【内水面漁業が抱える問題点①】漁協組合員数の減少、期待される釣り人の参画
漁協の数はすべての都道府県で現状維持もしくは減少傾向にある。
金岩稔氏の基調講演の中で、三重県では令和元年に鈴鹿川、令和2年に阪内川、令和3年に香肌峡(櫛田川水系)の3漁協が3年連続で解散したという報告があった。
また、漁協の活動は継続しながらも、各都道府県の内水面漁業協同組合連合会から脱会している漁協も少なくはない。
漁協組合員数は漁協数よりもその減少幅が大きくなっている。中村智幸氏が2017年にまとめた「内水面漁協の組合員数と将来予測」を見ればその深刻さが伺える。
何も対策を取らなければ組合員数の減少に歯止めをかけられないのは明らかだ。さらに高齢化が進んでいることも懸念材料だ。
セミナーの中でも複数のパネラーから「遊漁者から組合員になる人を増やす」という打開策が提案されていた。
釣り人の漁協活動への参画は今後さらに期待が高まることが予想される。実際に記者の周囲でも、自分が楽しむための釣り場環境を守るために漁協の活動をサポートする釣り人が増え、私自身も地元の漁協組合員として活動している。
ただ、漁協組織を維持することや、組合員の確保には法規制という高いハードルがあることがセミナーでも取り上げられた。
水産業協同組合法(第18条)において、組合員の資格を有するために、「当該組合の地域内に住所を有し、かつ、漁業を営み又はこれに従事する日数が1年を通じて90日から120日までの間で定款で定める日数を超える漁民」と定義づけられている。
また、同法(第68条4第1項)には、「組合員が20人未満になったことによって解散する」という文言が盛り込まれている。
水産庁栽培養殖課内水面指導班の生駒潔氏の講義の中では、令和4年度に予定されている国の水産基本計画の見直しに合わせて、内水面漁業振興法に基づく基本方針も見直しになることが触れられた。
釣り人が漁協組合員になるためのハードルをどこまで下げられるのか。今後の規制緩和に期待したい。