歯の構造はスズキやブリとよく似た作り
歯の構造ですが、スズキやブリとよく似た作りになっています。上下ともに細かい棘で覆われていて、捕食時に強いグリップ力を発揮することが伺えます。バスを釣り上げたアングラーが、口の中に指を入れて持ち上げている写真をよく見かけますが、グリップ力は良好ではあるものの、噛み砕く、噛みちぎる機能については殆ど持ち合わせていないことが分かります。

あくまでも獲物に逃げられないようグリップした後に口を大きく開いて吸い込むことにより餌を取り込んでいます。

鰓耙(さいは)の写真はそれを顕著に表しており、その数は14本。スズキの23本、ブリの24本と比較してもかなり少ないことから、大型の餌を丸呑みしていることが裏付けられています。

次いで聴覚に関係している耳石を見ましょう。
ラージマウスバスの耳石は他の魚種と比較しても相対的にサイズが大きく、幅の広い形状をしていることから、餌や外敵などが発する音に対しても鋭敏であることが伺えます。これはルアーの着水音やラトルなどに対しても強い反応を示すことが出来るという裏付けでもあります。

更に嗅覚に関係している嗅板を観察しましょう。ルアーの対象魚として定着していることから、色彩やシルエットに対しては極めて鋭敏なので、嗅覚はそれほどでもないのではと考えていましたが、この複雑な構造を見ると相当に鋭敏であって、クロダイに匹敵するくらいの皺の数と深さがあります。

海外で出版されているラージマウスバスの釣り手引書を見ると、ルアーだけでなく小魚やミミズといった生餌での釣り方についても多くの解説がされています。
冒頭でお話ししたように味の無いプラスティックワームはすぐに見切ってしまうことから、学習して賢くなったラージマウスバスを手軽に釣る上で、嗅覚や味覚を刺激する生の餌を使った釣りは初心者に対して手軽にアプローチする有効な手段ではないかと改めて認識しています。
【編集部注】オオクチバスは特定外来生物に指定されており、運搬や飼育等について規制があります(下記の関連ページ参照)。釣り人の皆様は引き続き、ルールを守って釣りを楽しんで下さい。関連ページ → 外来生物法とは – 公益財団法人 日本釣振興会
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