【横川市長と青木社長の対談】ふるさと納税、3分の1は釣具。釣りが好きで海津市に移住する人も…
横川市長「青木社長には、海津市でふるさと納税の返礼品でも大変協力して頂いております。これはいつ頃から始めて頂いたのですか?」。
青木社長「4年ほど前からだと思います。海津市とお付き合いをさせて頂くようになり、当時の課長さんからふるさと納税に協力してくれないかと依頼がありました。我々としても、多くの釣り人がお世話になっている海津市のために何か出来る事は有難いですから、当時はどういう仕組みかよく知りませんでしたが(笑)、ぜひ協力させて頂きたいと答えました。
当初は大きな金額は集まりませんでしたが、デプス、レイドジャパン、DRT、ガンクラフトといった人気の釣具メーカーに協力を依頼すると、快く協力してくれたおかげで、ある程度まとまった金額が集まるようになりました。今後も少しずつ協力してもらえるメーカーを増やせたらと思っています」。
横川市長「昨年のふるさと納税で言えば、海津市全体で約1億800万円が集まりましたが、釣り関係の返礼品で約3700万円と3割以上を占めていますから、市にとって重要な返礼品です。これほど有難い事はないと思っています。この財源を活用して、海津市では未来創生予算枠を作り、関係人口や交流人口を増やす取組みに活用しています。
そしてこれは特に述べておきたいのですが、ふるさと納税を財源として移住・定住人口増加の取組みを行っていく中で、令和4年度から海津市に移住されて住宅も建てられる若い世代の方には最大100万円の奨励金を出させて頂いています。この財源となっているのは、釣り人の方から頂いたふるさと納税が大いに役立っています」。
青木社長「実際に釣りが好きで、夫婦で海津市に移住してこられた方がいました。以前の海津市の釣り大会の表彰式でお会いしたのですが、驚きました(笑)」。
有名アングラーの協力で遊漁料収入も大幅に増加。釣り人が来て喜ばれる仕組みを…
青木社長「私は昔から釣りが抱える大きな問題だと思っているのですが、一番の問題は釣り人が釣りに行く事によってフィールドが悪くなる事です。釣り人が訪れる事によって、その地域で迷惑駐車やゴミの放置など悪い事ばかりが増えれば、その地域から釣り人が排除されても仕方がないと思っています。釣り人が来ることによって、その地域の方々に、何か喜んで頂ける事や、地域の方が得られるものが無ければ、今後も釣り場は減る一方でしょう。
そういった時に、ふるさと納税の話を頂きました。これは、釣り人から利益を頂いている我々が行政や漁協さん等、その地域の方々に何等かの協力が出来る良い機会だと思いました。こういった活動を行っていけば、地域の方とも良好な関係を築けるチャンスがあります。
今までは行政や漁協さんも釣り人側との関係があまり無かったので、ゴミ問題やマナー問題が起こると、釣り禁止・立ち入り禁止にするしかなかったと思うのです。釣り業界も行政や漁協さんと話し合いが出来る場を十分に作って来なかった部分もあると思います」。
横川市長「海津市の関係人口、交流人口を増やすためにも、バスフィッシングは重要な要素だと思っています。引き続き、いろいろな取組みを行っていきたいと考えています」。
青木社長「そういってもらえると有難いです。そもそも、こういった寄付を受けてもらえる海津市があるから、我々もこういった活動が出来るのです。
漁協さんも「有難う」と言ってもらえるが、本来は…
行政や漁協さんへの協力で言えば、もう1つ、釣り業界が良くなかったのは、無料で釣りが出来る場所を作ってきた事です。漁協さんも中部プロショップ友の会から資金を提供されて『有難い』と言って頂けていますが、本来はそうではなく、釣り人からお金をもらうべきです。無料で釣りをするから、ゴミを捨てても平気な人が多いと思うのです。
以前は養老漁協さんも深刻な財政難でした。監視員の方が見回りにいくと、釣り人は逃げて誰も遊漁料を払ってくれないと言われていました。それは、釣り人もおかしいと思います。ですから漁協さんに釣り人から遊漁料として300円を必ず頂くようお願いしたところです。
有名な釣り人にも協力してもらい、遊漁料をきちんと払う事をPRしてもらいました。そもそも、バスフィッシングをされる方は1本1万円や3万円もするロッドを何本も買われる方が多いです。それなのに、1回300円の遊漁料が払えないわけがありません。
こういった仕組みが浸透する事で、今まで年間でも数千円だった遊魚料収入が、何百万円と入るようになりました。そして釣り人のマナーもある程度良くなったと感じます」。