ルアーのプロショップ「maniac’s(マニアックス)」。人気の秘訣とは…!代表の駒崎氏をインタビュー

スペシャル ニュース

今回紹介するのは、東京都足立区にあるルアーフィッシングに特化したプロショップ「maniac’s」(マニアックス)だ。

全国的にプロショップは減少傾向にあると言われるが、マニアックスは2016年のオープン以来、多くのルアーファンに支持され右肩上がりの成長を続けている。店舗作りや経営方針等について、代表の駒崎佑典氏に話を伺った。

ルアーの商品在庫は国内トップクラス。定番商品と「アングラ感」の絶妙なバランス感覚の品揃え

maniac’s(以下、マニアックス)はルアーフィッシング用品全般を扱うプロショップだ。バス、ソルト、トラウトの構成比はほぼ同じで、バランス良くルアー用品全般が取り揃えられている。 

マニアックスの外観
東京都足立区にあるマニアックスの実店舗。遠方からもルアーファンが次々と来店する

品揃えは全ジャンルとも非常に充実している。在庫金額はバックヤードも入れるとおよそ3億円。ルアーのみを扱った店舗では全国でもトップクラスだ。人気メーカーの売れ筋商品や定番商品はもちろん、ロッドやリールのハイエンド商品も豊富に陳列されている。

また、有名メーカーの商品だけでなく、マニアックなルアーや「アングラ感」(主流の商品にはならないが、一部のコアな層に支持される商品等、アンダーグランドな商品)の漂うアイテムも数多く取り揃えられている。

販売の主力となる一般的な商材と「アングラ感」が漂うルアー等が絶妙のバランスで構成されている事も、多くのルアーファンから支持される理由だ。

マニアックスの店内
オシャレな店内には人気ルアー用品がズラリ。在庫金額はおよそ3億円と全国でも屈指の品揃えを誇るプロショップだ

マニアックなユーザーがマニアックな商品を買いに来て、マニアックな店員が接客する

代表の駒崎佑典氏は1983年生まれの40歳。ヒューマン・フィッシングカレッジを卒業後、(株)天龍に入社。その後、合併される以前の(株)キャスティングに入社し小売業を学ぶ。32歳で独立しマニアックスを創業する。

マニアックスの店舗は、キャスティング時代に学んだ事も活かされている。駒崎氏は次のように語る。

「キャスティングは量販店の中でも品揃えが良い釣具店です。品揃えが良いと、釣り人にとっても楽しいお店になりますし、お客様に喜んで頂けます。こういった店作りはマニアックスにも活かされています。

キャスティングに勤めていた時代は取引先から良くして頂きました。しかし、退職してキャスティングの看板が外れ、駒崎という1人の人間になった時、お金を用意しても取引させてもらえないメーカーさんもあり、『自分はこのぐらいか』と感じさせられる事も多かったです。分かってはいたつもりですが、自分の後ろに大手企業の看板があるのとないのでは全く違います。しかし、早い段階で鼻っ柱を折ってもらえて良かったと思っています。

創業当初は仕入れも苦労しましたが、多くの問屋さんに助けて頂きました。実績を積み重ねていくと、取引して頂けるメーカーさんも増えて、当社の規模を考えると今では特別に良くして頂いていると感じています」。

マニアックスの駒崎氏
maniac’s株式会社代表取締役の駒崎佑典氏。プロショップが減少する中、8年連続右肩上がりで成長を続ける

駒崎氏の店作りは、基本的に量販店の縮小版にはならない事を心がけている。量販店に比べて売り場面積も限られており、小さな量販店を作っても釣り人から支持されるのは難しい。

それよりも、マニアックな商品も数多く集め、熱心なルアーファンや初心者の人でも、買う買わないは別として、「こんなルアーもあるのか」と商品を見て驚きや楽しさを感じられる店作りを行ってきた。

マニアックスのトラウトコーナー
トラウト用品も全国トップレベルの品揃え

店名の通りマニアックなお客さんがマニアックな商品を買いに来て、マニアックな店員が接客するというイメージだ。

そもそも、釣具店とは昔からこういうスタイルの商売だったはずだ。和竿やヘラブナ等でも、昔からマニアックなお客さんが、マニアックな店舗にマニアックな商品を求めて来店し、マニアックな店主が接客をしてきた。時代は変わり商材がルアーに変わっただけで、釣具店の王道と言える業態だ。

「複数ジャンルの釣りを楽しんでほしい!」釣りツアー企画数も日本一!?

マニアックスのリールコーナー。高級リールの在庫も豊富だ。カタログ買いではなく、実物を見てから買いたいルアーファンの要望にも応え続けている

また、マニアックスでは、お客さんに色々な釣りを楽しんでもらう取り組みも積極的に行っている。

「お客様に1つのジャンルだけでなく、様々なルアーフィッシングを楽しんでもらう事はとても意識しています。その取り組みの1つとして、今の時期でしたら当店主催でシイラ釣りのツアーを行っています。1回のツアーで2~3隻の遊漁船をチャーターさせてもらい、50~70人のお客様に参加して頂きます。

参加される多くの方は、もともとソルトを楽しむ人は少ないです。バスフィッシングが好きな方がビッグベイト等でシイラを狙われています。レンタルタックルを使用されていても、気持ちは盛り上がってもらえますし、最終的には専門の道具も必要となってきます。当店のお客様は、様々な魚種にチャレンジしてもらえる人が多いですし、新しいジャンルを試すハードルも低いと思います。

また、食育にも力を入れています。釣った魚を美味しく食べてもらう事もしっかりとお伝えしています。

季節毎にマグロ、シイラ、タチウオ、トラウトなど、ツアー関係は日本で一番行っているかもしれません。まずは、お客様に釣りに行って頂いて、何かしらの宿題を持って帰ってもらいます。一度、しっかりと釣りを体験して頂けると、後は1人でも釣行できるようになります」。

昔から釣具専門店は釣り人を増やし、釣り人を育成してきた。マニアックスでは、それを今の形に合わせてしっかりと行い続けている。これもマニアックスの支持者が増える理由の1つだろう。

業界とタッグを組んでアングラーに寄り添う店づくり

マニアックスのロッドコーナー
マニアックスのロッドコーナー。ハイエンドのロッドがズラリと並び、手に取って確かめられる

今の釣具業界に対して駒崎氏はどのような事が課題だと考えているのだろうか。

「ルアーの商売は流行り廃りのサイクルも早く、基本的に1回転しかしないという状況です。我々はメーカーさんが思いを込めて作った商品を、心を込めて販売しています。メーカーさんには、自社のルアーをこれからも大切にして頂きたいと思います。

また釣具業界の課題としては、コロナ禍でこれだけ新規の釣り人が増えたにもかかわらず、定着させる事がほとんど出来ていない事ではないでしょうか。こういった事を専門に行える団体や機関はないのでしょうか? 100年に一度あるかどうかのチャンスだったと思います。

我々プロショップは手の届く範囲の釣り人は増やせますが、釣りが全く新規の方や広範囲にわたる活動は出来ません。業界全体で釣り人を育てる仕組みが必要だと思います」。

将来的には移転も検討。売り場面積も拡大予定!?

最後に、今後の展開について駒崎氏は以下のように語る。

「店舗も手狭になってきているので、将来的には移転を考えています。売り場面積で200坪ほどは欲しいと思っています。もちろんルアー専門のお店にするつもりです。

当店は多くの方に助けられています。メーカーさん、問屋さんも、量販店の力が非常に強い中で、プロショップが頑張っている姿を見て、楽しんで頂いていると感じています。今までプロショップに育てられたメーカーさんも多いのだと思います。

お客様のニーズはひたすら聞き続けていますが、アングラーに寄り添った店作りが、釣具業界とタッグを組んで、上手く運営出来ている事が、当店が順調に成長出来てきた大きな理由だと思います」。

釣具業界全体の成長のためにも、良い釣具店が数多くある事が不可欠だ。今後のマニアックスの展開が注目される。

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