今回はブラックバスを活用する釣り場を取り上げてみた。2005年の外来生物法施行に合わせて特定外来生物に指定され、生体の移動や飼養等のさまざまな規制がある。
ただ、バス釣りを楽しむことに何ら規制はない。外来生物法施行後は一時バス釣り界も衰退の一途を辿るのかという雰囲気さえあったが、ここ数年で再びこのゲームフィッシュを有効活用しようとする動きが全国的に見えはじめた。
バス釣りを受け入れる湖が増加。関東は三島湖、豊英湖、戸面原ダム
関東では房総半島にあるヘラブナ釣り場だった三島湖(みしまこ・千葉県)、豊英湖(とよふさこ・千葉県)、戸面原ダム(とづらはら・千葉県)が揃ってバス釣り人を受け入れるようになった。この3湖は漁業権を放棄した小規模人造湖で、レンタルボート店がその収益の中からヘラブナを自主放流してきた。
ブラックバスの活用に踏み切ったのは、ヘラブナ釣り人の減少と高齢化で釣り場の維持管理が厳しくなったからに他ならない。ヘラブナ釣り界にとって衝撃的な出来事であったが、釣り場を維持できたことは喜ばしいことだろう。
房総エリアを代表するバスフィールドといえば亀山湖、高滝湖、片倉ダムである。この3湖は漁協の管轄内で、漁協と貸舟組合、観光企業組合などが協力してバス釣りをメインに釣り場を管理している。
ハイエンドのバス釣り人にとっては琵琶湖や霞ケ浦水系が日本のメジャーフィールドだが、レンタルボートで手軽にバス釣りを楽しめる房総のリザーバー群は日本屈指のバス釣りのメッカとなった。
中部地方では五三川、大江川がバス釣り人の受け入れ態勢を充実させている
中部地方に目を向けると、身近な岸釣り場として人気がある五三川(ごさんがわ)と大江川がバス釣り人の受け入れ態勢を充実させている。
この2河川はどちらも漁協が管轄し、五三川水系は養老漁協(揖斐川水系・津谷川水系含む)、大江川水系は海津市漁協(長良川水系・中江川水系含む)が管理している。
どちらも遊漁料は日券300円、年券5,000円。「雑魚」扱いとなっている。以前は「遊漁券を払いたくない」というバス釣り人も多かったが、年毎に遊漁券購入者が増えている。
漁協と釣り人の関係が良好になってきた背景には、「中部プロショップ友の会」の働きかけが大きい。
同会が企画運営するルアーフィッシングフェスティバル「ザ・キープキャスト」の収益金を基金とし、漁協との協働で五三川周辺に「アングラーズパーク」と呼ばれる釣り人専用の無料駐車場を設置。その数は5カ所まで増えた。
また、大江川は寒ブナ漁が伝統で、マブナの放流資金を寄付している。
岸釣りの大きな問題となるのが迷惑駐車だが、地元とのトラブルを少しでも軽減しようと活動する釣具業界や漁協の気持ちが釣り人に伝わり、遊漁料の支払いに抵抗感がなくなってきたといえるだろう。
関西地方では高山ダム、室生ダム
関西でここ最近注目されているフィールドといえば高山ダムだ。
30年以上前にスケールの大きな釣り場として人気を集めたが、釣り人のトラブルでボート釣りができない時期もあった。
京都府、奈良県、三重県の3府県にまたがっていたことも管理を難しくしたが、下流側(京都府)の木津川漁協ではフィッシュパス(インターネット)で遊漁券を購入できるようになった。
また、上流側(奈良県)の月ヶ瀬漁協では監視員が巡回し、釣り人と漁協関係者とのコミュニケーションが良好だ。このダムでボート釣りをする人はほぼ遊漁料を支払うようになり、漁協主体のバストーナメントも開催されるようになった。
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