「九州リポート福岡発!」は、全九州釣ライター協会の会長・小野山康彦氏の連載です。公益財団法人日本釣振興会九州地区支部の活動ほか、九州の様々な情報を紹介します。
第22回の今回は、北九州市門司区の第七管区海上保安本部(以下、「七管」と記載)の交通部安全対策課が、釣り人への安全意識の高揚を図ることを目的として作成した九州初の情報カード=「安全釣るCa(あんぜんつるか)」=をご紹介します。
「海のもしもは118番」で広く知られる海上保安庁は、日本全域を11の管区に区分けし、七管は九州地方の福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、山口県西方を管轄しています。
七管は、公益財団法人日本釣振興会九州地区支部および同各支部などが主催する親子釣り教室やイベント、他の釣り団体主催の大会などで海難防止の安全対策講習会を実施するほか、ホームページ上で毎月、「海の安全レポート」を発行しています。
冬季から5月ごろにかけて釣りの事故が発生する割合が増加することから、同課は昨年12月にこの「安全釣るCa(あんぜんつるか)」を作製しました。「釣行安全・大漁祈願」をPRした特徴的なカラフルなデザインで、水濡れに強くカードケースにも入れやすい名刺サイズです。
このカードの裏面のQRコードを読み取ると、海上保安庁による「ウォーターセーフティガイド(釣り編)」を取得することができますので、内容を簡単にご紹介します。
ルール・マナーを守って釣りを楽しもう!海の安全情報をチェック
「最低限必要な装備について」は、釣り中の事故は海中転落が9割を占めるといわれることから、①安全対策として信頼できる適切なライフジャケット(救命胴衣)の着用、②滑り止め効果の高い靴の着用、③携帯電話(スマホ)は沈まない工夫をした防水ケースに入れることを勧めています。
「釣りをする前に知っておくべき情報について」は、磯や防波堤などの陸からの釣りの事故は全国でほぼ毎日発生しており、3人に1人が死亡または行方不明となっています。出かける前に得ておくべき情報として、①全国の気象状況、②潮汐データ、③釣りの事故マップ等を確認することを勧めています。
「釣りをする際の行動について」では、①無理をしない(気象情報を適宜把握し、悪天候時の早期中止の判断をする)、②単独行動をしない、③釣行計画を第三者に伝えておく、④立ち入り禁止区域に入らない等、釣り場の周囲の状況に注意することなどを周知しています。
また、海に落ちた人を見つけたらすぐに118番へ連絡し、救助のために水に入ることは避けて周囲の人に助けを求め、ロープ付き水くみバケツや空のクーラーボックス等の浮力のあるものを落水者の近くに投げ入れることを推奨しています。
七管のホームページに掲載された過去の事故事例として、長崎県の防波堤においてライフジャケットを着用して釣りを行っていた事故者が、高波が押し寄せたことにより海中転落。同行の知人が警察へ通報し、事故者は心肺停止の状態で救助。幸い、病院へ搬送後に意識が回復しました。事故の発生場所は事故の前年から立ち入り禁止区域となっており、当時は海上風警報も発令されていました。
同課は、「このような事故が発生したことで立入禁止区域になった場所が全国的に多数あります。このカードに収められている釣りの安全情報を確認し、ルールとマナーを守って釣りを楽しんでください」と呼び掛けています。
カードは七管区内の「釣具のポイント」各店、福岡・佐賀・長崎では「釣具のまるきん」各店などで無料配布しています。七管への問い合わせは=093・321・2931(代)=安全対策課。
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