漁業法や水産資源保護法、漁業調整規則や条例遊漁規則という国や都道府県、漁業組合が定めた法令は釣りに適用されますが、スポーツとしては異例なものです。
例えば他のスポーツでゲーム中に悪質な違反(ファール)をすると退場になります。
釣りの場合は定められた法令を犯すと罪になって罰せられたり、程度が酷いと逮捕されることもあります。これは他のスポーツにはないことです。
この法令については釣り業界では熟知されている前提で、後者の一般的なスポーツとして捉えた時のルールについてお話しします。
大物の記録を自慢で終わらせない。公認記録のIGFA・JGFAとは?
何cm、何kgを釣ったという大物の記録は個人的には自慢の種となりますが、公式に文化的にその記録を残す方法があります。
IGFAという言葉を聞いた事がある方は少なくないと思います。釣りの製品ではラインにIGFAクラスと書かれたものがあり、「これってなんなの?」と若い方などは首を傾げた事がある事でしょう。
IGFAは国際ゲームフィッシュ協会(本部は米国フロリダ)のことで、釣りの記録をギネス認定する機関です。
釣りにルールを設定し、そのルールで釣られた魚を世界記録として認定することで有名です。メジャーな魚は信じられないぐらい大きな記録があります。
ルールというのは人と魚がフェアに戦うために作られたもので、簡単に言うと魚を釣るのに1対1で戦うということです。ファイトは1人で行い、竿かけにかけたままのファイトや、ロッドがのされたからと言って誰かに支えてもらったり、船べりで支えるのはファールになります。
仕掛けについてもハリは2本までとか、リーダーの長さとか細かいルールがありますのでぜひホームページをご覧ください。
日本でもNPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA・創立42年)があり、IGFAルールで釣られた魚を日本記録として認定しています。
JGFA公式ホームページ(IGFAのルールもここから確認可能)
https://www.jgfa.or.jp/
日本記録がそのまま世界記録にも相当するという場合もあり、すでに日本で数多くの世界記録が釣られています。ライトタックルでの記録も多く、技術向上への参考になります。
全ての魚で1ポンド以上の魚が対象となり、釣りの対象として世界的にメジャーな魚は、ラインクラスというラインの強度クラス(最低2ポンド~130ポンド)に分かれていますから、記録を更新するチャンスは多いわけです。
ラインクラスとは、例えば8ポンド(4㎏)テストなら、4㎏以下で切れるラインを使用して釣る、ということです。釣った後にラインもサンプルとして提出するわけですが、もし4.1㎏で切れたら、それはそのすぐ上の6㎏クラスになるのです。
「いつか俺も!」釣りのギネス記録で後世に名を残せる!?
日本で最初のIGFAクラスラインは、モーリス社(現バリバス)の「バリバス」です。
このラインの16ポンド(8㎏テスト)で、丸橋英三氏が1984年に日本人初の世界記録を樹立しました。ロウニンアジ35.38㎏で、ラインの太さは4号です。
この1尾の記録で、当時海のルアーをしていた若者(私を含む)の考え方が大きく変わりました。「いつか俺も」と。
そして後世に名を残すことも可能です。100年後の子孫が記録を見た時、「すげえ、俺の先祖は世界記録を釣ってたんだ」と感心してくれる、そんな考えも持ちました。
釣り業界もこれに便乗しようと湧き上がりました。しかし現状はそんなに甘くありません。記録級の魚なんて、まして金メダルに相当する世界記録なんてそう簡単に釣れるものではありません。
多くの業者、アングラーが脱落していきました。そして諦めた人のほぼ全員がこんな言い訳をします。「記録狙いなんて俺には関係ねえ」と。
現在では記録更新にならなくても捕獲証明の証書を発行してくれますから、それは文化としてデータベースに残っていきます。