日本釣振興会の事業に地方議会も着目。「釣りでひきこもり支援」12月議会で議員一般質問【飯能市】

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公益財団法人日本釣振興会は、何らかの理由で社会参加への場面が狭まっている人たちへのサポート事業として魚釣り体験教室を開催しているが、同取り組みについて釣具新聞を通して知った市議会議員が市政に対する一般質問で取り上げ、執行部に市のひきこもり対策として魚釣り体験事業が実施できないか、投げかけた。日本釣振興会の方策が、魚釣りとは無縁の地方議会に波及した。

飯能市役所
埼玉県飯能市の市役所

日本釣振興会が実施している「ひきこもり」支援事業

昨年10月8日、日釣振(にっちょうしん)は東京都あきる野市にある管理釣り場「秋川国際マス釣り場」でニジマス釣り体験教室を開催した。

関連記事 → 釣りで「ひきこもり」支援。日本釣振興会が秋川国際マス釣場で釣り体験会を実施。社会参加のキッカケに | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト

釣りを体験したのは、NPO法人青少年自立援助センター(東京都福生市、河野久忠理事長)を利用する17歳から41歳までの11人と施設職員。魚釣りなど野外活動を趣味にすれば、不登校やひきこもりの予防になるのではと提唱する下野六太参議院議員の協力要請に日本釣振興会が応じた令和6年度の新規事業で、当日は生憎の雨天だったものの、参加者たちは終始笑顔でニジマス釣りを楽しんだ。

本紙はこの時の様子について10月25日号の1面で「日釣振 釣りで『ひきこもり支援』」「社会参加のキッカケに」との見出しで報じた。

釣具新聞の紙面
釣具新聞の1面で報じられた

同記事を目にしたのが埼玉県飯能市議会の議員、中元太さん。普段から児童生徒の不登校問題やひきこもりなどに心を痛め、調査研究を続け、施策の展開などを市に求めてきたが、記事をヒントに飯能市なら入間川や高麗川などの清流やニジマスの管理釣り場もあり、魚釣りの適地。日釣振のように釣りによる不登校・ひきこもり支援ができるのではと、昨年12月の飯能市議会定例会で一般質問を行い、市担当者に投げかけた。

飯能市でも、ひきこもり支援で釣り体験を実施出来ないか?

執行部に対し、中元議員は市が実施しているひきこもり支援について尋ねたあと、「引きこもり支援が必要な人たちに釣りを体験してもらうことで交流が生まれ、ひきこもりから脱したという例もある」などと指摘した上で、日釣振が秋川国際マス釣り場で実施したニジマス釣り体験教室を例示。「本市も似たような環境があるので(釣り体験を)事業として実施できないか」と質した。

日本釣振興会のひきこもり支援の事業の様子
秋川国際マス釣り場で実施された日本釣振興会の事業の様子。釣りなどの野外体験は、ひきこもりの支援に役立つと言われている

この質問に対し、市担当者は「議員お質しの釣りの体験は、そのきっかけとなるような事例の一つ」と評価し、「他市の事例だが、大阪府の阪南市では地域と連携し、漁業の体験を通じて就労や自立に繋がるような取り組みを行っている事例がある」などと答弁。「先進事例を研究しながら連携体制、支援体制の構築をさらに進めていく」との見解を示した。

中元議員は、「これは、お金がかかる事業ではない。本市の自然豊かな環境、さまざまな専門知識を持っている団体があるので、そういった方々と重層的な支援を組んで頂き、ぜひ事業化を検討してほしい」と再度訴えて質問を終えた。

同市議会で市域を流下する河川環境の維持や公共用水域の水質保全のための一般質問はあるが、市のひきこもり対策として魚釣りの事業化について見解を問う質問は、今回が初。中元議員は日本釣振興会の同事業について今後も注視し、継続して市執行部に事業化へ向け働きかける考えという。

全国で推定146万人がひきこもり。埼玉県内でも約9万人

埼玉県は、令和6年に「ひきこもり支援に関する実態調査(令和4年度実績分)結果報告書」を策定。この中で、15歳~39歳のひきこもり当事者は全国で約61万人、40~64歳では約85万人、合計で約146万人と推計した令和4年11月の内閣府実施のひきこもり実態調査をもとに、埼玉県内のひきこもり当事者については「15~39歳で約4万人、40~64歳では約5万人の計約9万人」と推計している。 【小島満也】

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