【竹村勝則・釣り記者の回顧録】豪快無比!「ボラ掛け」。半端じゃない衝撃、昭和の釣りを振り返る

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ベテラン釣り記者の竹村勝則(たけむらかつのり)氏が「昔と今の釣り」について思うままに語る、「釣り記者の回顧録」

今回は、竹村さんが経験した昔のボラ釣りについて語ってもらいました。

昭和の時代、食料であり、釣りのターゲットでもあった「ボラ」

ボラは出世魚で、オボコ、イナ、ボラ、トドと成長するにつれ呼び名が変わりますが、同じ出世魚でもブリやスズキほど人気がありません。

そんなボラですが、昭和の時代は食料として漁が行われ、専門に釣りもしました。

夏場のボラは臭みが強くてイマイチですが、水温が下がってくる冬場、特に寒のボラは脂が乗って味が良くなり、造り、シャブシャブ、フライにしても美味です。なかでもボラのカラスミは珍味です。

ボラは汽水域を好むので、川尻に多くいますが、瀬戸内海、太平洋側や日本海側など広範囲に生息しているなじみのある魚で、水面から飛び出てジャンプする事でも知られています。

ボラ
釣魚としても注目されたボラ

ボラは水温が下がる冬場、目に白い膜が張ってくる。そうなるとボラ掛けの好シーズンです。

以前は淀川尻、神戸から泉南方面、大阪湾沿岸の漁港の波止では、道具箱に腰かけて長竿を操るボラ釣り師が並ぶのは冬の風物詩でした。

物干竿のような竿で豪快に掛ける!豪快無比な「ボラ掛け」

釣の友のボラ釣りのページ
豪竿を操るボラ釣りは冬の風物詩だった(出典:釣の友より)

その道具だては、竹竿の4間から6間もあり、まるで物干竿のようで、道糸の先には、オモリの周りに目立つ赤、黄、青色などのヒラヒラする薄いゴム板を巻き付け、そのすぐ下に3本イカリを付けたものです。

竿は長くても支柱でささえ、竿尻にレンガなどの重しをぶら下げてバランスをとるので楽です。

そして色ゴムを小刻みに動かしてボラにアピールし、エサと間違えて食べにきた時のかすかなアタリをとらえて竿を跳ね上げて針に掛けます。

竿は長いが仕掛け糸は短いチョウチン釣りなので、ボラを掛けた時の衝撃は強烈で半端ではありません。

釣の友のボラ釣りのページ
物干竿のような長さの竹竿を使った(出典:釣の友より)

豪快無比のボラ掛けですが、平成の時代にはあまり見かけなくなり、近年ではほとんど見掛けなくなりました。

ボラが少なくなったわけではなく、むしろ増えています。群れで泳いでいるのをよく見かけるし、波止でチヌ釣りをしていると、マキエに必ずといっていいほど寄ってきます。

港内のチヌカカリではダンゴを使うので、ボラは付きもの。ダンゴをゴンゴン突き、時々は針に掛かって走り回り、腕が痛くなるほどよく引きます。

チヌカカリ釣りではボラは外道なので、誰も狙わないが、釣るつもりなら面白いほど釣れます。

それほどよくいる魚なのに今は誰もボラを釣らない、狙わない。食料が有り余る現在、魚離れもあって、見た目がよくないボラは見向きもされないようです。

冬の波止で、あの長竿で釣る豪快なボラ掛けですが、残念ながら廃れたのではないでしょうか。

(了)

竹村勝則氏のプロフィール

竹村勝則氏の写真
今も編集部の中で毎年トップクラスに日焼けしている竹村さん。現役バリバリの釣り記者だ

竹村勝則(たけむらかつのり)
昭和16年生まれ。
月刊雑誌「釣の友」(釣の友社)編集長を経て、週刊「釣場速報」の編集長(名光通信社)等を歴任。
釣りの記者歴だけでも軽く50年を超え、今でも釣行回数は年間120日以上!
国内で最も古い時代から活躍する釣り記者の1人だ。

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