【第9回】室生ダム(奈良県)に見る漁場管理のアウトソーシング

スペシャル ニュース

「室生ダムわかさぎオープン!」好釣果で大賑わい!

室生ダムのワカサギ釣り
室生ダムはボート釣りが禁止で、桟橋もないため岸釣りオンリーとなる。近隣に布目ダムや上津ダムなどの岸釣りが楽しめる釣り場があるため、ヘラ台のノベ竿スタイルを好むワカサギ釣りファンは多い。2020年は布目、上津ともに解禁から調子が上がらず、ベテランは室生ダムの解禁を心待ちにしていた
室生ダムのワカサギ
半日で200~300尾釣ることができれば十分に楽しめる。アベレージは8.5cmとまずまずのサイズ。10cm前後も混じってきた

室生ダムのワカサギは2年ほど前から急激に生息数が増加した。釣り場の広範囲でヘラブナ釣りの仕掛けに頻繁に掛かるようになり、今年の1―2月にワカサギ釣りのベテランたちが試し釣りをしたところ、短時間で簡単に3ケタ釣りができるほどワカサギはしっかりと成育していた。

その状況を奈良県へ報告して漁業権免許を申請。ワカサギはまだ漁業権の対象とはなっていないが、2020年11月22日(日)を解禁日に設定し、ワカサギ釣り場としての第一歩を踏み出した。

解禁日には釣獲調査を目的とした釣り大会「室生ダムわかさぎオープン」が日釣振奈良県支部主催で開催された。コロナウイルス感染拡大もあって大会参加者はベテランを中心に25名と伸びなかったが、上位5名は3桁釣りを記録し、釣果は期待を上回るものだった。

成績は下記の通り(敬称略)。
優勝:富本安男(353尾)ポイントNo.47(山幸園)。2位:牧野貞彦(214尾)ポイントNo.50(事務所下・赤人橋南詰)。3位:阪上昭雄(150尾)ポイントNo.50(事務所下・赤人橋南詰)。4位:長嶺辰雄(130尾)ポイントNo.125(赤人橋北詰)。5位:岩江博文(100尾)No.47(山幸園)

室生ダムのワカサギ釣り
室生ダムわかさぎオープン当日は試食会も行われ好評だった

ワカサギは釣り人が中心になって放流

室生ダムのワカサギは釣り場活性化の願いを込めて、漁協監視員の平崎氏とヘラブナ釣りの常連が協力して2011年に放流を行った。

釣り人側から漁協にワカサギ放流を提案し、新しい釣り物を増やすことには賛同を得られたが、漁協には放流に回す資金がなく、釣り人有志のポケットマネーで初回は網走湖産の卵2000万粒を購入した。

ただ、すぐには結果が出ず、親魚の自然産卵を期待して布目ダムで釣り上げた成魚を2度放流している。一度に運べる数は300尾程度だったが、その子孫が繁殖した可能性もある。今のところ3シーズン連続で数釣りが楽しめるぐらいに繁殖しているため、このコンディションの継続を関係者は願っている。

室生ダムのワカサギの卵
2011年の放流は人工孵化器を購入することができず、シュロに卵を付着させて湖面直下に浮かべた
室生ダムのワカサギ釣り
ワカサギの卵

イベント収益をヘラブナの放流資金に!

室生ダムで釣ったヘラブナ
室生ダムは型だけでなく美ベラが多いと釣り人には人気が高い

ヘラブナ釣りは管理釣り場、ダム湖などの野釣りともに根強い釣りファンがいる。ただ、その年齢層は着実に上がっている。その高齢化以外にもう一つ大きな問題になっているのが成魚放流に頼っている漁場管理だ。

キャッチ&リリースが浸透しているヘラブナ釣りだが、増殖事業のコスパの悪さはこの釣りを普及させるうえで大きなネックになっているといえるだろう。

室生ダムでのヘラブナ放流の様子
良質の種苗を取り寄せている。放流日には人出がいるため、ボランティアで釣り人が手伝ってくれる

大型魚を好む釣り人の要求とカワウ対策で放流するヘラブナが大型化していることもコスト高に拍車をかけている。

必要な放流資金に遊漁料収入が追い付いていない現状をクリアするために、室生ダムでは釣り人が中心になって放流資金集めの釣り大会を定期的に実施している。漁協の放流予算に釣り人からの寄付金(大会収益金等)をプラスしてヘラブナは毎年放流されている。

また、人気のヘラブナ釣り場ということで、日釣振奈良県支部でも毎年ヘラブナを放流している。

日本釣振興会の水辺感謝の日の清掃
室生ダムのロケーションが好きという釣り人も多いが、近隣のダム湖と比べてゴミが多い。2020年はコロナ禍で中止になったが、水辺感謝の日(日釣振)の湖畔清掃も釣り大会に合わせて実施している
日本釣振興会の水辺感謝の日の清掃
上流からの漂流物や不法投棄でゴミの量自体は減らないが、釣り人の美化意識も少しずつ高まっている。特にバス釣りが今年から解禁となり、ゴミを回収するバスアングラーの姿が目に付くようになったと管理人の平崎氏は驚かれていた

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