「フィッシングタウン」として町おこし。Iターンやインバウンドへの効果にも期待
串本町が「フィッシングタウン」と銘打って、町おこしの一環として取り組み出したのはおよそ10年前だ。
冊子やガイドブックの作成、釣り大会の開催、旅行会社との協力、またフィッシングショーへ「フィッシングタウン串本」として出展するなど、串本町のPRや釣り人の誘致を積極的に行ってきた。
釣り大会では、今年27年目となる本格的な釣り人も対象とした「潮岬オフショアトーナメント」の開催や、珍しい魚を釣った人が勝つという、釣れる魚種の豊富な串本町ならではの「珍魚釣り選手権」の開催等も行っている。
「我々観光協会が取り組んでいるのは、主に子供や初心者の方を対象に、釣りを楽しんでもらう企画が多くなっています。子供や女性が串本を気に入ってくれれば、家族で観光に来て頂ける事が期待できます。
行政としては、観光客が増えて、特に若い定住者を増やしたいという思いがあります。実際に串本は昔から釣りが好きで移り住んできた人の多い地域です。Iターン(都市部から地方への移住)のキッカケとして釣りは非常に効果的です」。
また、アフターコロナとなり、インバウンドが回復してきた時に期待できるのが「釣り」だと宇井氏は語る。
「観光協会としては、今後、外国人観光客の受け入れは重要な課題として取り組んでいくつもりです。コロナ禍以前は中国の方からの問い合わせも多く、実際に釣りにいらっしゃる方も多くいました。和歌山県内の釣具店で釣具を爆買いされた後、串本で釣りを楽しまれていたという話もお聞きしました。
インバウンドは言葉の壁はあるのですが、釣り好き同士であれば何となくお互いに意味は理解できます。そう考えると釣りは敷居が低いとも言えます。インバウンドにおいても釣りの観光資源としてのポテンシャルは相当に高いですから、串本町を訪れる観光客を大きく伸ばせる可能性もあると思っています」。
朝起きて30分でカジキもアマゴも。魅力あふれる串本町
和歌山県の南端、串本町は昔「陸の孤島」と言われるほど交通の不便な場所だったが、今では高速道路の延伸が続き、大阪市内からでも2時間半ほどで到着できる。国内でも屈指の自然の豊かな場所で、特に釣り人には天国のような場所だ。
宇井氏は「私はよく『朝起きて30分でカジキも釣れるし、アマゴも釣れる場所は他にないですよ』と串本町の事を紹介します。釣り人にとって、串本町は本当に魅力的な場所だと思います。地域で釣り人にお金を落としてもらうには、地域の頑張りも必要ですが、そうやって交流人口が増えれば、自然と人口も増えてくると思います。今後も釣りを通じて串本に訪れる人を更に増やして、地域の賑わいを作りたいですね」と語る。
昨今では釣りが地域振興に活用されるケースが増えているが、串本町はその先進的な地域の1つだ。長年釣りを活用した地域振興にも取り組んでおり、他の地域の参考となる事例も多いと思われる。
釣り界としても、釣りを活用して地域振興を行う地域を、より積極的に支援するといった事は釣りの将来のためにも重要ではないだろうか。
(了)
今回、紹介させて頂いた宇井晋介氏の連載が近日、釣具新聞でスタートします。内容は主に「釣りを活用した地域振興」をテーマに書いて頂きます。乞うご期待。
関連サイト → 宇井晋介 | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト
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