今年もアユルアーが楽しめる季節がやってきた。そこで、シーズン序盤の6月中旬にアユルアーのベテランである仲谷さんと鮎の友釣り師でもある富田さん(2名ともゴールデンミーンを展開する中央漁具に勤務)のアユルアーゲームに同行させてもらった。釣り場は奈良県吉野郡川上村を流れる中奥川(なかおくがわ)で、アユルアーの基本的な釣り方を解説してもらった。
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釣りの舞台となった中奥川は吉野川の支流で冬はアマゴ釣りも楽しめる渓流だ。関西でバスフィッシングを楽しむ人には、津風呂湖から池原ダムに向かう途中にあると言えば、場所がイメージしやすいかもしれない。山に囲まれた中奥川の水は驚くほどキレイで、大自然が満喫できる川だ。川幅は狭く、急流に立ち込む必要もないため、アユルアーをした事がない人でも、釣りがしやすいオススメの河川だ。
中奥川を管理しているのは川上村漁業協同組合。中奥川では数年前からアユルアーが解禁となっている。川上村漁協が管理する川でアユルアーが出来るのは友釣りが可能なエリア全域だ。「若い釣り人が増えるのであれば、友釣りだけにこだわらず、アユルアーも取り入れた方が良い」という考え方だ。解禁の期間は6月2日から9月30日まで。注意点としては、イカリ針は1本、チラシ針は二段までとなっている。詳しくは川上村漁協のHPで確認を。
仲谷さんと富田さんとは「道の駅杉の湯川上」で待ち合わせた後、まずはオトリ店に向かい、遊漁券の購入と最近の情報収集を行った。アユ釣りの日券は3000円、年券は8000円となっている(※アユルアーをする際は基本的に遊漁券が必要なので、必ず事前に各漁協さんやオトリ屋さん等で遊漁券を購入する事)。
中奥川でアユルアー開始!アユの姿は確認できるが追い気は…?
情報収集後、最初に向かったのは中奥川の中流域のポイント。タックルを準備して、いよいよアユルアーゲームスタート!
最初のポイントは、水量が普段よりも少なく減水傾向となっていた。水質はクリア。アユの姿もチラホラ確認できた。群れで一定の区間を回遊している群れアユも確認できた。ただし、こういった群れアユはアユルアーで狙うのは難しい。アユルアーでは、ある程度の水の流れ(水の押し)がなければ、ルアーが動きにくく、釣りになりにくい。
仲谷さんには釣りをしてもらいながら、アユルアーで狙う場所の選び方や釣り方の基本を聞いた。
【狙うポイントの基本】水押しは超重要、ある程度の流れがないとアユルアーゲームは成立しにくい
(以下、仲谷さん)まず、アユルアーで川のどのような場所を狙うかですが、前提としてある程度の水の流れ(水押し)がある事がすごく重要です。ルアーは生き物ではないので水押しがないと、フワーっと浮いてしまう事が多いです。そうなるとまず釣れません。かといって、激流の中でルアーが暴れすぎていても釣れません。自分の使っているルアーが、水の流れによってしっかり動き、手元にもある程度「コココッ」というルアーが動く感触が伝わってくるぐらいの適度な流れのある場所が、アユルアーで狙う場所の基本だと思います。
釣る場所ですが、基本的に瀬肩(せがた・川で白波が立っている部分の上流側)、そして瀬(白波が立っているような場所)、瀬尻(せじり・瀬の下流)が季節に関係なく良いと思います。背肩も瀬落ちも、基本的にアユのストック量が多いですし、追い気のある、やる気のあるアユがいます。また水押しも強い場所ですから、アユルアーで攻めるのに一番適した場所だと思います。
基本はピッチング。ロングキャストは不要。アユが付いていそうな石を1つずつ狙っていく
アユルアーの基本的な釣り方ですが、ピッチングで下流に向かって良さそうな石を次々と狙っていくのが基本になります。
アユは川底の石に生える新鮮なコケやアカを食べて育っています。新鮮で良いコケが生える石には「ナワバリ鮎」が付き、他のアユがその石に近づくと追い払おうとします。アユルアーでもこの習性を利用しますから、ナワバリ鮎が付いている石の回りにルアーをステイさせ、ナワバリ鮎がルアーにアタックしてくるのを待つのが基本的な釣り方となります。
どのような石が良いかですが、この見極めは難しいです。一番良いのはアユが石に付いている(石の回りで同じアユがウロウロしている。複数尾の場合もある)のが見えれば、必ず攻めた方が良いです。アユが見えなくても、とりあえず流れが当たっている場所にある石は順番に攻めていけば良いと思います。
上流の石から攻める。反応が無ければ糸を送り出して下流の石を攻める
攻め方は上流から下流に糸を送り出してルアーを移動させると良いと思います。上流側の石で反応が無ければ、糸を送り出してして下流の石までルアーを移動させて、それぞれの石の回りでステイさせます。下流にキャストして上流にルアーを引っ張ってくる釣り方もありますが、出来るだけアユは自分の近くで掛けた方がバラシが少なくなるので、上流から下流に流していく方が良いと思います。またルアーの着水音でアユが逃げる事も多いですから、糸を送り出して静かにルアーを移動させる方が釣果も伸びると思います。
そして、良さそうな石の回りでルアーをステイさせます。ステイと言っても水に押されてルアーはアクションをしています。良い場所で粘ると連発する事もあります。ルアーを石の回りの良い場所に置いておくとアユが見に来る事があります。それでも粘ってステイさせていると、何かの拍子にアタックしてくる事もあります。ですから、場所にもよりますが、アユが確認できて反応があるなら数分ステイさせる事もあります。
よい場所では、ポイントにルアーを入れた瞬間、ルアーがあらぬ方向に吹っ飛んでいくアタリもあるので、アユルアーは気持ちいいですよ。
魚が掛かると、ゆっくりテンションを掛けながら引いてくる事が基本です。先にも言いましたが、出来るだけ近くで掛けるようにした方が良いです。遠くで掛けるとバラす可能性がとても高いです。手元まで来たら、抜き上げてネットに入れると良いです。その際にリーダーに目印を結んでおくと、どこまで近づいたら抜き上げたら良いか分かるので便利ですよ。
ルアーチェンジで爆釣も!初心者には視認性の高いルアーがオススメ
さて、当日の釣りの状況だが、水温もまだ低いせいかルアーをチェンジするなど粘ってみたが反応がない。そこで、休憩を挟んで大きく場所移動。アユの姿は数多く見えるが、ルアーに反応するアユがいない。再度、朝のポイントの下流に移動し、瀬肩を攻めると突如入れ掛かりとなった。
アユ釣りは、早朝より水温が上がる昼や夕方に良くなる事が多い。この日も夕方に入れ掛かりとなった。アユルアーをする際は、夜明けからするのではなく、魚の活性も上がってくる午前中や、昼からの釣行もオススメだ。
当日、最もヒットしたルアーはアユルアーの定番とも言えるパームスのエスケード80MDFで、カラーは「イエローウィン」。アユルアーらしくないカラーだが、視認性が抜群だ。視認性の高さはアユルアーをする上でとても重要で、リーダーに目印を付け、エスケードのイエローウィンを使えば、ルアーがどこにあるか一目瞭然となる。
逆にルアーが全く見えなければ、自分がどこを攻めているのか分からない。攻め残してしまう場所も増えて、釣果も伸びにくいだろう。このエスケードの「イエローウィン」とリーダーの目印は視認性の最強コンビだ。多少濁りが入った川でも視認性の高いルアーの方が反応は良いと言われる。
他にも、仲谷さんらにはアユルアーで持っていくと便利な道具も紹介してもらったが、それは道具編の記事で紹介する。
当日、仲谷さんと富田さんが使っていたタックル紹介
写真左(富田さん)
ロッド:ブレインストーム鮎 BSAC-90
リール:カルカッタコンクエストDC101HG
ライン:PE0.6号、(リーダー)ナイロン6lb
写真右(仲谷さん)
ロッド:ブレインストーム鮎 BSAS-90
リール:オーパス1
ライン:PE0.8号、(リーダー)フロロ8lb
アユルアーの最盛期は7-9月。ぜひチャレンジして下さい!
アユルアーの最盛期は7月から9月だ。場所によっては10月以降も楽しめるが、アユの追いが良くなる今からがアユルアーにとっても一番良いシーズンだ。
アユルアーは、ルアーフィッシングをしている人なら、誰でも手軽に出来る釣りだ。状況が良ければ簡単に釣れる。そしてアユは美味しい。今回紹介したのは、アユルアーの基本的な釣り方であり、まだまだ進化していくはずだ。自分で色々な事を試して、新しいアユルアーの釣り方を開発していくのも面白い。
アユルアーが出来る河川は全国的に増えている。興味のある人はぜひ、アユルアーを始めてみてはどうだろうか。既にアユルアーを楽しんでいる人は、いろいろな河川に挑戦し、いろいろなルアーや釣り方を試すのもオススメだ。
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