魚釣りを通じて水辺環境への興味関心の醸成、青少年の健全育成などに取り組んでいる公益財団法人日本釣振興会は10月7日、埼玉県桶川市にある城山公園内の大池で、小学生を対象にした「釣りを通じた環境学習」を実施した。
川田谷小学校の児童たちが参加し、実際にクチボソやモロコなどを釣る生物調査で多様な生き物を育む自然環境の大切さを学んだ。川田谷小学校が日本釣振興会の釣りを通じた環境学習に参画するのは、今回で2度目だ。
日本釣振興会の普及振興委員会が推進している施策の1つである「釣りを通じた環境学習」は小学生や教員などを対象にして魚族資源、水辺環境などへの関心を高めてもらい、併せて青少年の健全育成を図ることなどが目的。
2021年から神奈川県横浜市、同川崎市、同三浦市、同逗子市などの小学校で実施し、川田谷小学校については昨年に続いて2年連続の開催となった。
川田谷小で同環境学習を受けたのは、3年生と4年生の合計56人(うち、実施日に欠席児童あり)。
児童たちは、日本釣振興会のスタッフを講師に自分たちが住んでいる地域の魚などを学ぶ座学を9月24日に同校体育館で受講済み。座学では日本釣振興会の沢田典大氏(普及振興委員会委員)と三村達矢氏(本部事務局長)が講師を務めた。
埼玉の城山公園で実釣!池には子供達の歓声が響く
座学に続いて、2日目となる7日の実釣(フィールドワーク)場所となった城山公園は、サッカーや野球などが楽しめる多目的グラウンド、テニスコート、ピクニック広場などが整備された約10.4haの都市公園。
大池はその公園のほぼ中央にあり、周囲は240mほど。雑木林に囲まれた大池では、再放流することを条件に自由に魚釣りが楽しめる(遊漁料不要。リール釣りは禁止)。
児童たちは教師に引率され、約20分かけて学校から徒歩で会場へ。大池のすぐ脇に設営されたテント前で開会式が開かれ、まず児童たちは、起立して「よろしくお願いします!」と元気よく挨拶。
その後、沢田氏が「座学でお魚や釣りの話をしました。今日はフィールドワークということで、この大池で生き物調査の1つとしてお魚釣りをします」と挨拶。釣りでは、3~4年生ともに2人で1つのチームを作り、1本の竿を交互に使用することなどを説明した。
児童たちは練エサ(ふりふり9)の作り方、針への付け方などを沢田氏らから学んだ後、テント側と東屋のある対岸側とに分かれ、用意された竿を手に早速仕掛けを池中に投入した。
大池は浅い水深だが、濁りがあるため、はっきりとは魚影の確認はできない。しかし、小魚の生息は豊富で、児童たちが仕掛けを投じると、間を置かずにウキがチョンチョンと小刻みに動いたり、水中に引き込まれたりと魚信は活発。そのたびに子どもたちは「おお!」、「いまだ!」などと声をあげ、タイミング良く自分の竿に魚がかかると「やったー!」と池全体に響き渡るような歓声で喜んだ。
大池の生物調査で確認できたのは、クチボソ(モツゴ)、タモロコ、カダヤシ、ドジョウ、ヌマエビ、アメリカザリガニ、カエルなど。スタッフの指導もあり7~8㎝のクチボソやタモロコが次々にかかり、子どもたちは時間を忘れて竿を出し、中には、24尾を釣り上げたグループもあった。
ライフジャケット着用体験を含め、1時間半程度の野外学習だったが、身近なフィールドに生息する生物と出会えるなど、子どもたちにとってかけがえのない時間となった。
ライフジャケットはきちんよ着用しよう!水辺の安全についても学ぶ
この日の環境学習では、水辺での活動となるため、水中に落下した事態に備え、ライフジャケットの正しい着用方法を沢田氏をはじめ、日本釣振興会埼玉県支部やマルキユーのスタッフが児童たちに指導した。
沢田氏は、ライフジャケットの着用を終えた児童たちを見渡し、「股紐を必ず股に通してパチンと止めて下さい。なぜ股紐が重要かというと、水に落ちた時に股紐をきちんと締めておかないとスポンとライフジャケットが脱げてしまいます。今日、この場所は安全なのでライフジャケットを着けなくても大丈夫ですが、川、海に行った時はライフジャケットを着け、股紐をきちんと止めてください」と呼びかけた。
釣り終了時間になると、子どもたちが釣り上げた魚がテント横に用意された水槽へ投入され、そのたびに、集まった子どもたちからは「凄い!」、「こんなにいっぱい!」といった感嘆の声が上がった。
「魚釣りは初めてだけど、やってみたら面白かった」。「赤虫を針につけるのが難しかったけれど、魚が釣れたのでよかった」。「また、絶対やりたい」などといった感想も聞かれた。
【小島満也】
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