Googleマップへの過激な誹謗中傷で、釣具店の来店客が激減…。投稿者に削除依頼は出来る?【弁護士に聞く】

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「釣具業界の法律相談所」は、釣具業界でも起こる可能性のあるトラブルについて、弁護士の先生に聞いて見解や対処方法を紹介するコーナーです。

今回は、Googleマップの書き込みで過激な誹謗中傷が行われた場合、投稿者に削除依頼は出来るのかについて弁護士の先生に聞きました。

「釣具業界の法律相談所」のカット
    

とある常連さんに接客ミス。それ以降、過激なクレームが相次いで…

当社は釣具店を経営しています。今回、ご相談させてほしい事は、Googleマップでの当社への書き込みについてです。

書き込みをされた方は、以前は当店の常連さんでした。しかし、スタッフの手違いにより、その方が予約されて取り置きをしていた竿を、別のお客さんに販売してしまい、その常連さんにご迷惑を掛けてしまいました。それ以降、当店のスタッフに対して、店舗内での厳しいクレームや、ネット上で誹謗中傷の書き込みをされるようになりました。

特にGoogleマップにおいては、評価は星1つで、書き込みの内容は「この店は、好きな客にしか人気商品を売らない最低な店」、「店員の接客態度も悪く、客を全く大切にする気がない」といった内容が書き込まれており、次々と悪い内容の書き込みが追加されています。

Googleマップでこのような書き込みが増えると、当店のイメージダウンや、新規のお客様の獲得にも悪い影響を及ぼすと感じています。実際に新規の来店客数が以前と比べて減っています。

このままの状況を放置しておくのは良くありませんし、書き込まれた内容も事実ではないため、当社では書き込まれた方と連絡を取り、削除の依頼を行いました。

当社からは書き込みを行った方の自宅を訪れ、丁寧なお詫びと削除依頼を行ったのですが、その方は逆に「問題を起こしたのはそちらの方だ。こちらは思ったことを書いただけで、削除する気は全くない」とつっぱねられ、さらに怒りを増した様子でした。

その後、Googleマップの書き込みは更にひどくなり、「先日、投稿の内容を消せと店の人が何人も押しかけてきて文句を言ってきた。まともな人が経営しているとは思えない。反社会勢力が経営している疑いもあり。絶対に行かないように」と書かれてありました。

当社はもちろん、反社会勢力ではありません。そのためGoogleに対して、こういったコメントの削除要請を行う事を決めました。しかし、要請を行ってから数週間が経ちますが、Google側から何の回答も削除もありません。

そこで、弁護士の先生に質問です。

当社としては、事実と異なる書き込みをGoogleマップにされ続けている事により、店舗の信頼性や評判が落ちていると感じています。関係は定かではありませんが、当店に低評価を付けた投稿も増えており、来店客数も減っています。当然、売上にも影響が出ていると感じています。

そのため、Google側か、書き込みをした方に対し、法的な手段で、問題となっている投稿の削除や変更を求めたいのですが、可能なのでしょうか。可能な場合はどのような方法を取れば良いのでしょうか。

(※質問は全て架空の内容です。実際の企業等とは一切関係がありません)。

口コミのイメージ画像
ネットでの口コミが経営悪化を招く事もあるが…

【弁護士の回答】内容次第で削除依頼は可能

まず、Googleマップの口コミにクレームや誹謗中傷の書き込みをされた場合に、法的にそのような書き込みの削除を求めることができるでしょうか。

結論から申し上げると、御社の「名誉権」を侵害する書き込みについては、救済手段としてGoogle側や投稿者本人に対して削除を求めることが可能です(最高裁判所昭和61年6月11日判決)。

そして、書き込みが御社の「名誉権」を侵害するといえるのは、①御社の社会的評価を下げる内容で、②その内容が事実に反する場合です。これらの要件を満たさないと、たとえ不快に感じる内容の書き込みであっても、名誉権侵害を理由として削除を請求することができない点には注意が必要です。

ご質問のケースの書き込みは、(A)「この店は、好きな客にしか人気商品を売らない最低な店」、(B)「店員の接客態度も悪く、客を全く大切にする気がない」、(C)「先日、投稿の内容を消せと店の人が何人も押しかけてきて文句を言ってきた。まともな人が経営しているとは思えない。反社会勢力が経営している疑いもあり。絶対に行かないように」といったものです。

名誉権侵害にあたるかどうかは、使われている表現によって異なります。そこで、(A)、(B)、(C)のそれぞれについて検討する必要があります。

投稿内容を1つ1つ検討してみると…

まず(A)の書き込みについてご説明します。結論として、(A)の書き込みは御社の名誉権を侵害するといえるでしょう。

御社は、ある客のために取り置きしていた釣竿を別の客に売ってしまったようですが、これはスタッフの手違いによるものとのことです。顧客に迷惑をかけたのは事実かもしれませんが、顧客を選んで商品を販売したわけではありません。

しかし、(A)の書き込みを読んだ人は、御社が客を選り好みする店だとの印象を受けるでしょう。もし御社が客を選り好みするような店だと思われてしまうと、店としての社会的評価が落ちてしまいます。そのため、(A)の書き込みは、御社の社会的評価を下げるもので、名誉権を侵害すると考えられます。

最近の裁判例でも、「リピーターにならない、金持っていない判断されたら放置された上に水増し請求される恐れありだから。」という投稿について、社会的評価を下げる名誉毀損だと判断した事案があります(東京地方裁判所令和4年1月20日判決)。

また、(C)の書き込みも、名誉権を侵害するといえるでしょう。

御社は、書き込みをした人に対して、丁寧にお詫びをし、削除を依頼したとのことです。投稿を消せと押しかけて文句を言ったわけではありません。また、反社会的勢力の人間が経営している疑いがあると書き込まれていますが、御社は反社会的勢力ではありません。

しかし、(C)の書き込みを読んだ人は、御社が客の家に押しかけて文句を言う店であるとか、反社会的勢力が経営しているおそれがある店であるとの印象を受けるでしょう。もし顧客に文句を言うために多数人で押しかけたり、反社会的勢力が経営する店だと思われたりすると、社会的な評価は下がります。そのため、(C)の書き込みも、御社の社会的評価を下げ、名誉権を侵害するといえるでしょう。

一方(B)の書き込みは、接客態度が悪い、客を全く大切にする気がないという誹謗中傷です。そのため、(B)の書き込みを読んだ人は、御社の接客態度が良くないと感じるかもしれません。

しかし、客が接客態度を良いと感じるか悪いと感じるかなどは、個人の意見や感想にとどまります。意見や感想は、社会通念上許される限度を超える侮辱行為にあたらない限り、違法にはならないというのが裁判所の考え方です(最近の裁判例として、東京地方裁判所令和3年11月18日判決等)。そのため、(B)の書き込みは御社の名誉権を侵害するとはいえないでしょう。

以上のとおり、(A)や(C)の書き込みの削除を求めることができると考えられます。

名誉棄損のイメージ
名誉権侵害にあたるかどうかは、投稿内で使われている表現によって異なるため、1つ1つ検討が必要だ

具体的な削除依頼の手段は?

次に、書き込みの削除を求めるためには、どのような手段をとることができるでしょうか。

削除を求める手続には、裁判外の任意の削除請求と、裁判手続を利用した削除請求の2つがあります。どちらも法的に削除を求める手段ですが、2つの手段は意味合いが大きく異なります。

まず、裁判外の任意の削除請求は、裁判所を関与させず、相手に対して直接削除を求めるものです。法的権利を強制的に実現することが可能な裁判所が関与しないため、相手に書き込みの削除を強制することはできません。相手の任意での協力が得られる可能性が高い場合に選択することが望ましいです。

一方、裁判手続を利用した削除請求は、裁判所の手続を利用して投稿の削除を求めるものです。裁判外の任意の削除請求と比べて、費用や時間がかかってしまうことが多いですが、こちらの請求が認められた場合は強制的に削除させることが可能です。

ご質問の事案では、書き込みをした人が特定されているようです。ネット上の掲示板など、投稿者本人であっても技術的に書き込みを削除できない場合もありますが、Googleマップの口コミは投稿者本人が削除することができます。そのため、ご質問のケースでは、書き込みをした本人に対して、裁判外で書き込みの削除を求める方法があります。

もっとも、御社は、書き込みをした本人に対して丁寧に削除の依頼をしたにもかかわらず、かえって誹謗中傷の口コミを招いてしまいました。このような相手に対しては、裁判外で書き込みの削除を求めても任意に対応してもらうことが難しいかもしれません。

怒っている人のイメージ
今回のケースでは、「裁判外の任意の削除請求」で削除をしてもらうのは難しそうだ

また御社は、すでにGoogleに対して直接削除要請を行ったようですが、動きがないとのことです。

Googleに対して削除を要請する場合、「送信防止措置依頼書」という書式に、御社の権利が侵害されているという法的主張を適切に記載し、それを裏付ける証拠とともに送付することで削除してもらえる場合があります。もっとも、送信防止措置依頼書の送付も裁判外での任意の削除を求めるもので、強制的に削除を求める手続ではありません。

そこで、「仮処分」(民事保全法23条1項)の申立てという裁判手続を利用して、書き込みの削除を求めることが考えられます。

仮処分の手続では、通常の訴訟よりも早い手続で書き込みの削除を求めることができるというメリットがあります。違法な書き込みを早急に削除する必要がある場面では、仮処分の手続が利用されます。仮処分の手続では、裁判所が「投稿を仮に削除せよ」という命令を出します。なお、「仮処分」という名称ですが、問題となった書き込みの削除を命じるものであることに変わりはありません。通常、仮処分の手続だけで書き込みの削除を実現することができます。

仮処分を申し立てる場合、書き込みをした本人とGoogleのどちらを相手取るべきかという問題があります。

法律上、書き込みをした本人を相手取っても、Googleを相手取っても構いませんが、書き込みをした本人の場合、裁判所の命令が出ても削除しないことがあるかもしれません。その場合、サイト管理者であるグーグルを相手取ったほうが確実に削除してもらえるでしょう。

Googleの口コミの削除については、以下の記事も併せてご参照ください。

参考: Googleの口コミ削除方法!手順や費用、事例付きで弁護士が解説

【回答者:弁護士法人咲くやこの花法律事務所 弁護士・小林允紀】

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