8月2-3日、和歌山県中北部を流れる有田川で「第55回報知アユ釣り選手権・オーナーカップ」の決勝大会が行われた。
有田川(ありだがわ)は周知の通り、和歌山県を代表する鮎釣り河川の1つだ。昨年に続き、有田川町にある有名ポイント「白石の瀬」を本部会場として、大会は開催された。
大会の主催は報知新聞社。協賛はオーナーばり、協力は和歌山県有田川町、有田川町観光協会、有田川漁業協同組合。今回の大会で、報知新聞社が主催する「報知アユ釣り選手権」と同大会の優勝者が挑む「報知アユ釣り名人戦」は終了する。来年以降はオーナーばりが主催する「オーナーカップ鮎」として、大会は引き継がれる予定となっている。
今年の大会も両日とも快晴で猛暑の中での戦いとなった。決勝大会には全国8会場で行われた予選通過者に加え、前回ベスト8、歴代名人、歴代優勝者、推薦者等96名が参加して行われた。
初日に1-3回戦が行われ翌日の準々決勝に進出するベスト8が決定。そして、2日目は準々決勝、準決勝、決勝戦の3試合が行われ、優勝者が決定された。
ベスト8に残った選手は錚々たる顔ぶれだ。昨年の優勝者である坂本浩規選手、一昨年の優勝者である谷口輝生選手、優勝経験も豊富で歴代名人の高橋祐次氏など、準々決勝の4試合とも目が離せない戦いとなっていた。
オトリの管理が非常に重要。アタリを確実に獲るために針交換も頻繁に
当日の有田川の状況を小倉吉弘競技委員長に伺った。
「今年はアユの生育がちょっと遅れている感じですが、ここ2、3日で活性化しつつあります。高水温なのでオトリが死にやすく、掛かったアユも弱りやすい状況です。引き舟の中のアユいかに温存させるか。陸から釣りをする場合でも、引き舟を水通しの良いところや底に沈めるなど置き場も大切です。釣る前にオトリの管理をいかに上手く出来るかも重要です。
渇水ですから泳がせ中心の展開になっています。アユも何度も追ってくるのではなく、掛からないと次は追ってこない状況です。根掛かりをしてもアユを散らしてしまいます。ですから、いかに針先の良い鈎で釣るか、アユ針の交換がすごく大事です。1回のチャンスで、吸い付くようにアユに掛かってくれないと数は伸びないでしょう。
有田川はこれから釣果も上がってくると思います。磨けている石を見ると、アユも付いていますし、追っています。ただ泥をかぶっているような石もあります。今日の大会でも動く時は動く、我慢する時は我慢するで、決して簡単な状況ではないですが、勝ち上がってきている選手は、上手に場所を見極めている人だと思います」。
実力者揃いの準々決勝。注目のカードの行方は…
準々決勝が始まる頃には気温、水温とも更に上がり、減水も進むという厳しい状況の中、粟生周辺で4試合が行われ、熱戦が繰り広げられた。準々決勝以上はマンツーマンでの戦いとなる。競技エリアを上流、下流で分け、選手は1時間交代で入れ替わる。2時間戦った後、釣ったアユの合計尾数で競われる。
ロースコアな戦いも予想されたが、10尾以上そろえている選手もおり、接戦となった試合も多かった。そのような中、村田寅選手、坂本浩規選手、谷口輝生選手、清原裕之選手の4名が準決勝に駒を進めた。
ベスト4が決定。清原裕之選手が21尾と驚異的なスコア
準決勝はブドウ園周辺で行われた。地元で有田川を知り尽くす前年の覇者・坂本選手が13尾という安定した釣果を出し、村田選手が5尾で2年連続の決勝進出を果たした。
そして、一昨年の覇者で大鈎を使った泳がせ釣りの名手である谷口選手が13尾と良いスコアを出したが、清原選手が21尾という驚異的な数字を叩き出し、決勝進出を果たした。
決勝戦は昨年の覇者・坂本浩規選手と清原裕之選手の一騎打ち
休憩を挟み、いよいよ決勝戦が行われた。決勝戦は本部のある白石の瀬で、坂本選手と清原選手の一騎打ちとなった。最初は坂本選手が上流、清原選手が下流で試合は開始した。
坂本選手は有田川を知り尽くしている選手だ。最初の1尾を獲るまで時間は掛かったが、オトリが代わると順調にアユを掛けていった。
一方の清原選手も、下見等のため1週間ほど泊まり込みで有田川に通っていた。そのため、アユの状況やポイントの把握もしっかりと行われていた。得意の泳がせ釣りで1尾ずつ追加していった。
場所の入れ替えを行ったが、僅差の戦いが続き、どちらかの選手が1尾釣れば、もう一方の選手も1尾釣るという痺れる展開となった。
そして終了の合図があり、清原選手が16尾、坂本選手が15尾、1尾差で清原選手が初優勝を果たした。
表彰式では地元町長も挨拶。入賞者に報知杯、オーナーばり賞等が授与
表彰式では、主催者の報知新聞社執行役員の永山一規氏より「優勝を勝ち取られた清原様、おめでとうございます。この大会は報知新聞社主催としては本年度で終了しますが、来年からもオーナーばり様のご厚意で大会は続いて参りますので、来年も頑張って下さい」という要旨の挨拶が述べられた。
続いて、オーナーばりの中道成之社長より下記要旨の挨拶が行われた。
「暑い中、選手の皆様、スタッフ、役員の皆様、本当にお疲れ様でした。来年からはオーナーカップという名前で大会は続けてまいります。今後もご協力をお願い致します。またオーナーばり製品のご愛顧も、引き続きよろしくお願い致します」。
次に有田川漁業協同組合の滝雅之代表理事組合長、地元代表として有田川町の中山正隆町長が挨拶を行った。
その後、表彰式が行われ、表彰状や副賞が贈られた。
清原選手の優勝スピーチも行われた。最後に大会の講評を小倉吉弘競技委員長が行われ、大会は終了した。
なお、優勝した清原裕之選手は広島県廿日市市氏在住の47歳。ホームの河川は島根県の高津川。普段から「泳がせ釣りしかしない」という泳がせ釣りの名手だ。上桂川予選を勝ち上がって決勝に進出してきた。
決勝で使用した道具は竿が9m、水中糸はザイト・フロロ0.2号、針は一角ライト6号(4本錨)だ。
「決勝大会も泳がせ釣りをしました。じっくり探る泳がせ釣りです。予選は広範囲を探る泳がせ釣りですが、決勝はピンスポットの手前に入れて泳がせ、ダメならまた違うピンスポットを狙っていく釣りでした。
決勝大会で一番しんどかったのは、どの試合も養殖から天然にアユをかえる時です。時間が掛かったり、釣れても小さいと泳ぎません。大会でもオトリが弱れば躊躇なく2尾目を使って、オトリを獲りにいきました。普段からオトリが弱ればすぐに交換しています。
今まで、報知オーナーカップの決勝には4回出場してきましたが、ベスト16が最高順位です。自分が優勝できて、本当に信じられないです。嬉しいです。得意の泳がせ釣りのパターンがハマって実力が発揮できたと思います。次の名人戦も頑張ります」と話していた。
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