
多くの釣り師の憧れの的でもあり、幻の魚とも言われる石鯛(イシダイ)は、名実ともに磯の王者と呼ぶのに最もふさわしいお魚さんの一種です。私自身も好きな釣り物の筆頭として、今も石鯛釣りを楽しんでいます。
石鯛は磯からだけでなく、船釣りでも狙うことができます。その魅力は何と言っても掛けた後の強烈な引きと、海面に姿を現した瞬間の全ての鰭(ヒレ)をピンと張った猛々しい容姿は多くの釣り師を虜にしてしまいます。
私もそうでしたが、初めて石鯛を釣り上げた直後の釣り人の多くは、手だけでなく全身が震えるほどの感動が起こります。

石鯛は本州中部以南に広く分布していて、釣りのポイントとなる場所は、外洋に面した岩場になります。また海外では、中国から朝鮮半島沿岸、香港から華南、台湾にも分布していて、幼魚から若魚の時は体の縞模様が鮮明で、老成魚になるとその縞は次第に消失していきます。

石鯛の若魚を三番叟(サンバソウ)と呼ぶことがありますが、その理由は能や狂言に使われる三番叟の衣装に施されている縞模様に似ていることが語源とされています。

石鯛の釣りシーズンは春から晩秋にかけてがベストで、産卵期は本州の太平洋側で5月から6月です。そのため、同じ体長の石鯛を比較すると春の産卵前と思われる個体は、夏以降に釣り上げた個体よりも重量が大きいものが多く見られます。
晩夏から秋にかけてヒットした石鯛は、海水温や産卵が影響しているためでしょうか、春に掛けた石鯛よりも格段にパワーがあり、釣り人をてこずらせます。
石鯛は成長が遅く、40㎝に成長するまでに6年かかると言われています。ちなみに、大型は体重が7㎏を超え、長さは80㎝を超える個体もいます。
ターゲットを小型に絞れば、意外に簡単に釣れる魚
ところで石鯛は釣ってみたいお魚さんではあるものの、いざ始めようと思っても、装備品やポイントが荒磯になるため、ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
安全装備に関しては省くことは出来ませんが、いきなり3㎏、4㎏といった大型を狙おうとせずに、ターゲットを中~小型に絞り込むことで、思いのほか簡単に釣ることが出来ます。この概要については後編でお話しさせてもらいます。
石鯛は色彩感覚に優れていて頑丈な歯を持っている
石鯛の眼の中にある錐体細胞は色を感じる視細胞を持っているため、色の識別能力が発達したお魚さんとして広く知られています。
好んで生息している環境が水深10―50mということで、皆様もご存じの通り、光は水中で減衰していき、赤色ほど減衰しやすいため、青~緑色系の色彩を良く認識していると考えられています。
石鯛は全てのお魚さんの中で最も頑丈な部類の歯を持っていて、カニや貝などをかみ砕くことが出来る上に、岩に付着しているフジツボやカキ、カメノテなど硬い殻で覆われている餌を食べるのに適しています。
石鯛釣りのハードルが高いと感じるもう一つの理由に、使用する釣り餌がサザエやカニ、ウニ(ガンガゼ、バフンウニ)、ヤドカリ(オニヤドカリ)など高価であることが挙げられます。針持ちなどを考慮すると生きたままの状態がベストで、冷凍品の場合でも高い鮮度が求められます。
ある時、有名な石鯛釣り師から、「石鯛は空腹になるとなんでも口にしていて、釣り上げた胃袋の中身を観察すると、まるで瀬戸物工場のガラクタ置き場のようだ」というお話を伺ったことがありますが、その後、数多くの観察を重ねたことにより、的を射た見解であることが理解できました。
一方、鮮度が落ちた餌でも食わないことはありませんが、死んでから時間が経過して傷みかけた餌を使うと、石鯛よりも嗅覚の優れた外道のウツボばかりが釣れてしまい、仕掛けの破損が激しくなる傾向があります。
生息場所に居る餌がベスト
高い餌代を何とか節約できないものかと、かつてスーパーで売られている冷凍のエビやカニなどを用いたこともあります。
しかし理由は定かではありませんが、食品用として売られている冷凍餌は外道が大変多く、日によっては石鯛が全く食わないことがあるためそれしか用意していないと空振りすることがあります。
また石鯛用として市販されている貝類を原料にした冷凍餌も数限りなく試してはみましたが、これも理由は定かではありませんが、どんなに大きくても500gから600gのサイズまでしか食って来ません。
もしかすると石鯛は年齢を重ねるごとに、その場所で食べ慣れている餌を選択して食べるのではないかと思いますが、本当の理由は分かりません。
後編は、石鯛の生態と手軽に釣るためのお話をさせて頂く予定です。
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