魚が集まってきたのはA液?B液?実験の結果はいかに…?
さてここからが本題です。下図をご覧ください。
それぞれの液を粉末のオブラートに滴下します。オブラート粉末はそれぞれの水を吸着するやいなや粘りの強い塊を作ります。
このときA液で固めたものをサンプルA、B液で固めたものをサンプルBとしました。
この両者をサビキ釣りで使うプラスティックのカゴにそれぞれ挿入して、ヘラブナが泳いでいる水槽に吊り下げました。
するとどうでしょう。最初はカゴに驚いていたヘラブナですが、2~3分も経過すると、サンプルAで練ったカゴの周囲に集まってきて、しきりにそのカゴをつついています。
ところがサンプルBを挿入したカゴの周囲にヘラブナは1尾も集まってきません。
試験水の入ったカゴを回収し、水槽の水を交換して暫く経過してから、今度は左右に置くカゴの位置を逆にして同様の確認を行いました。
結果としては、やはりサナギの煮汁で練ったサンプルAの周囲にヘラブナは集まってきましたが、臭気の強いサンプルBの周囲には1尾たりとも集まってくることはありませんでした。
ちなみにサナギの蒸留水で練ったサンプルBの臭気の強さは、粉末のオブラートを練った手に付いたまま石鹸で手洗いをしてもその日のうちは臭気が残っていて、夕食時にカミさんに「体が臭い」と言われるほど強烈なものでした。
実はこの実験結果について私自身も大変驚きました。
あれほど強い臭気があってもヘラブナの反応が全くないということは予測しておらず、20尾ほどのヘラブナが居れば1尾や2尾は反応してもいいのではないかと予想していたからです。
下図は、両者をオブラートで固めヘラブナのいる水槽で誘引実験を行った様子です。
では、煮汁に溶解していたヘラブナを集めた水溶液には一体どのような成分が含まれていたのでしょう?
そしてその匂いはどのような感覚器官でどの程度の感度を持っているのでしょう?
次回以降詳しくお話しさせていただきたいと思います。
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