良きマナー広め、魚に優しい釣り人を増やそう!メーカーの顔なら、カッコイイ手本に【奧山文弥・理想的な釣り環境】

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とある釣り番組で見たのですが、ルアーでクロダイを釣るといった内容でした。自信満々に登場した有名メーカーのテスターは、釣れない時間を多く過ごすと、次第に焦りが出てくるのが分かりました。それはそれで釣りですから心理描写が出ていて面白いと思っていました。

ところがやっとヒットした時、それは潮が引いた干潟のような場所でしたが、彼はそのクロダイを牡蠣殻がたくさんあるような浜に引づりあげ、砂だらけにしました。

あららと思ってみていたら「やった!」と言う歓声の後すぐにシーンは変わり、きれいに洗われたクロダイがボガグリップにぶら下げられて登場しました。そしてリリース。

最初からラバーネットを用意するなど、テレビでリリースを放送するなら魚は丁寧に扱って欲しいものです。そうしないと魚は傷つくし、放送を観た視聴者が真似します。

網に入り、コンクリートに置かれたクロダイ
防波堤のクロダイもラバーネットですくい、コンクリートに当たるダメージを少なくした一例
クロダイのリリースの様子
リリースはラバーネットに入れて水面まで下ろして行う

そこ、釣りをしても大丈夫な場所…?

また、車の往来のある道路脇を流れる川の、歩道もなく川側はガードレールに側線があるだけといった、歩行者が歩くだけでも自動車が通れば危険な状態の場所からルアーを投げていました。川に遡上したクロダイを狙うシーンです。「別に魚がいるからいいんじゃない」と割り切ることもできます。

しかし魚に夢中になって、車が来たことに気づかずルアーを振りかぶったらどうなるでしょうか?あるいは自転車やバイクも。こんなところで釣りをするの?と驚き、さらにはそれをテレビで放送してしまうの?と思いました。これもまた、視聴者が真似をしてしまうかもしれません。

日本には武士道という考え方があって、「みっともないことはやってはいけない」、「男の子なんだから、泣くな」とかいうしつけや、道徳みたいなものがあります。

私たちを楽しませてくれる魚を丁寧に扱わない、おおよそ釣り場と呼べる場所でない所で釣りをするのはいかがなものでしょうか?

魚の扱いには、特に海釣りで釣ったら食べるという方は、新鮮に保持することを考えなければならないのでしょうけれど、特にリリースを前提としているオカッパリの著名人には気をつけてもらいたいです。あるいはスポンサーの企業からハッキリと指導していただきたいです。

ヒットしたグッドサイズのニジマスをラバーネットですくうスミステスターの須澤康一さん
長野県の犀川(さいがわ)にて、ヒットしたグッドサイズのニジマスをラバーネットですくうスミステスターの須澤康一さん。この後慣れた手つきでリリースした

「野生化した魚を狙った方が面白くないか?」

余談ですが、私の師匠、西山徹さん(故人)は、私をダイワのテスターにしていただいた時、「いつも笑顔でいなさい。また一般の人が釣れなくなるほど釣ってはけない」と言いました。「無愛想な男がテスターをやると製品イメージが悪くなる。一般の釣り人にその宣伝した道具で釣ってもらうために、釣りすぎてはいけない」と。

一番印象的だったのは、「解禁日に場所取りまでして釣りに行かない方がいい」と言われたことでした。「多くの人がそれを楽しみにしているから、我々はみんなが一通り釣った後に釣ればいい。そのぐらいの腕はあるだろ?」と。

当時は解禁前の試し釣りなんていうのがよく行われていて、湖などで大量に放流した巨大マスを有名人が釣りまくって「こんなすごいですよ、みなさん来てくださいね」と宣伝していましたが、西山さんは招待されてもそれには参加しなかったそうです。

「釣れて当たり前じゃないか」と私には言ってました。「それより野生化した魚を狙った方が面白くないか」と勧めてくれました。そこまで考えていた師匠は素晴らしいと思います。

コイを釣っているところ
コイも丁寧に扱いたい時代。ユーロカープフィッシング(ヨーロッパ生まれのコイ釣り)ファンだけでなく、フライも岸に引きづりあげたりせずラバーネットですくう

中善寺湖のオカッパリ釣りには場所取り合戦や派閥争いも…

ところで、中禅寺湖のオカッパリ釣りではハイシーズンになると場所の取り合いが始まります。午前3時に遊漁券販売が開始されますが、その前に並んで券を買い、購入後フルスピードで湖岸の駐車スペースに走って場所取りをするのです。早いもの勝ちで、いい場所に入りたかったら早く来て並びなさいということでしょう。

グループで行くと場所取りがしやすいものですが、大勢で場所取りをすると他の人がなかなかそのポイントに入れません。

人が並ぶ中禅寺湖湖畔
人が並ぶ中禅寺湖湖畔

それをメーカーのテスターや著名人などとその取り巻きがやると大変です。ライバルメーカーも多くありますからお互い陣取り合戦です。それは、業界人から見るとメーカーの派閥争いのように見えますが、一般人、特に初心者にはそう映らない場合もあるようです。

これは一例なのですが、中禅寺湖である初心者が早朝から全く釣れないで湖畔をうろうろしていたら、複数人のグループのルアーマンがレイクトラウトを入れ替わり立ち替わりで釣っていたそうです。

羨ましく思った彼は、そのグループに声をかけ、「レイクトラウト を見たことがないので見せて欲しい」と頼んだそうです。もしかしたら自分は釣れないかもしれないから、写真も撮らせて欲しいと。

そうしたらそのグループの方が、「一緒にここで釣りましょう。今日はここ以外では多分釣れないと思いますよ」とその仲間の間に入れてくれたそうです。

さらに釣り方も教えてくれて、中禅寺湖では鉄板の連発していたルアーを持っていないと伝えると、貸してくれて、なんとその彼も初めてレイクトラウトが釣れたそうです。

そのグループは中禅寺湖では有名なアングラーの取り巻きで、自分たちもそうやって教えてもらって釣らせてもらったからと、見知らぬ彼を歓迎したそうです。いい傾向ですね。

ところが、その有名アングラーも他のメーカーのテスターグループから良く思われていなくて、私が察するところ、派閥争いをしているような感じでした。

小さなメーカーの社長にこういう話をしたら、「あまり指導すると、やめて他のメーカーに行ってしまうんだよね」と苦笑いしていました。

西山徹さん亡き今、若手の方々には良き指導者になって欲しいと願ってます。

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