京都の中心地で魚の遡上を助ける魚道を設置。多くの観光客に見守れながら杉の木材で手作り【京の川の恵みを活かす会】

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京の川の恵みを活かす会の魚道設置の集合写真
    

春から初夏にかけて、大阪湾から京都の鴨川へ天然アユが遡上する。しかし、鴨川に複数ある落差工がアユたちの行く手を阻むため、京の川の恵みを活かす会では、毎年、仮設魚道の設置を行っている。

4月28日には、三条大橋の下流側に位置する三条落差工に仮設魚道を設置。京阪電車三条駅から徒歩3分の京都の中心地で、多くの外国人を含む観光客に見守られながら魚道の組み立てを行った。

三条落差工
鴨川に複数ある落差工。大阪湾から遡上してきたアユの行く手を阻む

京都好き・鴨川好きが三条に集合。大量の木材で魚道を組み立てる

当日、天気も良好の中、参加者は設置場所に集まった。

参加者は、京の川の恵みを活かす会の会員のほか、京都府、京都市、漁協のスタッフや、学生、有志の釣り人等。京都や鴨川が好きで、この活動に賛同するメンバーが集まっていた。また、テレビ局や地元のメディア等報道陣も多く、注目度の高い活動となっていた。

京の川の恵みを活かす会の魚道設置に集まった人々
有志の釣り人含め、多くの参加者が三条に集まった。活動に興味のある人は誰でも参加出来る

作業開始前、京の川の恵みを活かす会代表の竹門康弘氏より、「本日は快晴で、魚道日和となりました。皆さんお集まり頂きありがとうございます。作業はケガのないよう、安全に注意して行ってください」と挨拶が述べられた。

京の川の恵みを活かす会代表の竹門康弘氏
京の川の恵みを活かす会代表の竹門康弘氏

続いて、同会副代表の中筋祐司氏から、設置する魚道の構造と、作業手順の説明が行われ、作業開始となった。

京の川の恵みを活かす会副代表の中筋祐司氏
京の川の恵みを活かす会副代表の中筋祐司氏

同会が設置する魚道にはいくつかの種類があるが、三条落差工に設置されたのは「井桁箱型魚道」。8㎝の杉の角材を井桁に組み立てて構成される箱型の魚道で、中身は階段状になっている。横向きに設置することで落差で行き詰まるアユに流れを届け、魚道へと導く構造になっている。

作業手順としては、 まず、土嚢を使い、作業をしやすいように設置場所を止水する。次に、木材を土手から下ろし、魚道の基礎を据え付け、角材の組み立てを行う。

京の川の恵みを活かす会の魚道設置の止水作業の様子
止水作業の様子
京の川の恵みを活かす会の魚道設置の木材を降ろしている様子
大量の木材を使うため、土手から降ろすのも重労働だ
京の川の恵みを活かす会の魚道設置の様子
木材を組んで魚道を組み立てていく
京の川の恵みを活かす会の魚道設置
みんなで協力して設置していった

その後、H鋼やくさびで魚道を固定し、底板や斜路の取り付けを行う。重しのため石を投入して蓋を取り付け完成だ。

京の川の恵みを活かす会の魚道設置の様子
魚道が流れないよう、重しに石を入れていく

【遡上調査実施中!】時期になると約8㎝のアユが遡上

4月にしては暑い中だったが、作業は途中休憩を挟みながら行われ、13時半頃に魚道が完成。最後に記念撮影を行い、土嚢を撤去して通水。無事に魚道に水が流れるのを確認し、解散となった。

京の川の恵みを活かす会で設置された魚道の内部
通水前の魚道内部。魚はここを通ることで上流側に出られる
京の川の恵みを活かす会で設置された魚道
魚道完成後は通水。魚道にしっかり水が通っているか確認!
京の川の恵みを活かす会で設置された魚道
上流側から見た魚道

竹門氏によると、三条落差工の魚道には、時期になると約8㎝に成長したアユが遡上する。

同会による鴨川の魚道の設置は、今年度は三条落差工のほか、今井堰、丸太町落差工、四条落差工で行われた。

人通りの多い地域で活動が行われているため、観光客はもとより、地域の人々からも鴨川の自然環境について知ってもらう良い機会となっている。

京の川の恵みを活かす会の魚道設置作業の様子
GW中ということもあり、多くの人が足を止めて設置作業を見学していた
京の川の恵みを活かす会で設置された魚道
奥側が三条大橋と三条駅。人通りの多い場所だ

7月末までは同会による遡上調査も行われており、誰でも参加が出来る。

詳細は、京の川の恵みを活かす会公式ホームページまで。

京の川の恵みを活かす会で設置された魚道

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