コロナ禍による釣り人の急増等の影響もあり、全国的に釣り場の減少問題が深刻化している。
そのような中、昨年11月に公益財団法人日本釣振興会の髙宮俊諦会長は漁港や防波堤への立ち入り規制が続く長崎県の大石賢吾知事と平田研副知事に対し「長崎県内に於ける漁港・防波堤等の立入り規制解除のお願い」という要望書を提出した。
以下その内容を紹介する。
「長崎県内に於ける漁港・防波堤等の立入り規制解除のお願い」
拝啓、初冬の候、知事におかれましては、益々ご活躍のことと、お慶び申し上げます。貴県内に山積する諸課題解決に向けた知事の精力的な姿勢に、心より敬意を表します。
早速ではございますが、標題にも記しておりますように、近年、貴県内に於いて、次々と漁港や防波堤への立入り規制が進められています。
当会は、我が国が古くから有してきました「釣り」という文化を大切に引継ぎ、国民の皆様にルールやマナーを守りながら、親しんでいただくため、公益財団法人として、釣り講習会、釣り場の清掃、漁業者の方々との放流事業、釣り人にルール、マナーを学んで頂くためのマナー動画の配信や啓発看板の設置、釣りモラル教室の開催等の積極的な全国的展開を行っております。
その当会に、近年、貴県内の多くの釣り人から、標題に記しておりますような、貴県内の漁港立入り規制解除に対する切実な要望をいただいております。
近年のコロナ禍の中、国民、貴県民の方々が、数少ない余暇時間を利用して、3密とは無縁の「釣り」を通して、ストレスの解消や親子のふれあいを深めて参りましただけに、大きなショックを受けております。
漁業関係者の方々の関係者外の立入りに関しては、コロナ感染症への強い警戒感に加え、釣り人のゴミの放置、違法駐車問題等によるものと、承知致しておりますが、3密を避けながらの市民活動、レクリエーションとして、国や自治体も釣りやアウトドア活動を推奨されていますこともご理解下さいませ。
特に、水産庁や国土交通省港湾局では、当振興会と連携をして、釣り文化振興モデル港等を全国に17カ所設けるなど、近年の方針にも大きな変化が見られ、漁港や防波堤を従来のように、いたずらに規制するのではなく、むしろ、有効的に開放して、地域や漁港の活性化を図る動きが出てきております。
上記、既存の防波堤や漁港の有効活用に関しては、両省庁から、当会への協力要請も有り、現に全国的に多くの漁港、防波堤の開放や賑わいのあるイベント等が実施されています。一昨年より、当会と全国の地方整備局や自治体、漁港管理者との協議会も定期的に開催されております。
又、全国でも既に立入禁止になっていた場所やなりかけた地域で、福岡県を始めとして、当振興会と地元自治体、漁港、港湾関係者との協議の上で立入禁止が解除になったケースも増加してきております。加えて、ご当地上五島の青方港では、先月、当振興会も協力させていただき、全国17番目の釣り文化振興モデル港が開放されました。
来月には、国から離島観光振興交付金を受けた五島市から、幹部の皆様10名余りが、北九州釣りいこかプロジェクトが実施しております運営、広報、安全対策等を学ぶため、見学に来社されます。
知事におかれましては、こうした国の方向性もご理解いただき、立入り規制解除への切実な声に耳を傾けていただきますよう、一方的な立入り規制が続くことの無いよう、充分なご審議、ご配慮をお願い申し上げます。
敬具
要望事項
現在、貴県内で立入り規制を行っている漁港の開放をお願いします。
・全ての漁港を今直ぐにとは申しませんが、規制の必要性の有無を精査していただき、危険性、必要性の低い、薄い漁港は是非とも開放いただきたい。
・漁港の事情により、釣り人のマナー向上の為の啓発看板、ゴミ箱の設置や清掃活動等が必要であれば、当会にて、ご協力させていただくことは可能でございます。
・漁港関係者、行政と釣り人代表者間で、話し合いにて解決できる場合も想定されますので、是非、そうした機会の設置をお願い致します。
・できれば、貴県が進めておられる「長崎ブルーエコノミー」の事業に、長崎ならではの豊かな海洋資源を活用した釣り、海洋レクリエーションを加えていただくよう、検討をお願いします。
以上
釣り場問題、釣り界を挙げて対応を
福岡県の糸島半島等でも日本釣振興会や地元の釣具店が協力して、立ち入り禁止が解除されている事例もある。また、日本釣振興会は以前から水産庁、国交省、地方自治体とも連携し、漁港等での釣り人によるトラブル防止に努めてきた。
各地域において釣り場の問題が起こった場合、あるいは起こりそうな場合は早期に日本釣振興会に相談してみると良いのではないだろうか。
釣り場開放の問題は一企業で対応するには相当な労力が必要となるため、協力者が多い事が望まれる。また、管理者に要望書を提出する場合は、上記の要望書の内容も大いに参考になるはずだ。
いずれにせよ、釣り場の減少問題は釣り関係者全てに関わる問題であり、釣り界を挙げて対応していく事が求められている。
日本釣振興会公式ホームページ
https://www.jsafishing.or.jp/
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