
9月17―18日にかけての2日間、神奈川県三浦市にある「日本さかな専門学校」において、釣りと魚の科学というテーマの講義とプラスティックワームの制作実習を行った。
「日本さかな専門学校」は3年前に開校し、開学当初から実施している講義と実習も3回目となった。17日は午前と午後の2回、18日は午前中ということで合計3回の実施。対象の学生は昨年と同様、今年4月に入学した1年生3クラス。

初日の17日、1時限目は10時から13時10分まで、2時限目は14時から17時10分まで2日目の18日は10時から13時10分までで、対象は今年入学した1年生3クラス。
以前に紹介した通り、この専門学校は魚に関する教育に特化した他には無いユニークな学校であるため、漁業関係者、魚の流通関係者ほか地元でも大変注目されている。

初日の朝、早い時間に到着したので、三崎港を見て回ると多くの釣り人が竿を出していた。慣れた手つきでサビキ仕掛けを扱っている女性アングラーに声を掛けると会話が弾み、地元に専門学校が出来たことを大変嬉しく思っていると語ってくれたが、他の釣り人も同様の話をしてくれ、地元の方々もこの学校に対して温かい眼差しを注いでいる様子が伺えた。
講義は「釣りと魚の科学」というタイトルで、副題はビジネスへの応用。実習は試作用のワーム金型に電子レンジで溶解させた原料をステンレス製の注入器(プランジャーとピストン)を用いての制作を行った。

受け入れをしてくれたのは昨年、一昨年と同様の山田博和先生、植野先生をはじめ多くの先生方がそれぞれの講義と実習に立ち会ってくれた。
講義と実習の概要は3クラス共に同様の内容で、最初に簡単な紹介の後、自分の経緯を3分間の動画で見て頂いた後に、釣りで最も重要なタックルが餌であること。その根拠として動物の骨で作られた釣り針は最古のもので2万3000年も前にさかのぼること。
次いで魚の視覚特性を同じ角度から陸上と水中から撮影した画像の他、裸眼と偏光フィルターを介した時の水面下の見え方の違いから始まり、聴覚、嗅覚、味覚とそれを釣りのビジネスに応用した実例を動画や写真を元に話した。

これとは別に現在、(公財)日本釣振興会で継続的に活動している「淡水魚減少対策プロジェクト」の活動の一環として制作したネオニコチノイドの動画も見て頂いた。
途中10分間の休み時間を挟み、後半の1時間はワームの制作実習を行った。
講義の内容のほぼ全ては私自身が体験したことを元に行ったが、釣りや魚に興味のある学生とあって、とても満足してくれたと実感している。
また毎回の事ながら、全ての学生は、金型を見るのも触るのも初めてで、新鮮なイメージを持ってくれたため実習は大変盛り上がった。

日本さかな専門学校は年間カリキュラムの中に釣りタームがあり、9月はこの講義と実習を含めて釣りの基本講義と堤防釣り実習。10月は毛バリの作成、スプーン、ルアーの作成、管理釣り場実習が予定されている。講義では糸結びなども行っていたとのこと。
なお、来年の3月には日本さかな専門学校初の卒業生を社会に送り出すこととなり、担当された山田先生より「釣り業界でもどうぞよろしくお願いします」と伝えてくださいというメッセージを頂いた。
主観が入ってしまうが、授業に熱心で魚好きな学生が多いこと。そのため、時間が許す限り多くの質問もあり、可能な限り知識を吸収しようという熱意が伝わってきた。
生徒にアンケート。釣りをする学生の比率は上昇
このあと記載するアンケートには「とても面白かった」、「参考になった」、「釣りに行きたくなった」などなど嬉しいコメントが相次いで寄せられた。
そうした学生たちであるからこそ、この先、釣り業界においても大いに活躍していくと確信している。尚、実習の合間には毎回行っているアンケート調査を行い結果は別図の通りとなった。


アンケート結果より、釣りをする学生の比率は昨年より増加している。また釣りの頻度も上昇している一方で、やる学生とそうでない学生の間のギャップがやや大きくなった感がある。

餌とルアーの比率について、餌釣りをする学生が大幅に増加している。但しこの設問は重複回答可能になっている。

日本釣振興会で行っている淡水魚減少対策プロジェクトの一環であるネオニコ問題の認識については知っていると答えた学生は5割増となっていて、日釣振の取り組みにより認知度がアップしているのではないかと考えられる。それと共に学生の環境に対する意識も高まっていることが伺える。

ほか、グラフでの記載は割愛するが、釣り道具の購入は大型量販店がトップで、ネット通販がそれに続いている。また100均ショップでの購入が多い。情報の収集はユーチューブが圧倒的に多かった。


興味のある仕事は当初から水族館関係が一番人気で、次に養殖関係、釣り具メーカーと続いている。【長岡寛】
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