【特別インタビュー】後藤田正純徳島県知事「釣りは観光のみならず、地方を持続可能にする」

スペシャル ニュース
後藤田正純知事
釣りも活用して徳島県を活性化させる後藤田知事

特別企画として、徳島県の後藤田正純知事を取材した。釣りを観光資源として活用する動きが全国の自治体で広がる中、徳島県では県主導による「釣~リズム」推進プロジェクトチームの発足をきっかけに「釣~リズムフェスティバル徳島県知事杯(釣り大会)」の開催、さらに昨年(2025年)には「徳島フィッシングフェスティバル」が開催されるなど、釣りを活用した地域の賑わい創出が盛んだ。

県政を担う中で、後藤田知事は釣りをどのように捉えているのか。釣りを活用した地域活性化への取り組み、その背景にある想いを伺った。

徳島県庁
取材に訪れた徳島県庁

選挙公約にも「釣~リズム」を掲げ、徳島県の魅力最大化を計画

後藤田知事(以下、知事)「私は選挙公約に『釣~リズム』を掲げ、徳島県の観光復活と魅力の最大化に取り組むことを県民の方に宣言してきました。そして、知事就任後の令和6年(2024年)には、まず民間主体で釣りを活用した地域振興を進めていただく目的で『釣~リズム推進協議会』が発足しました。私も協議会の相談役に就任しており、課題が生じた際には行政としてサポートしていくスタンスです」。

釣~リズムの会議
釣~リズム推進協議会の様子。県庁で会議が行われた(徳島県HPより)

四国東部に位置する徳島県は、古くから釣りが盛んな地域だ。江戸時代から藩主が釣りを行っていたという記録が残されている。また、現在の磯釣りの原型となった「阿波釣法」が生み出されたほか、鳴門の堂の浦はテグス発祥の地とも言われている。全国的に見ても、釣りと非常に関わりの深い土地柄だ。山海の豊かな徳島県だが、現在、地方が置かれている状況に対し、後藤田知事は強い危機感を抱いている。

後藤田知事
海や漁港、林道などを観光資源として活用することは単に保全する以上の効果があると語る

「今後30年間で日本の人口は3割減少すると言われ、多くの産業で後継者不足が叫ばれています。こうした状況下、『海をどう守っていくのか』『地域経済をどう守るのか』といった議論を、もっとスピード感を持って進めなければなりません。釣りに関しても、従来の行政のような縦割り構造では話が進みません。徳島県では観光部局と水産部局に対し、縦割りを排して一体となって釣りを推進するように話しています。こういったことは、林業も同様です。私は地方で、多くの産業を維持する『持久力』が弱くなっていると感じています」。

後藤田知事は、海や漁港、また林道なども観光資源として利用することが、単なる保全以上の効果をもたらすと語る。

「徳島県では、スーパー林道をオフロードバイクの聖地として観光活用する取り組みを進めています。利用者が増えれば、山林の荒廃に気付くきっかけにもなります。海や川も同様で、釣りを楽しみながら、水辺のゴミや海洋プラスチック問題に関心を持つ方が増えるでしょう。

結論を言えば、釣りはスポーツや観光にとどまらず、『海を守る』活動そのものなのです。釣りには観光やスポーツとしての側面がありますが、一方で港や漁港の賑わいを守り、渡船業の方々の収入増につなげるなど、地域経済にとってもメリットがあります。我々の地方を持続可能なものにするための重要な要素だと考えています」。

観光客誘致も積極的に展開、都市部からのアクセスも良好

徳島県は観光客誘致にも積極的だ。大阪方面からは車で約2時間30分。徳島阿波おどり空港には羽田、福岡便に加え韓国便も就航しており、都市部からのアクセスは良好だ。

「韓国は釣り人口が非常に多いと聞いています。韓国から徳島までは飛行機で1時間45分です。徳島は冬でも晴天が多く温暖なため、ゴルフ目的の韓国人観光客は多いです。釣りにおいても、例えば韓国のインフルエンサーを招き、徳島での釣行動画を発信してもらうなど、様々な取り組みをもっと行うべきではないかと思っています。

フィッシングショーOSAKAの地方創生ブースで徳島県も出展し、釣り人に向けて県のPRを行った

一方、国内では関西方面はもちろん、東京からのアクセスも抜群です。先日、羽田で『徳島まで55分』(実行飛行時間)というプロモーションを行いました。関東の方々にも『徳島は意外と近い』と認識していただけたはずです。

私は人口が少ないから商圏も小さくなるとは思っておりません。例えば沖縄県は、人口規模にかかわらず世界中から観光客を集めています。そうした場所で企業が宣伝を行えば世界に発信しているのと同義となるため、多くの大企業が沖縄でプロモーションを展開しています。

鳴門の渦潮
大迫力の鳴門の渦潮。写真の出典:徳島県観光情報サイト「阿波ナビ」HPより

私も同様の考えですから、韓国のチェジュ島と姉妹都市協定を結び、年間1300万人の観光客が訪れるタイのプーケットとも交流推進を目的とするMOU(覚書)を交わしました。国内や海外の釣り人にも、ぜひ徳島県に大勢来て頂き、釣りや観光を楽しんで欲しいと思います」。

様々な立場の人に集まってもらい連携して釣りの活用を

釣りを観光資源として活用していく際に、自治体としてはどのような動き方が好ましいと後藤田知事は考えているのだろうか。

「釣りは観光、水産など様々な分野と関わりますから、関係する様々な立場の人に集まってもらい、議論を行う必要があります。分からない分野があれば、知っている人に来てもらえば良いのです。関係者を集めて連携して頂き、俯瞰的に状況を把握して、課題を深掘りしていく。こういった中で様々な化学反応も起きると思います。これがAIでは出来ない、ハイレベルな自治体の仕事だと考えています。

そして、多くの釣り人に徳島県に来て頂くための総合戦略を立案し、誰をターゲットにするのかを明確にし、県外向け、県内向け、海外向け、男女比率など詳細も決まれば、やるべき仕事は自ずと決まってきます。後はそれぞれの仕事を適切な部署、団体、人に任せていけば良いと思います」。

釣り場もゴルフ場も30分、徳島県で人間らしい豊かな生活を

大阪・関西万博の関西パビリオン・徳島ゾーンでスタッフのユニフォームとして採用された阿波藍で染め上げられた法被。鳴門のマダイがあしらわれている。生地の素材は間伐材を使用しており、持続可能な未来を見据えたものとなっている

最後に徳島県をはじめ、これからの地方に求められることを伺った。

「これからの時代はワークライフバランスも大切です。徳島県なら釣り場もゴルフ場も30分です。人間らしい豊かな生活が送れると思います。今後も世界中の多くの方に徳島県に来て頂き、魅力を感じて頂きたいと思っています。

徳島をはじめ、地方にとってここ数年が勝負の時だと捉えています。人口減少が進む中で、危機感とスピード感を持って取り組まなければ、地方は将来的に危機的な状況に陥りかねません。そのために、私は知事の任期を『3期12年まで』とする条例を自ら制定したほど、スピード感を持った対策が必要だと思っています。釣りに限らず、地方はこういった地域を活性化させる取り組みを、次々と行っていく必要があります。止まっていてはダメなのです。次世代のために、今、しっかりと様々な種を撒き続けていきたいと思います」。

後藤田正純知事プロフィール
慶應義塾大学商学部卒業後、三菱商事(株)入社。その後、平成12年より衆議院議員となる。内閣府大臣政務官、衆議院決算行政監視委員長、衆議院東日本大震災復興特別委員長、内閣府副大臣を経て、令和5年5月に徳島県知事に就任 

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