転売業者への販売拒否は出来る?転売防止の有効な対策とは?【弁護士に聞く】

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【弁護士の回答】明らかな転売業者には、釣り具の売却を断る事は可能

御社がお客様からお金をもらって釣具用品をお客様に売るという行為は、法律的には、御社とお客様との間で、お金と引き換えに釣具用品を渡すという「売買契約」を結んでいるということになります。

契約とは、契約を望んでいる人が契約の「申込み」をして、申込みをされた人が「承諾」をすることによって成立します。

つまり、本件でいうと、お客様が御社に対して、釣具用品を売ってほしいという「申込み」をし、御社が釣具用品を売りますという「承諾」をすることで、御社とお客様の間で契約が成立することになるのです。

では、御社は、「この人は明らかに転売業者である」という人から釣具用品を買いたいという「申込み」があった際には、必ず「承諾」をしなければならないのでしょうか。

民法第521条には「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる」と定められています。

つまり、契約の「申込み」をすることも、その申込みの「承諾」をすることも、それぞれの自由だということです。これを「契約自由の原則」といいます。

したがって、御社は、転売業者から釣具用品を買いたいという「申込み」をされたとしても、転売業者に売りたくないと思えば「承諾」をせずに釣具用品の売却を断ることが可能です。

小売店内のイメージ
(※写真はあくまでイメージです。実際の小売店等とは全く関係がありません)

テナントの場合等は注意。商業施設の契約内容の確認を

ただし、デパートやショッピングセンターなどに出店している場合、デパートやショッピングセンターとの出店契約において、商品の購入を希望するお客様の申込みを拒否する場合は、デパートやショッピングセンターの承諾が必要であるとされていることもあります。デパート等に出店している場合、契約内容をよく確認することが必要です。

御社が「お1人様2個まで」というお願いのシールを貼っていたのにもかかわらず、お客様から2個よりも多くの商品の売却を要求された場合はどうでしょうか。

御社が「お1人様2個まで」というお願いのシールを貼って商品を陳列する行為は、「1人2個までの契約の申込みを受け付けます」というお客様に対する通知であると解釈できます。こういった通知は、法律的には、相手に契約の申込みをさせるようお誘いする、「申込みの誘引」と呼ばれます。

「申込みの誘引」はあくまでも通知であって、「申込み」ではないため、お客様が「これを買いたい」と言ってきても、御社が「承諾」しない限りは契約は成立しません。

そして、「契約自由の原則」があるため、御社が「申込みの誘引」をしていたとしても、お客様の「申込み」に対して「承諾」するかしないかは御社が自由に決めることができます。

したがって、「お1人様2個まで」というお願いをしている商品について、2個より多くの商品の購入をしようとするお客様がいた場合、その人に対して販売を拒否したとしても何の問題もありません。

転売を防ぐための具体的な対策は?

転売を防ぐための対策としては、転売を目的としたお客様には商品を販売しないことをあらかじめ公表しておくことが考えられます。

具体的には、御社の店内やホームページなどに、同一商品の不自然な大量購入など明らかに転売目的と認められる場合には、商品の販売を断ることがある旨を掲示しておくことです。

事前に転売目的の人には商品を販売しない旨やどういうときに転売目的と判断するかを明示しておく事で、転売業者に転売目的での購入は出来ないと思わせ、転売目的での来店や購入を抑制することが期待できます。

また、実際に転売業者に対して商品の販売を拒否する際にも、あらかじめ転売目的の人には商品を販売しないと公表していたことを相手に示すことで、公表していない場合に比べて、心理的にも断りやすくなるでしょう。

その他の転売対策として、商品の転売が禁止されていること、及びそれに違反した場合に違約金を支払うことを合意してもらったうえで、商品を販売することが考えられます。

実店舗では、商品の販売の都度、合意書を作ることは難しいかもしれませんが、会員カードなどがあれば、その会員規約において、転売禁止に違反した場合の違約金を定めることが考えられます。

ただ、設定する違約金があまりにも高額な場合、違約金条項の効力が否定されるケースがありますので注意してください。

過去の裁判例では、オンラインショップの利用規約に、転売禁止に違反した場合には違約金として50万円を支払う内容を定めた事例で、裁判所が、違約金が高額すぎるとして、違約金の支払い義務を認めなかったものがあります(東京地方裁判所判決令和3年5月19日)。

違約金を設定するとすれば、商品代金の3倍程度を1つの目安とすべきでしょう。

(了)

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