「釣具業界の法律相談所」は、釣具業界でも起こる可能性のあるトラブルについて、弁護士の先生に聞いて見解や対処方法を紹介するコーナーです。
今回は、釣り大会で優勝者に不正が発覚した場合、どんな罪に問われるのかについて弁護士の先生に聞きました。
釣り大会、優勝者のルール違反が発覚!豪華賞品も持ち帰っていたが…
当社は釣り具メーカーです。当社では、日頃お客様にご愛顧頂いている感謝を伝える意味で、「ファン感謝・釣り大会」を毎年開催しています。例年300人以上が参加して頂ける盛況な釣り大会となっています。
その釣り大会のルールは当社製品を使って頂き、大会時間内に大会本部に戻ってこられる場所ならどこで釣っても構いません。
釣ってこられた魚の大きさで順位を決定します。釣れる魚はその時によって異なるので、スズキの部、クロダイの部、アジ・サバの部、その他の部といった形で、魚種別に賞を設けます。
それぞれの部門の優勝者には、当社が発売している釣竿やクーラーボックスなど豪華賞品をプレゼントしています。また参加者全員に当社のオリジナルグッズを差し上げるなど、参加者からも好評の大会で、当社のファン作りに有効なイベントだと認識しています。
ところが昨年の大会終了後、この大会の参加者からクレームがありました。というのもここ2年、ある部門で同じ人物が連続優勝しているのですが、この人物が不正をしているというクレームでした。
不正の方法は、以前どこかで釣った魚をクーラーボックスに保存しておき、大会当日に持ち込んで、当日釣った魚のようにみせかけて優勝しているというのです。
当社の大会では、「大会時間中に釣った魚の大きさで順位を決定する」と明記していますので、このクレームが事実であれば明らかなルール違反です。
しかし、大会への参加に関しては、当日に簡単な申込用紙に名前、住所、年齢を書いて頂く程度で、大会規約に誓約して頂くという確認項目等はありません。
ただし、ルールの告知は事前にポスターやホームページ、SNSなどで行っていますし、常識的に考えて、参加者はルールを守って大会に参加していると考えています。
当社でもこのクレームを受けて「気を付けておきます」と答えていたのですが、今年の大会でも同じ人物が大きな魚を持ってこられて、3年連続優勝となってしまいました。当社も結局その場では調査もできず、その人物は豪華賞品を持ち帰られました。
当社のスタッフも、参加者が大会本部に持ってきてくれた魚の長さを計測する時に「これは時間内に本当に釣られましたか?」とは聞きづらかったという事情もあります。ファンサービスの主旨で行っている大会ですから、もし大会時間中にきちんと釣られた魚であれば、相当に気分を害されるはずです。
後日、別の参加者からこの優勝した人物は、大会時間中に魚釣りをほとんどしていなかった事や、釣りをしていた時にも1尾も釣っておらず、その証拠を動画に収めているという連絡が当社にありました。他のメーカーの釣り大会でも同様の事を行っているとの事でした。
そこで弁護士の先生に質問です。
不正を行って連続優勝をしていた人物は、法律的にどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
当社としては積極的に訴えを起こすつもりはありませんが、不正が真実だった場合は、賞品は返して頂きたいと思っています。その際、どのようなアプローチを行えばよいでしょうか。アドバイスがあればお願い致します。
(※質問は実際の大会や企業等とは全く関係がありません)