釣りの学校のターゲットは「釣りの素人」
「釣りの学校」は温暖で自然が豊かなこの串本のフィールドを活かし、老若男女が四季折々に楽しめる「釣りの自然学校」を開校しようというものである。
現在、串本町を訪れる釣り愛好家は先に述べた様に特定の釣りに特化したいわば玄人であるが、この釣りの学校がターゲットとするのはいわば「釣りの素人」であり、子供達、ファミリー、あるいはリタイアしたシルバー世代である。
自然に親しみ生き物と直接触れあえる釣りは、子供時代の情操教育には最適なものの1つであり、釣果を競う釣りだけではなく釣りを通じて自然を学ぶ学校という位置づけで運営することができれば、単に観光施設という面だけではなく、教育施設としての側面も出すことが可能となる。
また団塊の世代であるシルバー層は、今後益々増える世代であるが、体力も資力もあり、また活動的で知識欲も旺盛である。こうした人たちもまた重要なターゲットと考えられる。
さらに釣り業界にとっては、消費の拡大になると共に将来の釣り人を育てる場所となり、現地にとっては観光客としての釣り人の増加、町内宿泊客に対するメニュー増による宿泊客の増加、商店、ガソリンスタンド、飲食店、観光施設などへの波及経済効果が望める。
また既存の釣り事業者とは競合することなく、逆に将来の新規客の育成に繋がる事もメリットとして挙げたい。
いよいよプロジェクト始動!事業のピックアップを開始
「熱」と「理想」だけが先行して、今見ると現実離れした部分もあり赤面の至りであるが、こうした下地の元、串本に釣りの学校を作ろうというプロジェクトが始まったわけである。
幸いにも当初全国商工会連合会からの補助金を受けることが出来、まずは当時考えられる事業をピックアップする事から始めた。
事業としてピックアップしたのは以下の8つであった。
①釣り公園の運営(町内にある岸壁などを借りて管理釣り場を運営する)
②釣り教室の開催(修学旅行や一般個人客・一般グループなどを対象とした釣りスクールの開催)
③釣り大会の開催(自主開催以外にメーカーやショップ、企業、グループなどの各種大会の運営や手配など)
④町内体験業者と連携し、釣りを絡めた体験ツアーの販売(一般以外に釣具メーカーのツアー部門や旅行業者との提携も可)
⑤釣り場保全(環境整備・啓蒙活動・釣り場&海底清掃・放流)
⑥釣り以外の海のレジャー、スポーツ、観察会などへの誘導
⑦釣りと食育(魚さばき体験や料理体験など)
⑧釣りイベント等への参加を通じての釣りの町としてのPR
事業形態も考えられるものをピックアップした。
①町、観光協会、漁協、民間など合わせたNPOや社団法人などの法人格
②町、観光協会、漁協、民間など合わせた公社形態
③会社(株式他)
そして、事業展開についてその問題点を一つ一つ検証した。
① 釣り事業だけで独立採算すなわち元がとれるか
② 周年を通じて集客が可能か…冬期閑散期のメニュー・集客が問題
③本部をどこに置くか(閉鎖された幼稚園・学校などの校舎はどうか)
④立ち上げ資金の確保(自治体からの資金・補助金・助成金の確保)
⑤釣り公園の開設・設置・場所・資金
考える作業自身は夢がありとても楽しい作業であったが、さて事業一つ一つを洗い出し問題点をチエックしだすと、問題が山積で、これを形にする難しさをスタート時からいきなり味わう事になった(次回の記事へ続く)。
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