釣り具の物流は大丈夫?迫る2024年問題。ロジスポの取り組みを紹介【釣り具の物流は競争から共創の時代へ】

スペシャル ニュース

世間でも大きな話題となっている物流危機、「2024年問題」が近づいている。

この危機に対応すべく、官民一体でスマート物流(IT技術を活用し効率化を図る)やホワイト物流(物流に関わる全ての関係者が協力してトラック運転手の負担を減らす)が推進されているが、どの業界も物流改革の必要性は以前に比べて格段に高まっており、釣り具業界も物流危機は必ず直面する問題だ。

今回は釣具業界で多くの釣り具メーカー、卸、小売業(釣具店)の物流も担っている株式会社ロジスポの植田武社長に、物流業界が抱える課題やロジスポの取り組みについて伺った。

ロジスポの倉庫内の風景
ロジスポのEC(ネット通販)用の作業場。毎日、釣り人に向けて釣り具が出荷されている。段ボール箱も自動で作られ、自動で密封される。こういった機械も釣具業界のそれぞれの企業が導入していく事は、本当に最適な選択なのだろうか?

物流危機「2024年問題」とは?

物流危機の「2024年問題」を改めて説明すると、働き方改革関連法により長時間労働が常態化しているトラックドライバーの時間外労働について、2024年4月から罰則付きで上限規制が導入される。この規制により、国内の物流に多大な影響が出ると懸念されているのが「2024年問題」だ。

この関連法は2018年に成立しており他業界では既に運用されている。しかし、時間外労働の上限規制が直ちに実施されると、事業が成り立たなくなる可能性がある物流業者も多いため、運送業界等の要望もあり、上限規制の導入まで5年間の猶予期間が設けられていた。

しかし、その猶予期間もいよいよ撤廃され、来年の4月からはトラックドライバーの働く時間が厳しく制限される事になる。

2024年問題は日本の大きな問題だ。釣具業界でも今まで行われていた各企業への集荷業務等も、今後は従来通り行われるのか不明だ。いずれにせよ様々な対応策が必要となりそうだ(写真はイメージ)

1人1人のドライバーの働く時間が減るという事は、配送できる荷物の数が減るという事だ。こういった状況が見越されるため、各運送会社では運送費のアップやドライバーの仕事内容の軽減化を行っているが、これらは荷主の物流費の上昇に直結する問題でもある。

また、ドライバーの人数を増やす事も解決策となるが、ドライバーの仕事は一般的な職種に比べて平均賃金が2割程度安く、仕事は2割程度多いと言われ、なり手が少なく採用は厳しい現状だ。

こういった状況が続くと、2025年には10万人のドライバー不足となり、約28%の荷物が運べない事態となり、2030年には約35%の荷物が運べなくなるという試算も出されている。

物流費のアップは企業の業績に直結する悩ましい問題だが、運賃を上げれば解決する話ではなく、そもそも運んで欲しい荷物を必要な時に運んでもらえない状況になる可能性もある。

物流危機の「2024年問題」を迎えるにあたり、非効率な物流の仕組みを抱えたままの企業、あるいは業界が大きな壁に直面する事は間違いない。そのため、共同物流や官民一帯による物流業務の改善が急速に進められている。

※共同物流…複数の企業が倉庫や配送センターを共有し、荷物の保管や配送等を行う事(編集部注)

釣り具の共同物流を行うロジスポ

ロジスポの外観
(株)ロジスポの外観。釣り具の物流を40年以上にわたり行っている。釣り具の取扱量も全国トップの物流会社だ

今回取材したロジスポの前身は、ダイワ精工(現グローブライド)の物流全般を担うダイワ物流株式会社で1984年に設立している。釣り具の物流会社として40年近くの歴史がある。

その後、2013年よりグローブライドの製品だけでなく他の釣り具メーカー、卸、小売業等と共同物流を開始。2015年には社名もロジスポに変更し、現在に至る。

ロジスポは現在もグローブライド以外の多くの釣り具メーカー、卸、小売業(釣具店)の物流業務を請け負っている。ロジスポに物流を任せている企業は、物流に関する様々な悩みを自力で解決していく必要はなく、自社の主力となる業務に集中できる。

特に最近では「ロジスポに物流を任せていた事で、コロナ禍でも出荷の事を気にせずに物作り、営業、販促活動に集中できて本当に助かった。精神的にも楽だった」とお礼を言われる事もあったそうだ。

ロジスポではコロナ禍でも1日も物流業務を止めずに出荷を続けてきた。他業界の物流センターでは、コロナ禍で物流を停止せざるを得なくなった企業もあるが、ロジスポでは徹底した感染対策や、感染者が出ても他の人がすぐに代役を務められるよう、スタッフの「多能工化」を進めてきた事により、出荷停止のリスクを回避できた。

そもそも物流が止まれば、荷主(荷物の持ち主・送り主)のその日の売上は1円も立たなくなる。物流は人体で言えばまさに血液であり、企業や業界を成り立たせるためにも、止めてはならないものだ。

ロジスポの倉庫内の風景
ロジスポのネット通販用倉庫。ロボットが倉庫内を自動で走り回り、次のピッキングが必要な棚に移動する。ロボット等も活用して作業の効率化、省力化が図られている
ロジスポの倉庫内の風景
ピッキングは人が行う。釣り具は形状や重さが異なるからだ。1つの箱にはいろいろな商品が入っており、その中から指定の商品を選ぶ。同じ商品ばかりの箱を作るより入庫の効率も良く、ピッキングのミスも少なくなるそうだ

環境対策にも重要な物流改革

ロジスポが釣具業界の物流業務の無駄を無くし、効率化を図る事を目的に共同物流を始めたのが2013年だ。その当時は、他業界でも競合企業同士の物流は一部の先進的な企業が行っていただけだが、今では多くの業界で物流業務の共同化が行われている。

これは2024年問題に対応するため官民一帯で行われているスマート物流構想やホワイト物流の推進による影響も大きい。

さらに環境問題が重要視される中、物流はSDGsへの取り組みにも大きく影響する事も共同物流が拡大した大きな要因だ。企業間を越えた物流効率化の取り組みは様々な場面で見られるようになっている。

最近では、ヤフーとアスクルが協力し、一般消費者向けECサイトで標準より遅い届け日を指定すると、ポイントを付与する実験を開始している。これは物流負荷のピークを分散し平準化させる事で物流効率を高める実験でもある。

この物流負荷の急増に対する問題は、釣り具ECサイトの物流も行っているロジスポでも同じ悩みを抱えている。ロジスポではITやロボットを活用して積極的に業務の効率化を図っているが、今後、物流危機等を経て「即日配達、翌日配達が当然」という世の中全体の考え方も変わってくる可能性があるとロジスポの植田社長は語る。

ロジスポの植田社長
ロジスポの植田社長。物流の効率化や、CO2削減のためにトラックの便数を減らすことも釣具業界には必要だと語る

「メーカーさんから小売店さんへの発送など、企業間の物流はある程度荷物の量も予測が出来ます。しかし、一般消費者向けのECサイトの場合、注文が1000件来るのか、2000件来るのか当日になってみなければ分かりません。

出荷する荷物が少ないにもかかわらず多くの人に出勤してもらい、待機してもらうのは無駄も多く非効率ですし、環境にも良くありません。さらに当然コストも掛かる問題です。このコストはどの物流会社でも運送費や作業費に反映されているはずです。2024年以降はより厳しい状況になる事も予想されます。

荷物の量が日によって極端に上がったり下がったりするのではなく、出来るだけ平準化出来れば生産性も格段に上がり、コストも下がり、環境への負荷も減少します。

必要なものを即座に必要な量だけ届けるとなると、トラックに荷物を満載しない状態でも走らせる必要があります。しかし、荷物の量を平準化し、常にトラックを満載の状態で走らせる事が出来れば、トラックの台数も減り、CO2も大幅に削減出来るという事です。

ですから、国も日用品や食品業界を中心に荷物が平準化するよう、特に小売業を中心に働き掛けています。もちろん、小売業間の競争もありますし、釣り具業界までこういった考え方が浸透するかどうかは不明です。

しかし、多くの企業が物流の2024年問題は避けて通れませんから、荷物を共同で運ぶ事による物流の効率化や、CO2削減のためにトラックの便数を減らすといった事は今後ますます必要になってくると思います」。

物流効率化に多額の投資

ロジスポの倉庫内の風景
ロボットの導入など、物流の効率化・省力化を続けていくには多額の投資が継続して費用となる

ロジスポでは、物流業務効率化のため最新のソーター(仕分け機)の導入やEC用の倉庫も機械やロボットを導入するなど、物流の効率化、省力化のため多額の投資を毎年行い、正確な在庫管理やミスのない発送を毎日行っている。

物流の効率化には多額の投資が継続して必要となる事が多い。中小企業がほとんどを占める釣り具業界で、果たしてこういった投資を各企業が個別に行い続けていく事が本当に最適なのだろうか。こういった問題について植田社長は次のように語る。

「物流システムもそうですが、新しい機械やロボットを使わないと、特に荷物量が急増した時に対応が出来なくなります。新しいシステムやロボットには導入時に多額の費用が必要ですが、導入以降も改良や改修のために投資を続けていく事が必要です。

以前もお話させてもらいましたが、メーカーさんであれば、物流問題に頭を悩ませるのではなく、釣り人に喜ばれる製品作りやプロモーション等に会社のリソースを集中する方が効率的ではないかと思うのです。

またECを含めて小売店さんも物流等の業務は他社に任せて、お客様への接客等に一層時間を使える体制にする事が必要でしょうし、それは業界全体のためにもなると思うのです」。

釣具業界は規模の割に企業数が多い業界だ。それが良い点でもあるが、物流など大きな課題に対しては非効率になる傾向がある。「2024年問題」は物流問題を考えてみる良い機会かもしれない。

ロジスポの梱包ライン
配送物の梱包を行うライン

「五方よし」を目指すロジスポ

最後に植田社長にロジスポの考え方や取り組みについて伺った。

「私は釣具業界がこれからも活発な業界であるには、多様性に富んだ大小様々な企業が切磋琢磨して新しい商品を生み出し、市場を作っていける環境が不可欠だと思っています。

そもそも、ロジスポでは最初から釣具業界全体の効率化を全体最適で考えて取り組んできました。

当初、よく言われたのが『話の内容は良いけども、ダイワさんに情報が洩れるんじゃないですか』という事でした。しかし守秘義務契約もしっかりしていますし、共同物流を始めて10年間、情報が洩れるといった事は1回たりともありません。そもそも情報取得のために、これだけの投資を続けてきた物流の仕組みを他社に提供する事は考えられません。

ロジスポの植田社長
植田社長は、将来を担う人のためにも物流の効率化は必要と語る

釣具業界全体の物流を効率化する事で、釣りという産業が、他の業界やレジャー産業に駆逐されるリスクを減らせると考えて、我々は10年前から取り組みを行ってきました。

ロジスポでは釣具の物流業務を全体最適で考えており、①売手、②買い手、③世間の「三方よし」に加えて、④働き手、⑤未来を担う人の2つを加えた「五方よし」を目指しています。自社の事だけ、また今だけ良ければいいのであれば、共同物流を考える必要はないと思います。

今は釣り具の価格も他の商品と同様に値上げが続いています。また、消費者の利便性を図るために、ネット販売も増加し、釣り具1個でもスピーディに届ける必要がある時代です。こういった事は企業のコスト負担増に繋がります。その結果、最終的には釣り人への負担も増えてしまいます。釣り具の過度な値上げが続けば、市場全体の衰退に繋がりかねません。

こういった難局を乗り切るには、釣具業界も他業界のように、切磋琢磨して競争していく「競争領域」と、協働で業務を行っていく「協調領域」を上手く見極めて、積極的に協調出来る部分は、一緒に取り組んでいく必要があると考えています。

ロジスポは釣具業界の物流業務を共同で行う事で、業界全体の物流業務の無駄を削減し、共同配送等によってCO2削減も行う事が出来ます。いつまでも持続可能な物流インフラを創る事を目標に日々活動を続けています。

今後も物流費は上がると思いますが、共同配送等により少しでも物流費を抑え、釣り具の価格上昇も抑える事が出来ればと思って頑張っているところです。ロジスポでは、これからも更なる物流業務の自動化、システム化を積極的に推進していきます。それがサステナブルな釣り具業界を創る事に繋がると確信しています」。

釣具物流の悩み・相談事はロジスポへ!

2024年問題もあり、物流費は恐らく今以上に上がる事が予想される。ロジスポでは釣具業界で共同配送を始めて10年が経つ。当初より業界全体の最適化のため「物を作る」、「販売する」以外で荷主に役立つ事はあらゆる業務を行ってきた。

釣り具の市況も厳しくなる事が予想される中、それぞれの企業が本業に特化し、強みをより伸ばしていく必要があるはずだ。物流業務に悩みや心配がある企業は、一度ロジスポに見学だけでも訪れてはどうだろうか。

ロジスポでは「会社の規模の大小は全く問いません。問い合わせだけでも結構ですので、興味がある方はぜひご連絡ください」としている。話を聞くだけでも参考になる事が多いはずだ。

(株)ロジスポ 問い合わせ先
電話番号:042-554-9911
受付時間:(土日祝、年末年始を除く)
公式HP https://logispo.co.jp/

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