「釣りの聖地・五島列島」。長崎県五島市の野口市太郎市長を取材「釣りは大切な観光資源」。平和卓也プロも推薦「釣り人の夢の魚が全部いる!」

スペシャル ニュース
五島市の高浜海水浴場
日本一美しいと言われる白い砂浜とエメラルドグリーンの海が満喫できる高浜海水浴場。五島市は釣りも含めて魅力溢れる場所だ(写真:五島市提供)

釣りを観光資源の1つとして活用し、地域活性化に取り組む自治体は全国的に増えている。その中で、今回は長崎県五島市を紹介する。五島市は「釣りの聖地」として有名な五島列島の南西部にある島々で構成されている。五島市の取り組みや現状について、野口市太郎市長を取材させて頂いた。また、五島列島の釣りの魅力について、磯釣りの名手である平和卓也プロに実際に釣りをしてもらい、話を伺った。

五島市の野口市太郎市長
「釣りは五島市の大切な観光資源の1つです」と語る五島市の野口市長

五島列島は長崎県の西部、長崎市から約100㎞沖合に位置する列島だ。北東から南西にかけて約80㎞の間にある大小152の島で構成されている。五島列島最大の島であり、空港もある福江島を中心とした南西側の島々が「下五島(しもごとう)」、2番目に大きな中通島を中心とした北東部の島々が「上五島(かみごとう)」と呼ばれている。

今回、取材に伺ったのは下五島に位置する五島市だ。五島市は10の有人島に、53の無人島がある。五島市の中心をなす福江島と周辺の磯は、毎年シマノジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権の全国大会の舞台になるなど、良好な釣り場が多い事で知られている。

平和卓也さんとゲストが五島列島で釣ったグレ
取材では45㎝オーバーのグレがダブルヒット。五島列島の釣りは特別な体験となるはずだ

五島列島は昔から釣り人の間で「釣りの聖地」と呼ばれてきた。無数の地磯や沖磯があり、水深も深く、潮流も複雑だ。磯釣りの対象魚として人気のグレはもちろん、イシダイ、マダイ、クエ、ヒラマサ、アオリイカ、ヒラスズキなどいずれの魚種も豊富に生息し、なおかつ国内最大級のサイズが釣れる。釣り人にとって夢のようなフィールドだ。熱烈なファンの多い釣り場であり、様々なジャンルの釣り人が、五島列島に通っている。

平和卓也さんが五島列島でグレ釣りをする様子
釣れる魚種も多く、記録級の大型もいる。五島列島はまさに「釣りの聖地」だ

五島市でも、釣りを応援している。市が後援する「磯釣り大会in五島フォトダービー」(2024年1月31日まで開催中)も行われている。大会では市長賞など豪華景品も用意されるなど、遊漁船関係者、釣具関係者、行政が協力して、釣り人の誘致が行われている。そんな五島市の釣りへの取り組み等について、野口市太郎市長に話を伺った。

「五島市は釣りの甲子園!釣りをするには絶好の場所」

野口市長(以下、同様)「まず、五島市は釣りをするには絶好の場所ですよ。しかも、良く釣れます。釣りは間違いなく五島市の重要な観光資源の1つです。以前から釣具メーカーさんが行う釣りの全国大会決勝戦の舞台としても使用されています。いわば、釣りの甲子園です。

五島列島で釣りをする平和卓也プロ
磯釣りの名手・平和卓也プロらの釣りの様子。大型が連発! 五島列島は良型グレの宝庫でもあり、五島列島でしか味わえない釣りが楽しめる

転勤で五島市に来られた方は、釣りを始められる方が多いです。美味しい魚が良く釣れますから、自分が食べるのはもちろんですが、ご近所や家族、親戚に新鮮な魚を送られるようになります。しかし、沢山送られ続けるので、もらう方が困ってしまうほど、美味しい魚が数多く釣れるのが五島市です。

釣りが好きな方で、まだ五島市に来られた事がない方は、ぜひ、五島市に来て下さい。魚だけではなくて、五島牛といってお肉も美味しいですから、何日か滞在されても毎日の夕食が楽しいと思います。釣り人の方は必ず気に入ってもらえると思います」。

五島市の食事
新鮮な美味しい魚がズラリ。キビナゴも名産品でオススメだ
五島牛の焼肉
実はお肉も美味しい。五島牛は「幻のブランド牛」と言われ、市場にあまり出回らない。五島市に行った際はぜひお試しを!

人口減少は深刻、地域資源をフル活用し常に情報発信

野口市長は長崎県の五島地方局長や水産部長も務めていた人物だ。平成24年に五島市の市長に就任し現在に至る。五島市が釣りも活用して地域振興に取り組んでいる背景を次のように語る。

五島市の野口市太郎市長
五島市役所でインタビューに答える野口市長

「他の地域でも同じような悩みを抱えておられると思いますが、五島市でも人口減少は深刻な問題です。人口減少を防ぐためにも地域の強みを活かした様々な施策を行っています。例えば、マグロの養殖や椿を使用した特産品作り、浮体式洋上風力発電も行っています。

五島市は世界遺産、日本遺産、日本ジオパークの『3冠』がありますから、歴史、文化、自然、食、観光、体験型の遊び等、魅力溢れる資源が多いです。それらをフルに活用して、常に情報を発信し続けています。

奈留島の江上集落
江上天主堂(国指定重要文化財)がある奈留島の江上集落は世界文化遺産構成資産となっている(写真提供:五島市)
大宝寺
日本遺産に指定された「大宝寺」。五島市は観光でも見どころ盛りだくさんだ(写真提供:五島市)
大瀬崎灯台
福江島の最も西に位置する大瀬崎灯台。自然の雄大さを感じられる場所だ。インスタ映えも間違いなしのスポットだ。ジオパークに認定されている(写真提供:五島市)

現在、五島市の人口は約3万4000人です。以前は毎年約700人ずつ減少が続いていました。ただ、ここ数年は減少の割合も減ってきています。これは、いろいろな施策を行ってきた結果、移住定住者の増加に繋がるなど、一定の成果が出てきているからだと考えています。しかし、少子高齢化は進んでいますから、今後も地域振興の取り組みに力を入れていく事に変わりはありません。釣りも大いに活用していきたいと考えています」

年間約21万人が来島。NHK朝の連続ドラマ小説の舞台にもなり話題に。釣り人はリピート率が高い!

次に、五島市に来ている観光客の状況について説明をしてもらった。

五島つばき空港
五島列島の福江島にある「五島つばき空港」。五島列島への玄関口でもある

「五島市には毎年約20万人の観光客が来られています。観光客の数え方は自治体によってもバラつきがあるのですが、五島市の場合は、船か飛行機で来られますから、島内の人を除いた人数を観光客としてカウントしています。ですから、かなり正確な数字です。

2018年に世界遺産に登録され観光客が増加し、2019年には最多となる年間約25万2000人が訪れました。その後、コロナ禍となり来島者は大幅に減少しました。しかし、NHKの連続テレビ小説の舞台になるなど、話題になった効果もあり2022年には約16万7000人まで回復しました。そして、2023年は約21万人まで回復する見込みです。

体験型で釣りはトップクラスの参加人数。釣り人は大切な固定客

観光客の中に釣り人も含まれていますが、具体的な人数は不明です。ただ、今の旅行は単なる物見遊山ではなく、体験型が注目されています。五島市では、釣り、ゴルフ、海水浴、自転車など多くの体験型レジャーがありますが、その中でも釣りはトップクラスに体験者数が多く、リピート率が高いと感じています。

通常、離島の観光はリピート率が低くなるのが一般的です。しかし、釣りは違います。しかも、3泊、4泊、5泊と長期滞在される方が多いですし、仲間と一緒に大勢で来られる方も多いです。単に人数が多いだけでなく、滞在日数やリピート率の高さを考えると、五島市の固定客と言いますか、とても重要な客層だと認識しています。

平和卓也さんが五島列島でグレ釣りをする様子
釣り人は気にいれば何度も同じ場所に通う。五島列島に通う釣り人は多い

観光客が一番多いのは、夏休みがある7-9月でして、1-3月は一番少ないシーズンです。五島列島で特に人気の磯釣りは、このシーズンが一番のハイシーズンと聞いていますから、閑散期にちょうど多くの方に来て頂き、ありがたいと思います。観光業が潤えば、食などを通じて五島市の基幹産業である農林水産業にも影響が波及しますから、市全体に良い影響を及ぼします」。

最後に釣具業界への要望等を伺った。

「最近も釣りのテレビ番組等で五島市を取り上げてもらい、嬉しく思っています。釣り大会の応援企画等も、釣具メーカーさんさえ良ければ、引き続き継続していきたいと考えています。

五島市を訪れる釣り関係のツアーを作って頂くのも有難いです。今後も多くの釣り人に来て頂きたいと思っていますので、引き続きご協力をお願い致します」。

地域全体で釣り人を歓迎、五島市は釣り人に便利で優しい

今回の取材でも、五島市では地域全体で釣り人を歓迎している雰囲気が感じられた。例えば、福江島の空港でも職員から「釣りですね!」、「釣れましたか?」と気軽に声を掛けてくる。タクシーの車内でも運転手と釣り談義になるなど、釣りが市民の生活に根付いている事が伺える。

渡船を使い、本格的な磯釣りをするために訪れる人も多いが、岸からでも驚くほど透明度の高い海で、手軽に様々な対象魚が狙える。近年はルアーやエギングも人気で、五島市を訪れる釣り人は増えている。

せいわの山下船長と平和卓也さん
五島市では様々な釣りが楽しめる。釣りのインフラが整っている印象だ

福江島では渡船や釣り船はもちろん、釣具店、ホテル、スーパー、コンビニ、食事の場所など釣りの遠征を快適に楽しむための施設が揃っている。

アクセスも飛行機を利用すれば、東京や大阪から早ければ約3時間で到着する。長崎や福岡からフェリーで訪れるのも快適だ。五島列島は一度行けば意外と近いと感じる人も多いはずだ。五島市に通う釣り人が多いのも頷ける。

平和卓也プロと2名のゲストで五島列島の磯釣りを満喫!

市長取材の翌日は、平和卓也プロと2名のゲストを交えて、五島列島での磯釣りを行った。当日は渡船の「せいわ」に乗船。福江島の丸木漁港を午前6時頃に出発し、「椎の木島」に渡してもらう。

平和氏は、朝イチはルアーでスマカヅオをヒットさせる。その後、グレ狙いに変更。浅いタナを攻め続けても反応がない事から、一気に深場を攻めると1尾目となる45㎝を釣り上げた。その後も40㎝オーバーの良型を追加。見事にパターンを掴んだ。

平和卓也さんが五島列島で釣ったグレ
平和卓也プロが釣った51 ㎝のグレ。五島列島は記録級の魚が狙える場所だ

平和プロはグレに限らず、磯から狙える様々な魚を釣る。釣り方も絶妙に変えていき、イラ(ベラ科の魚)、良型の美しいマダイなど様々な魚を釣った。終盤は再びグレ狙いに戻り、湧きグレ(水面近くに湧いているグレ)を見つけ、仕掛けや攻め方も変えて、51㎝の大型グレを仕留めた。ゲストの2名も40㎝オーバーを含め多数のグレを釣り上げ、大満足の納竿となった。

平和卓也さんが五島列島で釣ったイラ
「今日はこれも釣りたかった!」というイラ(ベラ科の魚)。かわいらしい顔をしている
平和卓也さんが五島列島で釣ったマダイ
良型のマダイも釣り上げた。五島は様々な魚が釣れる

コロナ禍もあり、平和プロが五島列島を訪れたのは4年振り。今回の取材で釣りが出来たのも1日のみだったが、結果的にグレ51㎝頭に40㎝オーバー多数、ほか良型のマダイ、イラ、スマカヅオなどを釣り上げた。ゲスト2名もグレ40㎝オーバーを頭に多数と、他の地域では考えられないような釣果となった。平和氏は五島列島の釣りについて次のように語る。

五島列島はグレの宝庫。日本屈指の釣り場は間違いなし!

「五島列島は、潮が流れ、水深もあるので、浅いタナでも釣れますし、タナが竿2本分など深場を攻める独特な釣り方も楽しめます。40㎝オーバーが沢山いる中で、45㎝を狙うといった、他の地域では出来ないような釣りが出来るのも魅力です。特に口太グレで言えば、40㎝オーバーがこれだけ多く生息する場所は他にないでしょう。五島列島はグレの生息に最も適した場所なのだと思います。

平和卓也さんとゲストが五島列島で釣ったグレ
ゲストも次々と良型のグレを仕留めた。グレ釣りをするなら一度は訪れたい場所だ

福江島に到着しさえすれば、釣りが出来る可能性大!初めての人にも福江島はオススメ

今回は福江島の北東にある磯で釣りをしましたが、玉之浦湾など福江島の西側にも良い釣り場があります。つまり、福江島に到着しさえすれば、どの方向から風が吹いても、どこかの場所で良い釣りが出来る可能性が高いです。

大手メーカーの大会が、この福江島地区で開催される事が多いのは、良く釣れるのはもちろんですが、大会が中止や延期になる確率が低く、釣りが出来る安心感がある事も大きな理由の1つだと思います。磯釣りは荷物も多いですから、現地に荷物を送った場合など、予定変更やキャンセルは大変です。遠征で行かれる事が多いと思いますから、現地で釣りが中止になりにくい事は、釣り人にとってすごく重要です。

五島列島が、グレ釣りで日本屈指の釣り場であるのは間違いないです。他の地域でも最高の磯が一、二カ所はありますが、五島にはその最高の磯が無数にある感じです。

五島列島で釣れたグレ
当日の釣果の一部。良型のグレがたくさん釣れる、日本屈指の釣り場だ

また、磯釣りだけでなく、今はルアー釣りの人もすごく増えています。アオリイカも人気ですし、ヒラマサもかなりの大型が出ます。五島列島から玄界灘までのエリアは、日本の中でも大型のヒラマサが最も良く釣れる海域だと思います。他にもイシダイ、クエ、マダイなど記録級の魚が沢山いますし、釣り人の夢の魚が全部いる場所ですね(笑)。五島列島に釣りに行くなら、釣りが出来る確率の高い、福江島はオススメだと思います」。

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