今回のトップインタビューは、一般社団法人日本釣用品工業会の新会長・大村一仁氏だ。
2022年6月に開かれた一般社団法人日本釣用品工業会の通常総会で役員改選が行われた。同日、臨時理事会が開催され、大村一仁氏が新会長に就任する事が決定した。
役員の顔ぶれも大幅に変わった日本釣用品工業会だが、新会長としてどのように舵取りしていくのか。大村会長に話を伺った。
「胸を張って釣りが出来る環境を」マナー啓発強化、時代に合わせた取り組み
大村一仁氏は日釣工の4代目会長となる。
一般社団法人日本釣用品工業会(以下、日釣工・にっちょうこう)は、平成元年(1989年)、日本釣具製造組合など5団体が集まり設立された。初代会長は大村隆一氏だ。
平成4年(1992年)に社団法人に改組。平成25年(2013年)に一般社団法人に移行している。平成15年(2003年)、長年副会長を務めた藤井繁克氏が2代目会長に就任。同年、大村一仁氏は理事として日釣工の役員となる。
平成16年(2004年)より、島野容三氏が3代目会長に就任し18年間務めた。そして、今年4代目会長として大村一仁氏が就任した。
大村一仁氏は日釣工に入る以前から、次世代の経営者が日釣工などの業界活動に携わっていく必要性を訴えてきた。
日釣工に入り、理事の時代に島野容三前会長に相談し「青年部会」を立ち上げてもらった。ここでは若手経営者が集まり、これからの釣り界や日釣工のあるべき姿を模索してきた。
こういった会議の流れを汲んで、日釣工の「釣りミライプロジェクト」や「企画プロジェクト」が立ち上げられ、様々な形で釣り人口拡大施策等が検討されてきた。最終的に各プロジェクトで出された案は、理事会の承認を得て実行される。
日釣工設立から30年以上が経過した。この間に世の中や釣りを取り巻く環境も大きく変わってきた。日釣工の活動自体も時代の変化に合わせて変えていく必要があった。
今年6月に発表した、釣り好き芸人のミキに「釣りマナー向上大使」に就任してもらった事や、バズフィードやハフポストといったウエブメディアを活用してマナー啓発を始めたのも、時代の変化に対応した動きだ。
コロナ禍で、釣り人のマナー問題によって多くの釣り場が閉鎖された事から、日釣工としても釣具業界としてやるべき事として、釣り人へのマナー啓発の検討を開始した。対象となるターゲット層を明確にし、広報のプロの力も借りながら、スピード感を持って実行してきた。
「釣り人のマナー啓発等は、必要とは思っていても企業1社ではなかなか大きな取り組みは出来ないと思います。しかし、日釣工であれば、ある程度まとまった資金も使って、釣りを楽しむためにマナーも重要である事を広く伝える事が出来ます。こういった投資を行っていく事が日釣工だけでなく、5年後、10年後の釣り界の基盤を作っていくために必要だと考えています。
釣り人が今後も胸を張って釣りが出来る環境をつくるために、必要な投資を行っていく事が大事だと考えています」と大村会長は語る。