日もありました。実際にオープンするまで、どの程度魚が釣れるのか分かりませんから、安心しました」。
荒天は閉鎖、ライジャケ着用はもちろん常時監視員配置。70m毎に救命浮環と縄梯子。救命艇も用意
運営にあたり、最も気を配っていたのは安全管理だという。
この釣り場に入るには管理棟で受付を済ませた後、全員がゲートをくぐって入場するが、荒天や荒天が予想される時はゲートが閉鎖され入場する事は出来ない。また、営業中に荒天になった場合、釣り人は退出してもらい、ゲートを閉鎖する。
入場の際には全員がライフジャケットを着用する事はもちろんだが、500mの防波堤には常時監視員が3名配置されている。さらに70m毎に縄梯子と救命浮環を設置。対岸には救助艇を用意しており、万一の場合は監視員全員が無線を携帯しており、すぐに救助の指示が出せる。さらに地域の消防署や病院と連携し、救急車の到着場所の打ち合わせも出来ている。
また雷警報機も設置しており、落雷が近付いてきた場合は釣り道具をそのままにし、車に避難するようアナウンスを行う。実際に今シーズンに一度非難指示を出したそうだ。40人ほどの釣り人がいたが、全員素直に従ってくれて、スムーズに車に一時避難できた。
他にも監視カメラによるチェックや、営業時間外に施設に侵入した釣り人が事故を起こした場合を想定した救助体制も考えられている。
安全管理体制を徹底的に整えた事により、開放後は一度の事故も起こっていない。そして、事故も起きず、多くの釣り人で賑わうという、地元も喜ぶ結果となっている。
こういった釣り場の管理手法は、他の地域の釣り場でも参考になると思われる。
マナー向上が釣り場を守る!長く、安全に釣りを楽しめるように…
明村代表理事と森田理事は今後について以下のように語る。
「2023年も安全に多くの人に釣りを楽しんで欲しいです。いろいろな仕掛けを持って来て頂き、その時に釣れる魚を釣るといった楽しみ方をしてもらえたらと思います。当施設をより楽しんで頂くためのガイドブックを作る事も良いのではないかと思っています。特にファミリーの方に楽しんでもらいたいです。
後は、我々が行っている仕事を他の人も出来るようにしていきたいと思います。例えば天気や海の状況を見て閉鎖するか否かを判断するのですが、その判断が現状では我々2名しか出来ません。万一、運営が出来なくなれば釣り場が開放できませんから、スタッフの教育や引き継ぎも重要です。今後も長く継続して、安全に楽しんでもらえる環境を作っていきたいと考えています」。
この苫小牧港一本防波堤の開放は、2020年の秋田港北防波堤に続き、関係者の努力もあって釣り場が開放された優れた事例だ。
苫小牧港では、もともと釣り人のマナーや安全対策に問題があった事は事実だ。釣り人のマナーや安全について啓発を行っていく事は、釣り場の減少が進む中、将来の釣りを守っていく上でも重要な要素となっている。釣り界を挙げて、継続して取り組んでいきたい。
「苫小牧港海釣り施設」公式ホームページ
https://ippon-b.com/
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