「九州リポート福岡発!」は、全九州釣ライター協会の会長・小野山康彦氏の連載です。公益財団法人日本釣振興会九州地区支部の活動ほか、九州の様々な情報を紹介します。
世代間のコミュニティ確保が地域の課題
第19回の今回は、私が今年4月から館長を勤めている福岡県北九州市の北九州市立枝光北市民センターで開催した「初めてのお魚釣り教室」についてお伝えします。
北九州市の市民センターは、同市が所有する施設をまちづくり協議会が運営して、自治区会活動や社会福祉協議会活動などと協働しながら、お祭りや文化祭などの地域事業を開催し、趣味の友好者が集うクラブ活動の利用促進を行うなどコミュニティの拡大を促して安心・安全・助け合いの環境を築き上げていく目的があります。
近年、町内会の加入率は低下し地域活動に参加する住民も減少しています。役員を引き受けてくれる方も少なくなり、地域のコミュニティ確保はどの自治体も喫緊の課題となっています。
私が館長に就任した時に感じたことは、利用者の多くが地域の元気な高齢者の方々で、小学生などの生徒や学生、社会人の利用が少なく、世代間のコミュニティ確保が十分にできていないことでした。
そこで、区役所の区次長やコミュニティ支援課長と相談して、子供から高齢者までが利用できる時間帯に枝光北市民センター主催の生涯学習講座「初めてのお魚釣り教室」を開催することにしました。
「釣り教室」で高齢者と子供達のコミュニティをつなぐ
釣り教室は、公益財団法人日本釣振興会をはじめ様々な団体が企画・実施しています。
今回は館長の視点で、地域のコミュニティと釣り文化の継承を目的とするために、まず高齢の方の中から釣りを教えていただくボラインティアを募ることにしました。
まちづくり協議会の紹介で、お近くに住む長井勝紀さんが手を挙げてくださいました。
しかし、釣り教室は初心者を対象とするのでおひとりでは人手が足りません。そこで、私が所属する全日本サーフキャスティング連盟北九州協会(中島康彦協会長)に指導のボランティアをお願いしたところ、中島協会長、大石祥治副会長、八幡東区在住の三浦隆和さんの3名が引き受けてくださいました。
教材は、私が日本釣振興会九州地区支部の役員を務めている関係から、同支部事務局に竿やリール、救命胴衣や救命浮環、水汲みバケツにサビキ仕掛けなどを支援いただくことができました。
これで高齢者と子供たちのコミュニティをつなぐ体制が整いました。
全4回コースで開催!マンツーマンでしっかり教わる初めての釣り
釣り教室は対象を親子ペアとし、興味をもって長く続けてもらうために1回だけの単発ではなく9月から10月にかけての土曜日4回コースとしました。
初の試みで4回コースと言うこともあり、申し込みは4組8人と少なかったのですが、ボランティアのコーチからほぼマンツーマンで教えてもらえる利点がありました。
各日ともに天気に恵まれて枝光北市民センターでの座学、キャスティング練習、洞海湾でサビキ釣り実釣、投げ釣り実釣と進み、参加者全員にアジやハゼが釣れて大いに喜んでもらうことができました。
後日、「釣ったハゼをおうちで飼っているよ」と思わぬ報告があったほか、「釣りが好きになったので、また釣りを教えてほしい」などのリクエストもありました。
枝光北市民センターでは、11月に北九州市中央卸売市場からの出張講座として「魚さばき教室」も実施しました。
ひとりでも多くの人に釣りの楽しさと面白さ、釣りのマナーやルール、食育、安全対策の重要性を伝えることができるこのような初心者の釣り教室を、「釣り文化を未来につなぐ活動」として今後も継続していこうと心に誓った次第です。
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